ノーサイド 03'12月号

 何気なくテキトーに高温の地を歩き続けている。ここはどんな本にも載ってない。早さなんて気にする必要はない。亀のようにゆっくり一歩一歩、力強く。道はいくつにも分かれている。どの方向にも行ける▼もし坂から転げ落ちたとしても、深い森の中で迷ったとしても、焦ることはない。一人で出来ないなら、前後左右、自分の周りを見てみるといい。誰かが、何かが助けてくれる。庭に生えた松、梨の芳しい香り。落ち葉にだって気付かされることもある。それらの積み重ねが輪を作り、村となり、里となり、大きな力を生む▼野を越え、山を越え、様々な経験が知識として蓄えられる。決して忘れてはいけない記憶もある。ただ土の下で待っているだけでは何も始まらない。思い切って外に出る勇気、覚悟。足跡は朝日に照らされ、自分の破片となり輝く。果てしなく繋がる無数の光▼ふと見つけた井戸の水でのどの渇きを潤す。海岸に打ち上げられたビンには手を差しのべ、草原を走る風には身をまかせればいい。季節は変わり、もう田には新しい芽が出ている。どんな花を咲かせ、実をつけるのか。まだ染まってない色は白にも黒にもなる。きっと素晴らしいものになるだろう▼行き先を告げる羅針盤なんていらない。自分で切り開いていくことに意味があるのだ。川の流れがどんなに激しくても立ち止まらないで。新しい橋が架かる音。道はまだまだ続く。どこまでも長く、永く・・・。さあ、行こうか。
(高坂 知永)

ノーサイド 03'11月号

2003年1月14日、日本人メジャーリーガー・松井秀喜が誕生した。今季は一年目ながらも全試合出場を果たすなど堂々の活躍。夢を追い求め渡った異国の地で、様々な軌跡を刻んだ一年だったと云える▼そしてここにも一人、そんな大舞台を夢見る日本人選手がいる。彼の名は根鈴雄次(ねれい・ゆうじ)。法大を卒業後「野球を続けたい」という一心でアメリカへ。その後すぐにマイナー契約を結び、トリプルAまで昇格。現在もメジャーリーグ昇格を目指し、奮闘している▼だが、ここまで辿り着く道程は決して平坦なものではなかった。高校中退、最初の渡米、その後定時制から23才での大学入学。そんな中でもここまでこれたのは「野球」というスポーツがあったから。そして彼は言った。「やりたいことがあるんだったら、とにかくやってみること。やってみることで開けてくる人生だってある」▼私自身、高校時代は実家を離れ、野球に没頭した。憧れであった甲子園には3度出場することが出来た。全国から集まる選手達と肩を並べ、共に闘った3年間。今でもふと振り返る。「すごいところでやっていたんだな」と▼この3年間が昔の自分を変え、今の自分を支えてくれている。野球を通して膨らんだ夢。またここから新たな人生が始まっていく。しかし、人生うまくいくことばかりではないだろう。でもそれはきっと必ず乗り越えられるはずである。それが自分のやりたいことなのだから。
(一宮 大輔)

ノーサイド 03'10月号

日々寒さが増し、街は秋の彩りに染まっていく。スポーツに勉強、秋は何をするにしても快適だ。しかし、過ごしやすい秋の後には厳しい冬が待っている。▼ 私達3年生には「就職活動」という、これからの人生を左右する大きな試練が控えている。既に本格的な活動を始めた同級生も少なくない。今日とかく不況と騒がれて久しく、「大学生」というぬるま湯にどっぷり浸っている私は、この厳しい「冬」を上手く乗り切れるかどうか。▼ 小さい頃から私は一つの夢を持っていた。そのために在京の大学を選び、サークルとしてスポホウを選んだはずだった。しかし現実を知り、様々なものを見た結果、私が描いていた未来図は掻き消えてしまった。今、私の手元にある未来絵の航路図は、かつてと違い明確な指針を示してはくれない。▼ 時が移ろうのは早いもの。ついこの間、新歓コンパで地元訛り丸出しで初々しく自己紹介していたはずなのに、気付いてみれば3年生。スポホウでは最上級生、12月には引退だ。この3年間を私は駆け足で過ぎ去った。一緒にやってきた信頼できる仲間達。彼らならば引退を迎えるにあたってなんと言うだろう。▼ 秋が深まるにつれ時間はいよいよ少なくなり、就職活動に向けて準備も必要になってくる。だが、今はこれに集中しよう。悔いを残さないために。一度は消えた未来図を、再びこの手に掴むために。辛く厳しい「冬」の次には、明るく希望に満ちた「春」が待っている事を信じて。

(山本 啓介)

ノーサイド 03'6月号

深夜のドキュメント番組で、小学6年生と一緒に授業で算数を学ぶ80歳代の女性の1年間を放送していた。▼その女性は耳が遠いハンディを背負いながらも毎朝の予習、復習を欠かさずに一年間挫折する事なく授業に通い続けた。今年の3月に小学校の算数は修了したが、今度は通信教育で仏教を勉強し始めた。その姿を見て、いくつになっても学ぶ意欲を持ち続けていることにすごく感心させられた。▼何かを学ぶということを、学生である今は当たり前のように思っている。しかし、その女性のように学びたい時に戦争など自分の力ではどうしようない理由で学ぶことのできなかった人たちがいることを考えると、現在みたいに恵まれた環境で学ぶことができるのはとても幸せなことだ。それみも関わらず、学ぶことを面倒くさいと思っていた自分が恥ずかしく思えた▼「学んで己の、学無きを知る。これを学ぶという」という言葉がある。そのような謙虚な心を持つことが学ぶことには大切だという。どんな博識のある人でも実際知っていることよりも知らないことのほうが多い。自分は知っていると思い込んでいる事が新しいものが入ってくることを拒んでいる▼人は学ぶ意欲がなくなった時から老いてくる。学ぶ意欲を持っていることは若いという証である。学ぶ意欲と謙虚な心をいつまでも忘れる事なく持ち続けたい。
(亀田 孝明)

ノーサイド 03'4月号

ダイエー・和田、新垣。西武・後藤、長田。横浜・古木。巨人・木佐貫、久保。そして、松坂大輔▼彼らは、言わずと知れた松坂大輔を頂点とした「松坂世代」を形成する代表的なプロ野球選手である。最近、さまざまなメディアで、この「フレーズ」を聞くようになった。彼らが活躍し続ける限り、このフレーズとはずっと付き合っていくことになるだろう▼少しでも松坂より、いい結果を出そうとする原動力は何か。それは同学年ということ。同学年である以上、「あいつには負けない」という意識が働いているに違いない。そうやって彼らは、お互いに刺激し合い、未来のプロ野球の顔に一歩一歩近づく▼考えてみれば、世の中は「世代」の積み重ねだ。それぞれが、同じ時代を生き、同じ情報を共有し、同じ経験をする。言わば、時間を共にしてきた「仲間」。その中では、「松坂世代」と同じように、お互いを刺激し合っている。さまざまな分野で活躍する同世代を見ると「ハッ」とさせられる。「自分も、がんばろう」と▼人は、自分以外の人から刺激を受けながら向上していく。特に、自分と年齢が近ければ近いほど。これから自分を向上させていくには、どうしたらいいか。ときおり、自分の周りを見渡せばいい。必ず誰かが、自分には持っていないものを持っていて、その人なりにがんばっているはずだ。そこで、いかに自分にはないものを吸収できるかが「自分向上」の鍵になるのかもしれない。
(稲葉 聡)

ノーサイド 03'2月号

「笑うことは体にいい」。よく言われることだが、果たして事実なのだろうかー。このことを科学的に証明するための研究が先月始まった。国際科学振興財団「心と遺伝子研究会」が吉本興業の協力を得て始めたこの研究は世界初の試み。笑うことでスト レスを抑える働きのある遺伝子の活動が活発になるかどうかを調べていくそうだ▼確かに笑うことはストレス発散の良い手段である。嫌なことがあった時や不安や悩みがある時でも、大きな声で笑うと何もかも忘れてすっきりした気分になれる。そして何 より笑いは人を明るく幸せな気分にしてくれる▼私も笑うことで気持ちが軽くなった経験が何度もある。そんな時はいつも、大きな声を出した勢いでまさに胸のつかえが取れるようだと感じる。笑うことはとてもすがすがしいことだ▼暗いニュ−スを耳に する事が多い昨今。ストレスを上手く発散できない人々が引き起こす事件は後を絶たない。こんな時だからこそ世の中には笑いが必要なのではないだろうか▼笑いは張り詰めた心をときほぐし温めてくれる。そして温かい心は温かい社会を作り出すだろ う。大きな声で笑うこと。日々前向きに生きていく秘訣はこんなところにもあるのかもしれない。
(松本 美希)

ノーサイド・トップ