01年4月号掲載
4月号恒例!スポ法OBインタビュー 恐縮です。梨元勝氏インタビュー
今回は自らを「うさんくさい」と評し、TVなどで大活躍中の芸能レポーター・梨元勝氏が登場!!世間からは冷ややかな視線にさらされる事が多い同氏だが、その内面にはとてつもなく熱いジャーナリズム精神が存在した。
―――まず、なぜ法大に進学されたのですか?
実は僕、高校時代時代に留年して2年生を2回やってるんだけど、その高校がすごい自由な雰囲気で全く英語を勉強しなかったからなんだよ。その周りが大学受けるから僕も受けようって感じだったんだ。いろんな大学受けたんだけど、法大の社会学部しか受からなくて、しかも補欠合格だったんだ(笑)。それで、受付で賛助金を払えって言われたの。そうすれば優先権がもらえるからって。それで賛助金払って入学したんだけど、この仕事をしてからこのことをラジオでしゃべったら法大からしゃべらないでくれって怒られたんだよ(笑)。
―――どんな学生でしたか?
入学してからは、当時は学生運動がすごい盛んな時期だったんだけど、そんなのまったく知らなくて自治会委員になっちゃったんだよ。僕は高校時代、生徒会やってたんでそれと同じノリだったの。で、国会へデモに行ったんだけど、そこで警官にむちゃくちゃにされて嫌になってやめたの。それからずっと学校には試験期間だけ行ってアルバイト生活をした。成績なんてAは4年間で3つくらいしかなかったかな。卒論も友達に書いてもらったんだけど、その事もラジオでいったら先生が怒っちゃったらしい。後でTV局が取材したら梨元なんて学生は知らないって。知ってるくせに(笑)。それで今度はちゃんと4年で卒業したんだけど、進路の事では、人生についていろいろ迷いがあった。アルバイトばかりして大学生活はなんだったんだろう?って。それでもう一度大学生をやり直そうと思って高校の先輩に相談したら、ふざけるなって怒られた。僕は両親を早くに亡くして祖父に育てられたんだけど、いつまでも脛をかじらず祖父に孝行しろって。その先輩に紹介されて講談社の「ヤングレディ」っていう雑誌の記者になったの。
―――もともとマスコミには興味はお持ちだったんですか?
まったくなかったよ(笑)。学生時代にアルバイトしててサービス業に興味があったんだけど、先輩に行かされた(笑)。最初は原稿も書けなくてひどかったね。でも、しゃべるのはおもしろかったらしくて、みんなにスピーカーって呼ばれてた。それでたまたま雑誌記者がTVに出てしゃべるって言う番組があったんだけどそれに出演したのをTV朝日の『アフタヌーンショー』の人が観てて、声をかけられてね。それがきっかけでレポーターになったの。
―――芸能レポーターになられたときは他にそういう存在がいなくて、俗にいう『走り』ですよね。
『芸能レポーター』っていうのは、実は造語なの。当時、事件をレポートする人はいたけど芸能はいなかった。芸能評論家はいたけどね。それでレポーターになりたてのころに三船俊郎さんの離婚裁判を傍聴してて、それをTVでレポートしたんだ。それを傍聴していなかった週刊文春の記者が記事にしたいといってきたんだ。それで原稿を書くときに記者が肩書きを聞いてきたんだ。でも芸能評論家ではない。じゃあレポーターでいいじゃないっていうと事件のレポーターと紛らわしいから、っていうんで芸能レポーターっていうことにしたのが始まり。もうそれから25年くらい経つんだよね。
―――レポーターをしてから一番思い出に残った事は?
山口百恵さんが急に引退したときに、東京・芝の歯医者さんに通ってるという情報があったんだ。それで3ヶ月くらい張り込んでようやく見つけたんだ。でもいざ取材となったときに頭が真っ白になってね。そこからの記憶が無い。後でVTRを見ると、僕らは普通タレントが車にのろうとしたとき乗らせないようにするんですけど、あのときはどうぞ、どうぞとドアを閉めてあげてるんですよ。芸能取材やって30年だけどあんな経験はそれだけです。
―――印象に残った人物は?
勝新太郎さん。ハワイの空港で麻薬を持っているのが見つかって捕まったときに僕も現地に行って裁判を密着取材したのはおもしろかったよね。あの人は非常に人をひきつける魅力のある人間なんだよ。それで、現地の日本料理を食べに連れて行ってくれたんだ。そのとき『俺は今日は泣きたいんだ』といって大泣きし始めたんだ。なんて馬鹿な事したんだって。その姿には役者魂を感じたね。
―――梨元さんにとってジャーナリズムとは?
僕は、TVなら観てくださる、新聞なら読んでくださる、ラジオなら聞いてるお客様に向けてのサービス業と思ってます。タレントさんにはいい話も悪い話もあるけど、お客さんにとってはどれも同じと思う。だからマスコミは伝えてなんぼの世界。記者っていうのは何千万というお客様へ向けての媒体。だから記者というのは取材されてる人じゃなくてお客様の方を向いているという事。スターといわれる人はそれがわかっているんだよ。この人たちにちゃんと自分の事を伝えてもらおうってね。これは重要な事だよ。売れてないタレントはこれがわかっていない。都合のいい事は書いてくれ、都合が悪かったらプライバシ−侵害だってね。問題は書いた結果がどうなるかです。お客様がやりすぎだよといわれればそれは私が悪い。それと、マスコミというものは権力に対しては批判力を持っていなければいけない。ジャーナリズムというのはうさんくさいもの。かっこいいものではない。最近のカッコだけの女子アナなんてそれがわかってないんじゃないか。それにうさんくささを持っているマスコミは、伝える事によって権力を倒す事もある。報道の自由というのはそのために保障されているんです。その代わり、よりセンセーショナルにもなっていくという危険性もありますね。
それと、現場をやったり、原稿書いたり、TV・ラジオにでたり、インターネットしたりして取材の結果を出す事だね。僕らにはいい事は書いてほしいけど悪い事はダメって言う圧力がかかってくるけど、TV局がダメといってきたらラジオで、それもダメならインターネットでもやっていく。そうしないと、どこかからつぶされて不公平になってしまう。このことおかしいじゃないかと思って最初はよくぶつかった。TV局とけんかすると辞めなきゃいけない。自分が仕事する媒体の1つが無くななってしまう。これは厳しい。でもTVも新聞やラジオ・インターネットと同じマスコミの媒体のひとつ。だから他を同じように利用する。TVっていうのは完璧ではないと皆さんに伝えようと。そこまで考えるようになるまで25年くらいかかったね。
―――最後に法大生へのメッセージをお願いします。
安定感を求めないで、守りに入らないでください。死ぬまで新しい事に挑戦して、どんどん挫折してください。何でもいいから、自分で自分のこういう所がかっこいいと思って生きてください。そして自分自身を評価できるようになって。やりがいを持って生きてください。恐縮です。
TVと変わらない梨元さんの軽快なおしゃべりに、当初緊張していた我々もリラックスできました。梨元さんにはお忙しい中、貴重な時間をさいて頂き本当にありがとうございました。お世話になったオフィス梨元の皆様にもこの場を借りて感謝いたします。
(西岡 良修)
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