Hangin' Around The NBA Wit Kaoru

2006年03月22日

シャッQダディ

怒濤のニックス、ピストンズに勝ってしまった!!(まあ、マイ・メン・ラシードが退場食らった、てのも大きかったけど)と驚いていたのもつかの間、本日はラプターズに負けました、とほほ。

しかも、最後のクラッチタイムでは、ラリーさん、なぜか4ガード+1G/F、いわば「5ガード戦法」とまで言えてしまうラインナップを敢行。ポン吉+ちびっこネイト+ケロ・スティービー+癒し系ナイスガイ・ジャマール(クロフォード)+欽ちゃん!?ことキンテル・ウッズという、恐るべきスモール・ラインナップ。

「ああ、あれね。わしゃー今、いろいろなことを試してみたいんだよ。いわば、全瞬間がオーディション、とも言うか」と、ゲーム後に説明していたラリーさん。まあねえ、来シーズンに向けての試行錯誤をしてるんでしょう・・・。

ところで、今夜のゲーム、また渋いところでいい働きをしていたのがキンテル。ニックスが3つ目のチームであるこの人は、アスレティックな上になかなかディフェンシブ。リバウンドも良く取り、目立たないが、現在のニックスの中ではかなりラリーさん好みのプレーヤーと言える。本日は、15得点10リバウンドのダブル・ダブル。ちなみに、私は偶然にも今日、ゲーム前に彼に初めてインタビューしてみたのだが、そしたら絶好調だったので、記者仲間やニックス・スタッフに「やっぱ、私がインタビューしたからあ」などと冗談を言って、「クレイジー・・・」と笑われていたのだった(笑い)。しかし、ほんとにキンテル君、プレイタイムさえもらえれば、いい働きをする選手のようだ。まだ知らない方々は、チェックしてみて。

しかしこの1週間は、我がNYエリアに、スター選手が続々とやってきた週だったなあ。

NJには、かのゴージャス・コービ&いまやゲトーのブラック・キッズたちからも、「Dirk is my man!!」と言われるほどのリスペクトを得ているノビ・のびつき、そして先日は、マジソンスクエア・ガーデンにシャッQダディが。

<ダディ>というのはちなみに、スラング的使われ方の1つには、<父>が代表するイメージ。要は大きくて頼りがいがあって、だからこそ彼の言うことには従わねばならない<家長>的存在の男、というのがあるのだが、シャッQの場合はもちろんこれ。

彼は体が大きいだけでなく、<何を言ってもやっても許される御大>、日本の演歌界で言えば<北島のさぶちゃん>的な、NBA界の重鎮なのである。アレン(アイバーソン)が王子なら、シャッQは大統領、といったとこですかね。オールスターで見事にふざけても笑って許されるのは、この人だから。「俺がビッグ・ダディ。ドン・ダダだ」--ダディの有名なコメントです。

チャンピオンリングも、MVPも、オリンピックの金メダルも、何もかも手に入れて、あとは引退して<おまわりさん>になるのを夢見ているダディ。でも、彼だって、苦しい少年時代があったのだ。

NJはニューアークの、貧しい環境に生まれたダディは、今は少し和解したとはいえ、<本当のおとうさん>とは話さない。彼の実の父は、ダディが生まれたばかりのころ、彼のママを捨てて家を出てしまったのだそう。苦労した彼女はそのあと、違う男性と結婚した。「俺の<ダディ>は、俺を育ててくれた義理の父だ。遺伝学上の父?・・・俺をこしらえたがな」--彼の怒りは深かった。

ダディはラッパー<ディーゼル>としてもデビューしていて、機転の良さが表れたインテリジェントな歌詞でなかなか好評なんだけど、作品中にも実の父を批判したものもある。<Biology didn’t matter(遺伝子なんて関係ねえ)>という、タイトルの曲。

シャッQダディは赤ちゃんの頃から大きくて、彼を抱いて玄関のポーチでいつもくつろいでいたおばあさんは、通りすがりの人々に本当によくびっくりされたそうだ。「まあぁぁ、大きい赤ちゃんねえ!!」

シャッQの実の父に捨てられて苦労してしまったママ;ルシールは、幼い頃の彼を連れてバスに乗るとき、いつも彼の出生証明書を携行しなければならなかった。彼は既に8、9歳に見えたので、そうではなくてまだタダで乗れる年齢なんです、というのを証明するためにだ。

生まれた頃から人並みはずれて大きかったシャキール少年は、ある時期はそのサイズゆえに、皆が彼を怖がり、敬遠し、仲間に入れてもらえないという寂しさを十分に味わったそうである。あるとき、彼はこんなコメントもつぶやいている。「俺は、自分が醜いモンスターだということを知っている、だから、ドン・ダダにならなければいけないんだ」。

私も、かれこれNBA取材を6年間やっていて、もちろんゲームやオールスターなどで、ことあるごとに<生ダディ>を見ているのだが、今回彼がやってきたときには、私はたまたまペタンコ靴をはいていた(いつもは、背の低い私は選手たちにマイクを向けるのに背伸びしないでもいいように、ヒールの高い靴をはくことが多いのだが、この日はダブル・ヘッダーで長い1日を見越して、ペタンコだったの)。

ふとした瞬間にダディと目が合い、そのまま私の目の前にやってきたダディのあまりの大きさに、今更ながら「はぁ~・・・」という感じでポカン、と口をあいて、失礼なことだが彼を見上げて凝視してしまった。そんな私を見て、ダディは「あれまあ、この子は」という表情で、「ハ~イ」と声をかけてくれたのだが、以前には、チャイニーズ・メディアと思われて「ニイハオ」と言われたこともあったのです。今回は英語(笑い)だった。

ちょっとして、ダディの幼少期のエピソードを思い起こした私は一瞬、「しまった、昔のダディがさんざん傷つけられていたろう、<信じられないくらい大きいもの>を見る目を、私は投げかけてしまったのだ」とすまなく思ったが、しかし直後に思い直した。「彼はもう、全然そんなこと、気にしちゃいねえ、っていう、余裕の表情だったよな・・・それどころか、ポカンとしてる私を面白そうに見てたっけ」と。

もちろんこの日も、我が弱小ニックスをこてんぱんにやっつけてくれたダディ。ゲームの間中、「誰か、ダディを止めてよ・・・」と力なくつぶやいていた私だった。

<豪傑>という言葉がある。今のダディはまさにそれだ。

リーグの誰かが苦境に陥っていると(犬猿の仲のコービを除いて)、すぐさま助け舟のコメントなどを出して救ってあげるダディ。フロリダではダディの向かいに住んでいるという、いじめられっこの我がネッツのビンの介も、いつも助けられている。

ユーモアがあって、豪快で、余裕のよの字をぶっこきまくりのダディが大好きな私だが、今や彼を嫌いな記者なんて、聞いたことがない。なんというか、器が大きい、<真のスター>なのね。自らがおどけてみせ、皆を笑わす、ということを難なくやってのけ、しかも決して卑屈ではない。誰もが彼の言葉に、なんだか納得し、感心てしまう-名実ともに<プレジデント>な、優しき大男なんである。

March 22, 2006 04:22 PM

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コメント

やっぱり誰にでも辛い過去はあるんですね。
今とても楽しそうにしている選手の顔からは想像できない
です。
薫様に質問なのですが、Cデュホンの怪我によりブルズが
G選手の獲得を検討しているらしいのですが、田臥選手の
獲得という可能性はあるのでしょうか?ブルズのPGは
ハインリック・デュホン・パーゴなどゲームメイク+アウト
サイドシュートが得意な選手 という印象が強いので、
それと違った完全なパス型のPGである田臥選手の獲得は
PGに厚みをだすという点で案外アリだと思うんですが・・。
どうなんでしょうか?

投稿者 KITTEN : 2006年03月23日 09:49

8/19(土) 札幌 S席ゲットしましたああ~~(^^)v

わずか数分で完売したらしいので・・・ゲットできてラッキーです。(SS席は1分前後で完売したみたいでムリでした)

6月になったら飛行機のチケット押さえないと!
宿も押さえないと!!

シャック・ダディは来ないけれど、アメリカだけじゃなく中国も見れるし!! ヤオ・ミンは来るのかな? 3試合ともめっちゃ楽しみです。

カオル姉さんがいつもおっしゃっている厳しい世界で生きてきた選手たち、アメリカに限らずどの国にもハングリーさやタフさを持った選手が多いと思うし、気迫やスピード感、パワーなど間近で観れます。

シャックって小学生のときに身長2m超えたんでしたっけ?
以前、ウチにシャックの等身大のポスターがありました。
リーボックかなんかのポスターだったと思いますが、僕の身長は彼の胸あたりまでしかないです・・・

さすがにそこまでデカイと、同年代から見たらビビる^^;
けどヤオ・ミンはもっとデカイ・・・

でも大切なのはやっぱ相手の身になって考えないとイカンということですね。 シャックはそれを自らの体験で習得しているってことですね。 改めて見習いたいです。

いやー、8月がすでに待ち遠しいです。

なんか個人的報告みたいな内容のコメントになっちゃってゴメンナサイ。

投稿者 オレ竜ドラきち : 2006年03月23日 11:04

いつも楽しく読ませてもらってます。

幼少期の辛い時期があったからこそ今の彼が形成されたんですね。
彼のback groundを知って彼を前より好きになりました。

投稿者 bang-lee : 2006年03月23日 13:39

オーランド時代からシャッQ大好きです。彼の行く先々のチームを応援してるくらいなもんです。

ヒューストンとのPO決勝で負けて悔しそうな顔をしてたのを今でも覚えています。

LALに移ってから優勝できて本当に良かったと思っています。
マイアミではもう既に引いちゃったプレースタイルの様に感じますがどうなんでしょうか?怪我がちなのもちょっと心配…

投稿者 きむさん : 2006年03月23日 17:51

やっぱり、シャックとコービーは犬猿なのですか?

投稿者 kim : 2006年03月23日 22:06

薫さん、

こんにちは、マイアミ戦の翌日のフリーペーパーにシャッQが
NYのクラブでお楽しみの写真が載っていました。
それだけなら「ふ~ん」なんですが、記事にチームメートのZoとペイトンも一緒でした。と書いてあり、オッサン3人組なのね。と思うと、電車の中なのに1人でニヤニヤしてしまいました(笑)。いろんな意味で、凄くインパクトのある3人なので。シャッQは本当にビッグ・ダディーですよね。彼が引退したらNBAも寂しくなりますよね。(まだですが(笑))

ニックスはソープ・オペラ化したメディア合戦に終止符を打って欲しいものです。LBに勝てるわけが無い事に気がついて、スターブリーも成長して欲しい、放出される前に・・・。

では、レギュラーシーズンもラストスパートですが、楽しいレポート待っています!コンピューターご愁傷様でした。

投稿者 いずみ : 2006年03月24日 05:48

薫アネゴ様
新しいPCは入手しましたか?
一つお伺いしたことがあります。ニックスのあのグリーンのユニフォーム(最近アメリカではこう言いますね)は如何ですか?
ブルー×オレンジにウン十年慣れ親しんだ私には大ショックです。全然センスがネー。
しかもグリーンはセルティックスのカラーです。イーストの(低レベルの)ライバル(笑)としてそう思います。
NBAビジネスも売上のため、此処までやるのか?
ちなみにゲーム後にメディアルームに遊びに来たシャックの写真を撮った事がありますが、全然OKでした。直ぐファンになってしまいました(笑)
残念ながら大きすぎてピンボケだッたけど(爆笑)

投稿者 あ : 2006年03月24日 10:22

ダディのことを今回のコラムで大好きになりました。
やはり、豪傑は一人では成りえないものなのですね。
笑顔の裏にはそれだけのことがあって、素敵な優しさそうさせるだけの経験がある。

優しき真の男性、シャック・ダディ。

同じ男として格好良さを存分に感じます。

投稿者 Kazuyoshi“K”takamatsu. : 2006年03月24日 13:41