2005年02月25日

石田力哉/ディナーの後の決断

 本日をもちましてナショナルキャンプ全7回の練習が終了しました。まあまあ、良いキャンプであったと思います。自分の調子は……、打撲や筋肉痛があるものの、動きとしては良い感じで仕上がってきてます。来週からは各チームに分かれ、アメリカ人選手を交えて本キャンプがスタートします。やっと本番といった感じです。


 さてさて、今回はディナーの後に大きな決断をした選手の話をしたいと思います。


 その選手は、NFLヨーロッパのナショナル選手として8年間活躍し、最もベテランの選手でした。今シーズンもプレーするつもりでキャンプに臨んだものの、メディカルチェックに引っかかり、練習できずにいました。彼のケガは予想外に深刻で、大きな決断をせざるをなりませんでした。「危険を伴う現役続行」か「引退」。彼が選んだのは後者でした。万が一の時は、一生脚を引きずって歩くことになるから引退すると。しかし、彼の言葉にはあとの言葉が付け加えられていました。

 「私が今シーズン、無理にプレーすることは可能であるし、自分自身も現役にこだわりたい。が、自分がプレーすることは同じチームの若い選手のチャンスをつぶすことになる。私は過去にNFLでプレーするチャンスをこのNFLヨーロッパのコーチにいただいた。危険な賭けをするより、チャンスを若い選手に与えた方が、NFLヨーロッパリーグのフィロソフィーに値すると思う。だから引退の選択を選んだ」と。


 続けて彼は、こんな経験談を話してくれました。


 「私がテキサンズ(NFLの1チーム)のキャンプに呼ばれたとき、必死に毎日練習し、何とかロースター(ベンチ入りメンバー)に残ろうと励んだ。本当に必死だった。そして、最終日2日前の夜、私は1軍メンバーに昇格した。本当にうれしかった。だが、次の日の朝7時に解雇の通達がきた。昇格したのも事実であれば解雇されたのも事実であった。その悔しさをバネにその後もNFLに挑戦してきたが、チャンスはなかった。今思えば、あの昇格したときにチャンスがあったんだ。ただ、そのチャンスを自分はつかめなかった。チャンスは多くあるもんだと思っていたけども、実際はあの1度きりだったんだ。そのチャンスをつかめなかったのがすべてだ!」と。


 この言葉を聞いて、はっとした。


 これから始まるキャンプ。NFLのスカウトが毎日のように練習場に訪れる。毎日がチャンスである。が、チャンスをつかまなければ意味がない。多くあるチャンスの1つをつかもうとするんではなく、1日1回のチャンスをつかまなければいけないことを肝に銘じておこう。練習中、1分1秒たりとも気を抜けない状況で戦わなければならないことを忘れてはいけない。そして、そのことを改めて教えてくれたことに感謝している。


 マルコ・マルトス。メキシコ出身。彼の言葉を決して無駄にしてはいけない。最高の敬意を表して、彼と抱き合って別れた。いつもは軽いやつであったが、今日のマルコは男の顔をしていた。その顔を忘れることはないと思う。
 

February 25, 2005 12:34 PM

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コメント

当然とはいえおめでとうございます!木下君と同じなのも楽しみです。さぁ、いよいよほんとの戦いに入りますね!個人的には(もし余裕ができれば)あのW・ペイトンのご子息ジャレット・ペイトン君とお友達になってほしいな~。

投稿者 82KGLB : 2005年02月27日 21:32

読んで感動しました。人間にはみな同じだけチャンスがあって、でもそれに気付きつかむ人と見逃す人がいる、というのを聞いたことがあります。石田さんなら絶対につかめるはず。しっかりつかまえて下さい。期待してます。

投稿者 みゆき : 2005年02月26日 20:06