Hangin' Around The NBA Wit Kaoru

プロフィル

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★真田薫(さなだ・かおる)
 埼玉県出身、NY在住。故障のため、バスケットボールを断念。R&Bシンガー「Cheyenne」として97年デビュー。アルバムリリースやライブ活動のかたわら、ラジオ番組のMCも手がける。00年からNBAを精力的に取材。

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2006年01月25日

アントニオは理想の夫

ややややや。ニュースの多い1週間でしたねえ。
ゴージャスなお方(コービー・ブライアント)のゴーージャスな81得点は、口があんぐり、だったし、読者の皆さんも、やはり気になった方々が多いと見える<アントニオ・ザ・ジェントルマンの妻救出大作戦>。NY在住の私にとっても、もちろんビッグ・ニュースでした。

トロント時代に1、2度、デイビスにインタビューをしたことがある。彼は語り口も柔らかく、「ナイスで落ちついた、素敵な紳士だなあ」と思ったものだが、その彼が、妻を救うためにスタンドに飛び込んでいく、なんか、すげえ納得であった。
 
 私ははからずも、というか不謹慎にも「Yeah,やっぱ、アントニオ!ひとまず何もかも犠牲にして自分を助けに来てくれる、これぞ<女の夢>であるよ!!マクダイスといいなんといい、<アントニオ>って名前の人は、<理想のダンナ>タイプなのかも(笑い)」などと、のんきな感想を抱いていたのだ。

しかし、チームがNYに帰ってきた日。この日は折りしも対デトロイト戦であったが、ゲーム前にアイザイアが会見し、デイビスの5試合出場停止について、「残念だが、選手はやはりスタンドには入るべきでなく、リーグは例外を作れない。サスペンションは妥当な対応だと思う」という意見を述べた。またブラウン監督は「今回のケースは、昨年のアーテストのものとは全く違う。彼は、ワイフを助けにいったのだ。私だってきっとそうするし、他のみなも、そうだろう」と、デイビスに完全に同情する立場をとった。

会見後、メディア・ラウンジもざわついていたんだよ。元AP、現在はESPN.コムのクリスは、「ヘイ、カオル、アイザイアはなんて言ってた!?」なんて情報収集しようとしてるし、選手会のボスもラウンジ内で会見するし。メディア・ラウンジの中で誰かの会見が行われることなど、通常はめったにない。それだけに、この事件がいかに特殊かを物語っていたと思う。

その後、デイビスは「もしもまた同じことが起こったら、また同じリアクションに出ると思う」とコメントし、騒動の相手:ファン側のほうが「謝罪をしてくれるなら、訴えない」と交渉を切り出しても、「何も謝ることはない」と、断固とした態度を見せた。情報筋によれば、デイビスの奥さんというのは、騒動を起こすのがこれが初めてではなく、なかなかキレやすい(笑い)、勝気な人らしいので、一部のメディアは「彼女も悪かったのではないか」と批評しているが…。

--ともかく、アントニオ紳士のとった態度は「これでいいのよ」と、私個人的には思うよ。<一記者としての意見>はまた、もう少し冷静だけれども、ここで<一女性>としての、私的見解を述べてもいい? 女というのは、たとえ自分が間違っていても、<いつでもなんでも、俺は君の味方>というのを男性に求めているんです(笑い)。だって、普通に大人の、そこそこバカでない女なら「私もちょっとは悪かったかしら」とかなんとか、自分では既に分かってるもんなのだ。そこで、「君のためだ」とか言っておせっかいにもお灸をすえてくる夫など、いらないのよ(笑い)--。

というわけで、今回のこの事件、アントニオ紳士の女性陣からの支持率は、大幅に上がったことを保証します。<理想の夫>の、ドラマティックでロマンチックなヘルプだったと、いうわけです(笑い)。

さて、81得点のLA紳士。なんだそりゃあ~って数字で、私も一瞬、目を疑ったよ。フィル・ジャクソンは「このゲーム1つを取ってみれば、コービは既にマイケル(ジョーダン)を超えている」と評価。ゲーム終了後、すぐに彼の携帯電話が鳴ったんだって。それはマジック・ジョンソンからの、彼のゲームをほめたたえるためのコールだったそうだ。「このことは、81得点ということよりも、自分にとっては大きなこと。だって、マジックをアイドルと思って、僕は育ったんだもの」。

今、全米のコービ・ヘイター(コービを嫌いな人々。事件以来、より増えていたが)が、こんな感想を抱いてる。「コービのことは、あまり好きではない…でも、彼をリスペクトするよ」。

January 25, 2006 11:35 AM | コメント (14) | トラックバック (3)

2006年01月19日

Beast From East

ややや。元祖ケロヨンのスティービーくん(フランシス)がサスペンドをくらったり、かのレイさまが乱闘!?したりと(その姿さえも優雅です)荒れ模様のNBAですな。

コービとシャッQダディ対決もあったばっかだし。しかし、ブライアントさん。ヒート戦のときも思ったけど、だんだんにいい顔!?になってきたように思う。って、キレイ系のハンサムくんなのは昔からだが、何というか味が出てきたというか、目が格段に良くなった。「僕はゴージャス」というセリフがお気に入りの彼だが(笑い)、まあほんとにゴージャスなので許そう。コービが幼少期をイタリアで過ごし、イタリア語もしゃべれるのはご存知のところだろうけれど、<モード>の面でも<なんとなくヨーロッパ>の洗練を身につけているように思うな。今年はオールスター人気投票でも好調だし、ああいう事件で問題になっても、やっぱり実力と努力で世間をまた納得させることができるもんだと再認識。<チャレンジ>という言葉も好きなコービだけれど、今まさにそれを実践中か。

<いい顔>といえば、アレン・アイバーソン。

先日、対ボストンとトリプルOTを繰り広げ、さすがのアレンちゃんも最後はお疲れ気味であったが、ゲーム直後のヒーロー・インタビューを見ていてふと、「いい顔になったな」と思ったものである。

「ヘイ、カオル、30歳になったアレンはどうだい? 僕の目にはちっとも歳とったように見えないし、ファインダー越しでも変わらないんだ」とは、リーボックでアレンを長年撮影し続けてきたゲイリー。確かに、相変わらずのフォトジェニックとキュートさは変わらないのだが、なんというか<味>が出てきた。目じりに笑いジワが出るようになったけれど、それがまたセクシーといおうか。<成功者の余裕>がにじみでている顔ね。2008年のオリンピック参加、前向きな姿勢を見せてるアレンちゃんだけど、そうなると、この夏の世界選手権でまた、ジャパンを訪れるかも! 楽しみだよね。

さあ、なんか<いい顔>特集みたいだけど(笑い)、頑張っている人というのは老いも若きも実にいい顔なもんです。前回少し書いたときにも、もっと情報ほしい! という意見いただいた、こちら<いい顔>ジャパニーズ・ボーラー、中川和之選手に、またインタビューする機会を得た。NBAを目指してUSで頑張る日本人プレーヤーの1人であるが、現在はABAのハーレムストロングドッグス所属、司令塔のPGとして活躍している、もう立派なプロ・ボーラーだ。

小3のときバスケを始めて以来、専修大学までバスケ一筋。在学中にLAのロングビーチ・ジャムに見込まれ、専修大バスケ部を退部という形をとって、USに渡ってきた。

「一度きりの人生だし。後悔しないよう、やりたいことをやってみたかった」。

日本で既に実業団に入れることも決まっていた彼に、周囲の心配や反対はなかったか、と聞くとこんな答えが返ってきた。

「賢いPGだと思う」という自己分析。日本にいる間は主にSGだったが、こちらに来てからはサイズの面からなどでPGを務めるようになった。USでチャレンジしている日本人ボーラーを見ていると、大概とても頭の良い、そして基礎がしっかりしているプレーをするな、という印象を受けるが、中川君はこれに加えてジャンパーもうまいし、プレーのキレにおいてはピカ一(死語かな?)。最も、NYの寒さで手首が冷えてしまうとシュートが入らなくなるので、あまり好きでないリストバンドも着用したりしているのだそうだ。

「ヒップホップとバスケって、確実にあいますね、ノリが。チェンジ・オブ・ペースなどの練習のために、俺もミックステープとか聴きながらやったりします。あと、バスケって、<ずらし>が重要なスポーツですよね。それを身に付けられれば、極端な話、クイックネスはそこまで必要ないんじゃないか、とさえ思ったりもします」という話は印象的だった。

そういえば、チェンジ・オブ・ペース&リズムの大家:アイバーソンも、ヒップホップのミックステープ聴きながら練習する、って言ってたっけ。<忘れ物&落し物キング>なので財布等貴重品をチーム・スタッフに預かってもらっているという、オトボケな面もある中川君だけど、こちらアメリカン・バスケにつきものの<ニックネーム>は<Beast From East>。邦訳すると<東洋から来た野獣>!?という、ごっついものがいつのまにかつけられてたという。

「野獣ってキャラじゃないんすけど(笑い)。どっちかっつうと、みんなにいじられキャラなのに」と笑っていたが、いやいやどうして、プレーはなかなかハードコアですぞ。

January 19, 2006 12:17 AM | コメント (5) | トラックバック (0)

2006年01月11日

さすらいのロンロン

ニックス、やっと勝ち始めた! 良かった(うれし泣き)…なんだか、親バカみたいな心境。このまま勝ち続けてくれるといいがなあ。

勝ち続けるといえば、お隣NJネッツ、破竹の連勝街道まっしぐら!! こちらも親バカ!? うれしいね。

先日の@トロント戦では、ビンスのクラッチ3P!!!! 強豪チーム相手にも白星を重ねていたネッツだけど、私は、意外にもトロント戦は苦戦するのではないか、と思っていた。ここのところのラプターズは調子も良かったし、なんといっても、Moピートやボッシュを始めとするラプターズ陣は元チームメートのスーパースターのプレーを知り抜いているわけだし、そして繊細なビンちゃんがどれだけトロントの激しいブーイングに萎縮せずタフにいけるか、も不安のタネの1つだったけど、ついに<トロントの呪縛>も解け始めたかな…良かった、良かった。

ネッツは、スターター・ラインナップではキッドでなくビンスにPGポジションをやらせ、彼のスタイルのじっくりハーフコート・オフェンスを彼のテンポで作っていくようにしたこと、ファスト・ブレークは完全にRJ担当としたこと(トロント時代に故障してからのビンスは、最早ウィングを走るのはあまり得意ではない)、バックアップPGをマキニスでなくジャック・ボーンにし、ビンスのハーフコート・オフェンス以外のオプションではより速く走れる方向、テンポ・アップ--キッド、RJ、ケニオン時代のスタイル--に近づけるようにしたこと、などが功を奏しているように思う。今週のロード戦はあと2つ、どこまで連勝できるか、楽しみだ。

ところで<さすらいのロンロンP>、少し前には「やっぱインディアナに戻りたい」発言も飛び出し、全NBAファンの力を再び抜けさせたが、なんかほんとこの人って悪気なし、というか、憎めないおバカちゃん、て感じ。しかし、そう簡単に「ハイ、じゃあ戻っておいで」てワケにもいかず、ジャーメイン・オニールがチーム内で投票をとり、やはりそれは許せない、ということでチームメートの意志は統一されたそうだ。

ロンロンのこの<感情的>な性格は、DNAに組み込まれたものだとも言われている。

彼のダディは元ボクサー、神経過敏で激しやすくキレやすいタチで、ボクサーをやめてからも「ちょっと目が合った」程度のことで頻繁に他人を殴り倒したりしていたそうだ。他人だけでなく、妻(ロンの母親)にもよく手を上げ、幼いロンはその光景をも何度も目にし、恐怖と怒りを覚えていた。NYはクイーンズのHood(ゲットー地域)で育った彼は、ワラワラと子どもを抱えるアーテスト家にたまに来ていたベビーシッターが、荒れた生活から性病で亡くなり、その遺体が埋められていく姿までつぶさに目の当たりにした。彼の周囲は、貧困と暴力と落胆と荒廃と鬱に満ちていた。そんな中、幼い頃からすでに父と同じ<病的な短気>気質を表してしまっていた彼は、早くも8歳のときクラスの担任から、「ロン君はアンガー・マネジメント(怒りの感情を抑制する)のカウンセラーにかかる必要がある」と指示されてしまう。

NBAでも早速いくつかの問題を起こし、ここでも「アンガー・マネジメントを受けること」を指示された。そのときにロンがつぶやいたのは--

「そう…慣れてるよ。8歳のときから、受けているもの」。

彼の中には、「そんな自分が嫌だ」というもう一人のロンがいるという。

<自己の統一>ができ、<自分をまるごと好きになる>ことができたとき、ロンロンはこの問題を克服できるのかもしれないね。

<素晴らしいNBAプレーヤー--心身共に-->を目指すことで、彼の中にいまだ根強く残っている恐怖とか、そこから来るパニックなどが癒されたら、それこそNBAビジネスの究極の理想だろう。精神的な問題でダメになるには惜しいバスケの才能と、<お茶目なナイス・ガイ>の側面も持っているロンロンなんだから、頑張ってほしいよね。

January 11, 2006 10:42 AM | コメント (4) | トラックバック (0)

2006年01月04日

NYのお年玉

NYには、素晴らしい<お年玉>があったよ!!

連敗中のニックスが、強豪サンズ相手になんとトリプル・オーバー・タイムという激戦の末に勝利をモノにしたのだ! 満員だったガーデンは、沸きに沸いてまるでプレーオフのよう。

実はゲーム前、1日の練習時において、ジェローム・ジェームスがサスペンドをくらったという、なんだか暗いニュースが発表されていた。おそらく前夜のカウントダウンで飲みすぎたかなんかの彼が、その状態が抜けてない状態で練習に現れたかなんかだと思う。ジェームスは個人的にも批判されていたから、ヤケっぱちな気持ちでもあったのかもしれないけど、でも、苦しいのはニックス全員同じだよ---。

ニックスの大将、ポン吉。ここのところは、それこそ見ていて痛々しいほど、激しい批判にさらされていた。NY出身で、自身もとことんNYを、ニックスでプレーすることを愛し、必死でラリーさんシステムにアジャストしようとしていたポンだが、決して個人成績は悪くないのにチームが負け続けていることで、ここ2ゲームほどはホームで、自分たちのファンから、ブーイングをくらっていた。

NYは、メッツの松井稼頭央選手も体験したように、このように厳しいところだが、反面ニューヨーカーはNYという街を非常に誇りに思っているせいか、そこで生まれ育ったホームボーイであり生粋のニューヨーカーである人がブーイングを浴びせられるということは、そうそうあるものではない。ポン吉は、あまり大きくもない背中にその大ブーイングを浴びながら、必死でタフな表情を保とうとしていたが、さすがに少し萎縮したプレーをしたりして、「実は相当辛いんだな」ということが、ありありと出ていた。「ホームのファンからブーイングを受けたこと? ふん、大丈夫だよ。俺は、NY出身だぜ。NYがどんなとこか、十分に、知ってんだ」---負けたゲーム後に<上を向いて>そう言い切ってみせ、「NY流タフ・ガイ」を貫こうとしていた、泣き虫ポン。

オーランド戦ではラリーさんとまた衝突し、翌日の新聞を騒がせたポン。
しかし、31日に2人は会談を持って仲直りをしたようで---そしてこの2日のサンズ戦では、すこぶる好バランスのゲームをし、「これぞラリー・ブラウンがチームのスターPGに望むプレー」というのを実現してみせたのだった。

「とても大きな、素晴らしい勝利だった。我々には、ここのところ<スマイルできる>チャンスが本当になかったからね---」。ゲーム後のラリーさん、彼自身も穏やかに<スマイル>していた。

そしてゲーム後のポン吉。今日はトンズラすることもなく、通常通りに記者たちをじらしにじらしまくり、最後に<トリ>として現れ(笑い)、そしてこちらも久しぶりに記者たちに向って、ちょっとはにかんだような<ポン吉スマイル>を見せた。

私が<スポーツを好きな理由>を、改めて実感。<嘘のない、真剣勝負>にハラハラ、ドキドキさせられること、そして、その<真剣な姿>への感動。何かに真剣になっている人間の姿って、なんて美しいんだろう。

胸の真ん中へんが、きゅっとつかまれるような<ひたむきさ---人間の感情の中で一番きれいなものの1つ>を、存分に感じられる--そして、それによって起こる、涙や悔しさや、<スマイル>や・・・プレーオフ戦線には程遠いかもしれないけれど、ひとまずこの日のニックスは、大活躍したデビッド・リーやちびっこネイトもみんなみんな、<スマイル>してた! 負けたサンズだって、ナッシュもマリオンもみな、さすがに「これなら仕方ねえ」って感じの表情だったよ。素晴らしい<お年玉>、ありがと!!

January 4, 2006 09:07 AM | コメント (3) | トラックバック (0)