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2005年08月05日

ちょっと心配な「バトン」の今後

 ミハエル・シューマッハーのチームメイトとしてフェリッペ・マッサが来季からフェラーリに乗ることが正式に発表され、一気に動き出した2005年のストーブリーグ。これでかねてから「今季限り」と言われていたルーベンス・バリチェロのマラネロ離脱も確定して、その移籍先はBARホンダにほぼ決定だと言われているから、こちらも近いうちに正式に発表されることになるだろう。順当に考えればジェンソン・バトンがウイリアムズに移籍し、来季のBARはバリチェロと琢磨というコンビになる可能性が高いのだが、そこでちょっと心配なのが「バトン」の今後だ。

 一年前はBARとの契約がありながらウイリアムズへの移籍を強行しようとして、裁判沙汰となり結局はBARに残留。その時点で2006年からはウイリアムズに移籍する契約を結んでしまったにも関わらず、今度は「僕はできればBARに残りたい」とまたしても態度を180度転換。これにはBAR側も「チームとしては残留してくれることを望んでいるけれど、彼自身が契約問題を何とかしてくれないと……」とやや困惑気味だ。

 ウイリアムズとBMWの関係が悪化し、来季の別離がほぼ決定的な今、バトンがウイリアムズ移籍にしり込みする気持ちは良く分かる。去年の彼がBARを抜け出そうとしたのも「ホンダとBARの関係が将来にわたって保障されていなかった」というのが彼の言い分で。自動車メーカーと密接な繋がりを持つトップチームに在籍しなければ、今のF1では将来に希望が持てないことを彼も良く分かっているからだ。ところが、将来への期待を賭けて移籍しようとしたウイリアムズは既にもぬけの殻、BMWとの決裂という予想もしなかった展開に「話が違うよぉ!」となるのも心情的には理解できる。

 だが、今更BARホンダに残りたいと言われてもシートはふたつだけ、BARもこういう事態を想定してバリチェロと水面下で交渉を進めていたはずである。もちろん、バトンが何らかの手段を使ってウイリアムズとの契約を解除し、BARに残れれば、バトン+バリチェロという強力なラインナップになるわけで、チームとしても悪くないオプションだろうが、その場合、結果として琢磨がシートを失うことになってしまうし、BMWのエンジンを失うウイリアムズにしてみれば、イギリスで人気のあるバトンの存在が来季のスポンサー獲得にとってもひとつの決め手となっているはずだ。フランク・ウイリアムズ御大が「バトンの契約はどんなに金を積まれても絶対に手放さない」と断言しているのも、これまたもっともなワケである。

 それにしても、どーしてこんな馬鹿げた状況になってしまったのだろう? もちろん、一番責任が重いのはバトン本人ということになるのだろうが、信じられないのは彼の周囲にいるマネージャーや弁護士といったお取り巻きの驚くべき無能さだ。例えばウイリアムズと契約するにしても、チームが自動車メーカーとのエンジンを失った場合には、ドライバーの契約そのものが無効になるといった「オプション条項」をつけておくのが今やこの世界では常識のはずである。ポッと出の新人ドライバーならともかく、ある程度優位な条件で交渉に望めるはずのバトンが、そんな基本的な要素をチェックせずにウイリアムズと契約してしまうとは、彼らお取り巻きは一体何をしていたのだろう? そもそも、去年の移籍騒動だけでも、バトンには我がままな「おバカさん」的イメージが定着してしまっているのに、その1年後にこれではドライバーとしての高い評価にまで傷がつきかねないと思う。

 もちろん、今の若手の中でバトンがトップレベルの才能をもったドライバーであることは間違いない。だが、その才能も正しいキャリアとチーム選択をしなければ、花を咲かせないまま枯れてしまう可能性だってあるのだ。周囲を振り回すだけでなく、自らの才能すらムダにしかねないバトンの軽率な動きと、考えが浅いとしか思えない彼の取り巻きたちのレベルの低さにあきれると共に、なんだかとても空しい気持ちになってくるのだ。


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