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2006年08月21日

バンキシャなわたしの成長期/関大

<関大スポーツ編集局:脇村悠美>
 わが関西大学アイススケート部は今、かなりの注目を浴びている。高橋大輔くん、織田信成くんというスター選手の所属している有名クラブ。わたしはその部の担当記者長である。

 彼らに取材する機会を何度も経験した。ユニバーシアード冬季大会、GPシリーズ、全日本選手権、なんとトリノ五輪にまで行った。すべて現場で直接わたしだけの材を得た。学生同士として、たわいもない会話もたくさんした。一般スポーツ紙の記者が見る日本代表の彼らとしてでなく、同じ大学で学ぶ同志であり、体育会の仲間であり、何より友人として、彼らの成長を見てきた。そして、わたし自身も成長した。

 特に同い年である大輔くんは、“記者としてのわたし”を高めてくれた。入部当初、初めて会った時、彼はすでに数々の大会で結果を残している有力選手ではあれ、まだ幼さが残る少年だった。「応援しているので頑張ってください」と言ったわたしに、照れくさそうな笑顔を浮かべた彼の表情が今も忘れられない。誰もが知っているように、彼はその後いくつもの国際大会を経験し、いくつもの苦難を乗り越え、今に至る。世界選手権での屈辱、GPアメリカでのGPシリーズ初優勝、全日本選手権での採点ミスによる混乱、そして勝ち取ったトリノ五輪の舞台ではメダルを手にすることができなかった。

 その五輪後の大輔くんへのインタビューの際、わたしは遠慮してしまい、いつものような、ざっくばらんな楽しいインタビューができなかった。演技後に悔しげな表情を浮かべていた彼の姿が脳裏から離れず、「これは聞いてもいいのかな」「嫌な気分になったらごめんね」と口にしながら、わたしはひとつひとつ言葉を選んで質問をしていた。すると「そんなんじゃ取材にならないよ」と言われた。「取材って両者が利用し合うためのものなんだから、もっともっと自分を出していっていいんだよ」と。最後に「もっと自信を持って、答えを自分で考えないで、聞きたいことを聞いてくれたらいい」と付け加えてくれた。厳しさの反面の優しさが嬉しかった。やはり彼は、プロなのだなと思った。

 自分自身の立場に対する自信がなかった。取材にしても、互いに傷つけ合うことがない、友人として無難な対話を選んでいるだけだったのかもしれない。彼のプライドを傷つけたくなかった。だが一気に目が覚めた。これは仕事なのだ、遊びではない。そこからわたしの意識が変わった。「関大スポーツ」は単なる部活動から、自分の見たもの聞いたものを発表するためのひとつの出力先だという考えになった。それはもしかすると遅過ぎたかもしれない、わたしが3回生に進級する直前の出来事だった。

 彼の物語はまだ終わらない。「バンクーバー五輪では絶対にメダルを取る」と、強い意志を聞かせてくれた。だから、わたしの物語もまだ終わらない。半年後、わたしは関大スポーツを引退する。必ずしも記者になりたいわけではない。だがその出力手段は変われど、手に入れた経験を元に、まだまだ進化を続けてゆこう。もう仕事を恐れたりなんかしない。わたしはアイススケート部のバンキシャだ。それは全うしなければならない立場であり、もう2度と揺らぐことのない自信となった。

 7月13日、関大・高槻キャンパスに完成したアイスアリーナのオープニングセレモニーへ行った。アイススケート部の担当記者として、久しぶりに現場に立った。写真はその時のものである。関大にリンクが出来たこれから、彼らには「いち関大生」としてもっともっと頑張って欲しい。記者として、仲間として、わたしは彼らのような一生懸命な選手たちを心から応援している。式中には彼らだけでなく、多くのトップスケーターによるエキジビジョンが披露された。彼らは全員、次なる五輪に向け前進しているれっきとしたアスリート。本当に美しかった。演技そのもののみでなく、真摯に未来に立ち向かっていく姿勢が美しかった。わたしも、負けていられない。残るたった半年の活動期間、自分たちのメディアを確実に成長させていこうと誓った。ありがとう、大輔くん。

August 21, 2006 11:46 AM

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コメント

こんにちは。はじめまして。uguisuという者です。
フィギュアスケートをメインにしたブログを書いています。
こちらの記事はブログ検索で見つけましたが、大変、感動しました。
私の大学3回生の頃は、はるか遠い昔になってしまいましたが(笑)、自分もこんな風に、まっすぐで若い頃に立ち返りたいな、と思いました。関大リンクの式典をテレビ番組で見た直後だったので、尚更にその感を強くしました。
関西大学の近くに住んでいるということもあるのですが、これからも更に応援したいです。
記者の方のご活躍を祈りおります。頑張ってください!
(私のブログに記事を紹介させて頂きましたが、不都合がありましたら御指摘をどうぞ)

投稿者 uguisu : 2006年08月23日 02:21

初めまして。興味深く拝読させていただきました。私は高橋君をジュニア時代から応援してきた一人だけに、最近の彼の成長ぶりには目を細めるばかりです。トリノは私も眠い目をこすって応援してました。ショートは一番、フリーは最後。 どちらも大変な重圧のかかる順番だったのに、彼は本当によく頑張ってくれたと思います。取材の時の彼の姿勢にも感動を覚えました。TVとかで見た大輔君は、とても天然っぽいのに(笑)スケートになると圧倒的な存在感ですよね。日本王者としての自覚が強く芽生えてきた様に思います。悠美さんも残り少ない日々を悔いなく燃焼してください。これからの悠美さんと大輔君の未来が明るい物でありますように。心から祈ってます。素晴らしいお話をありがとうございました 
 

投稿者 にがい恋よりあまい恋 : 2006年08月28日 11:11