レース展望&直前インタビュー

 29日、関東学連から各校の区間エントリーが発表された。法大にとって何とも痛いのは、山下りのスペシャリスト・白田雄久の欠場。当初から右アキレス腱に不安を抱えながら調整を続けていたものの、結局完治せず、最悪の事態を避けるために14人からのメンバーから外す苦渋の選択を取られた。しかし、他の主力陣は順調な調整を続けており、まずまずの状態で本番が迎えられそうだ。
 このエントリー発表を踏まえ、目標としている2年連続のシード権獲得への道すじを探ってみたい。


◆往路

 出だしの1区には、前回続き圓井彰彦が指名された。スタートでの出遅れは何としても避けたいところ。その後の選手へ流れをつくる意味でも、最低でもトップから1分以内、一桁順位でタスキを繋いで欲しいところだ。
 エース区間の「華の2区」には、1万mチーム1の記録を持つ原田誠。権太坂とラスト3キロに厳しい上り坂が立ちはだかる難関コースに、各校のエースが一同に介すこの区間。今季大きく成長を遂げた原田にとっても決して楽な舞台ではないが、今の実力を持ってすれば、他大のライバルたちとも互角の争いが展開できるはず。何とか順位を落とすことなく乗り切ってもらいたい。
 エース原田からタスキを受け取る3区には友廣哲也が起用された。序盤で勢いづいた場合はそれを維持する走りを、つまずいた場合には立て直しの走りが要求される区間。今季、自己ベストの近くまで記録を伸ばし、復調気配にある友廣。出雲では駅伝デビューも果たした。高校時代から高く評価されていた潜在能力を発揮し、中盤をしっかりと固めてもらいたいところだ。
 4区は岡田拓也。今季主力で唯一、全主要大会に出場して着実に経験を積むと同時に、1万mの自己記録も28分台目前にまで更新、順調に成長を遂げている。前回同じ区間で見せた粘りの走りに加え、今年は課題のラスト勝負にも競り勝って、山の佐藤へ少しでもいい局面でタスキを渡して欲しい。
 5区はもちろん佐藤浩二。2年連続の山上りに挑む。今回はメンバー唯一の4年生として、そして主将として、部員全員の想いを乗せて走ることになる。もうひとりの山のスペシャリストを欠き、その走りにかかる期待はさらに大きくなったが、どの位置でタスキを受け取ったとしても、前回同様の快走で、チームを一躍ジャンプアップさせてもらいたい。

 往路には前回の快進撃を担った主力が揃ってエントリー。直前でアクシデントがない限り、メンバー変更はおそらくないだろう。目標のシード権のためには、最低一桁順位、できれば5位前後で往路を終えていたい。そのためには、1区圓井の出来がその後の流れを大きく左右すると言っても過言ではない。潜在能力は学生でもトップクラスである圓井が真の能力を発揮すれば、チームは流れに乗ることができるだろう。そして、圓井のつくった流れを、小田原で待つ佐藤のところまでいかに持続できるかがポイントになってくる。往路はベストとも言える布陣を配置しているだけに、できる限り上位で芦ノ湖のゴールを迎え、復路のメンバーの負担を最小限に抑えたいところだ。

◆復路

 白田の欠場で空いた6区の座には一年生の下川原温が抜擢された。下川原は3000m障害を専門とする選手。復路のスタートとして、後の4人の流れを作る役割も担う重責区間であるが、中距離で磨いた持ち前のスピートを最大限に生かせれば、白田の穴を埋める走りをしてくれることだろう。
 7区には谷本幸城がエントリー。「復路の2区」として、近年有力選手が起用されるようになった区間だ。前々回、同じ区間で不振に終わり、悔しい思いをしている谷本。山下りから受け取った勢いを持続する走りでリベンジを期待したい。この区間は控えの山口航も前回経験しており、そちらの起用も考えられる。
 8区にはもうひとりの1年生、柳沼晃太がエントリー。シード権確保のためには、このあたりが正念場になることだろう。前回この区間を区間2位で駆け抜けた原田のような、鮮烈な駅伝デビューを果たすことができれば、シード権はぐっと手元に近づいてくることだろう。
 復路のエース区間、9区には伊藤雅紀が登録されている。2区と並ぶ最長距離であるが、「長い距離が大の得意」と語る伊藤にはうってつけの区間に違いない。だが、持ち合わせる実力から考えると、ここにWエースのひとり、田中宏幸が満を持して起用されることが予想される。
 アンカー10区には平野裕市が起用された。9人の汗と想いが染込んだタスキを大手町のゴールへ届ける重要な役割を担う区間だが、気負いすぎや緊張は思わぬブレーキにつながるため注意が必要だ。シード権争いは最後の最後まで予断を許さないだけに、ここでは去年もこの区間で重責を担った秋山和稔の実力に賭ける形になるのではないだろうか。前回同様、笑顔で大手町のゴールに飛び込んでもらいたい。

 復路のポイントはなんと言っても、控えに登録している山口、秋山、田中の実力のある3人をどの区間で起用するかであろう。上記のメンバー変更の予想は、あくまで本紙『箱根駅伝特集号』の区間予想に基づいたものであるが、この3人の起用法は状況次第で変化する可能性がある。ハーフマラソンで実戦を積んできた山口は、長い距離を得意にしている選手。一年次から箱根を経験しており、3回目の今回は、いよいよキーマンとしての登場となる。田中は今季法大で最も成長を遂げた選手。1万mの自己記録を1分以上更新し、出雲駅伝ではアンカーを任された。長い距離にやや不安を残すが、そのスピードは復路最大の武器になることだろう。そして、秋山は今季出雲駅伝で区間3位の好走を果たすと、続く記録会で自己記録を大幅に更新。今勢いがある選手だ。復路は熾烈なシード権争いの中での走りになることだろう。この3人を控えに持っていることは、法大にとって大きなアドバンテージになるに違いない。
◆ ◆ ◆
いよいよ目前に迫った箱根本番。多摩キャンパスのグラウンドでは、一般スポーツ紙の特集記事をみんなで回し読みするなど、リラックスしたムードが漂っていた。しかし、ひとたび取材のために話しかけると、どの選手も一様に引き締まった表情を見せ、緊張感の高まりが確実に感じられた。白田の欠場によって、ひとつの大きな武器を失った形にはなったが、総合力で勝負する今回のチームなら、一丸となってこの逆境も乗り越えてくれるはず。プレッシャーに臆することなく、ひとりひとりが持てる力を存分に発揮できれば、目標であるシード権を確実に手中に収めることができるに違いない。2005年度版オレンジエキスプレスに大いに期待したい。

監督・選手のコメント

1区 圓井 彰彦
「(今のコンディションは?)バッチリです。調子もまあまあ。(区間のポイントは?)残り3キロ。(六郷)橋を越えてから。一番きつくなっていく箇所なので、ラストスパートで粘れるように。(去年との意識の違いは?)去年より距離走っているので、スタミナはついた。その不安はない。(意気込み)去年は1分近くトップと差があったので、30秒差以内でいきたい」

2区 原田 誠
「(今のコンディションは?)(今日の練習で)仕上げていきます。(区間のポイントは?)権太坂後の8キロ。(同じ区間でのライバルは?)気にしていられるレベルではないので、自分の走りができたらと思う。(意気込み)精一杯がんばります」

3区 友廣 哲也
「(今のコンディションは?)至って普通です。(区間のポイントは?)最初下りなので、突っ込みすぎないように。後半勝負。(同じ区間でのライバルは?)特にいなかった。(目標、意気込み)5番以内。チームのプラスになれるように頑張ります」

4区 岡田 拓也
「(今のコンディションは?)まあまあです。(区間のポイントは?)10キロ過ぎまでは起伏が激しいのですが、それ以降は平坦なのでラスト5キロが勝負どころ。前回も走っているコースなので、勝負どころできちんと勝負したい。(同じ区間でのライバルは?)特にいないが、駒沢の選手とのタイム差を変えずに走りたい。(目標、意気込み) 1つでも順位を上げて、(佐藤)浩二さんにいい順位で渡したい」

5区 佐藤 浩二
「(今のコンディションは?)やっと上がってきた感じ。(区間のポイントは?)前回は前半いい感じで上れたので、後半の下り。(意気込み)区間賞と周りから言われていますが、意識せずチ―ム順位を上げるようにしたい。いい走りをすればついてくるので。チ―ムにプラスになる走りをしたいと思います」 6区 下川原 温
「(今のコンディションは?)普通です。(区間のポイントは?)大平台の平坦なところ。(意気込み)頑張りたいと思います」

7区 谷本 幸城
「(今のコンディションは?)悪くはない。故障も疲れもないです。(区間のポイントは?) 12キロと16キロの上り坂。そこでペースを落とさずに走れるか。(同じ区間でのライバルは?)気にしていない。自分の走りをするだけ。(意気込み)(次の選手の)負担を軽くできるように頑張って走りたいです」

8区 柳沼 晃太
「(今のコンディションは?)いいです。(区間のポイントは?)最後の坂がポイント。(同じ区間でのライバルは?)いない。自分の力を出すだけ。(目標)区間一桁が最低。(意気込み)頑張ります」

9区 伊藤 雅紀
「(今のコンディションは?)いいです。(区間のポイントは?)権太坂。ペース配分を常に気をつけたい。(同じ区間でのライバルは?)いない。自分の力を出すだけ。(目標)頑張るだけです。(意気込み)かまします」

10区 平野 裕市
「(現在のコンディションは?)普通です。(区間のポイントは?)品川あたり。15km地点。(意気込み)アンカーなので、シード争いをしていたら、シードが取れるように頑張りたいです」 山口 航
「(現在のコンディションは?)悪くはないです。(意気込み)今年で3回目なので、落ち着いて入って、後半勝負したい。最低シード権確保。順位を上げられるように、区間一桁で走りたいです」

秋山 和稔
「(現在のコンディションは?)普通です。(意気込み)頑張ります」

田中 宏幸
「(現在のコンディションは?)順調にきています。(走ることになったら目標は?)区間賞、区間新記録を狙いたい。(意気込み)白田さんが出られなかったし、エントリーされなかった人の分も走れたら頑張りたい。チームとして2年連続シード権というのが今年の目標なので、取れるようにしたいです」

松垣 省吾
「(現在のコンディションは?)だいぶいい感じです。本番に向けて気分が高まってきている。(アピ―ルポイントは?)ごぼう抜き。(意気込み)自分の走りができるように心がけます」

成田 道彦監督
「(現在のチーム状態は?)可もなく不可もなく。白田が使えないので贅沢は言っていられないです。(チームの雰囲気は?)至って普通。力んでいるということはない。(白田選手について)本人と話したところ、怪我をしているということだったので、エントリーから外した。今年一年ずっと悪かったのでしょうがない。 (目標)あくまで10番以内。往路終了時に7番以内には入りたい。復路で混戦に巻き込まれたらつらいので。5区に(佐藤)浩二がいるので、いかに彼に繋いでいけるかが勝負です」


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