2005年12月07日
ナイスぼけ!ロンロンP
「僕たちは、フィジカル面でもメンタル面でも、十分にタフでない。<こん畜生!>っていう強い負けん気や態度が、勝利には必要だと思う。以前のネッツには、それがあった」
--3日の土曜日、スタンディング上で格下チーム、ラプターズにくだらない負け方をしたネッツ。キッドとともにファイナルを経験しているRJ(リチャード・ジェファーソン)は、憤慨した面持ちで思わずこんな言葉をぶちまけた。
私は、いつもの記者席、ネッツ・ベンチ側のバスケット裏からゲームを見ていたが、確かにRJのこの言葉にはうなずける、緊張感のない、ふやけたゲームをしてしまったネッツだった。同じ負けでも先日、デトロイトに負けたのとは全く種類の違う黒星。ローレンス・フランク・コーチは、あまりにも頭にきたためにオフィスルームのドアをたたきつけるように閉め、キャプテンのキッドも、彼らしく冷静ではあったが、その言葉と表情に明らかに怒りが見えた。
不満足の原因の1つは、ビンスの負けん気が十分でなかったように見えたことだろう。そろそろ収まってきたとはいえ、不仲であったと言われるサム・ミッチェル・コーチ、トレード騒動前後から彼に冷たいブーイングを与えてきたトロントのクラウドを今一度納得させるためにも、必死でやらねばならなかったはず。しかし、そこが彼の気の優しい性格ゆえの弱点なのだろうか、仲のよいMo・ピート(モーリス・ピーターソン)と、負けているゲームの最中にも笑いあったりふざけあったりしていて、何と言うか<締まっていない>感じだった。最近また、首から背中に痛みを抱えているのもあるのか、ゲームの頭から調子が出ず、おまけに途中で足首をやられ、いったんロッカールームに。復帰したものの足をひきずっていて、100%な状態でプレーできないのもあったのだろうが…。
私は彼を長年取材してきて、その超人的なダイナミックプレーに魅了されているし、気の優しい、繊細な性格も人間的にはいいと思うが、プロ・アスリートとしては今一歩タフになってほしいと、常々思ってきた。年齢的にも今がプライムタイム。今季は彼のキャリアにとって、非常に重要なシーズンになると思う。今が勝負どきだよ、頑張れ、ビンちゃん!
さて、ゲーム中の、勝とうとするがゆえの<緊張感>、これにおいて今季No.1といえるのが、真田のマイ・メン・ボーラーの1人といえようロン・アーテスト。この人はご存知の<乱闘事件>で、昨シーズンいっぱいをサスペンド。レジーの引退を飾れなかった大きな原因となった、かのお方である。
今までにも通算で10回のサスペンド、テクニカルファウルどころかフレグラントファウル・キングと呼ばれる<バイオレント・ディフェンダー>で、敵に脅威を与えてきた<暴れん坊将軍>だ。別れようとした元彼女への脅迫行為で訴えられたり、ニックスに負けたあと、マジソンスクエア・ガーデンでTVカメラをぶっこわしたりしたのは有名な話。冗談ではなく、<アンガー・マネジメント(怒りという感情をコントロールすること)>のためのセラピーに送られたりしていたのが、このロンちゃんなのだ。
やっとこさフレグラント・ファウルも減り、<ディフェンシブ・オブ・ジ・イヤー>も取り、NYはラッカーパークでストリートボーラーに隙間1センチまで鼻先を突き合わされ、トラッシュトークされても、何も言い返さずじっと我慢していた昨年夏。「もはや、怒りんぼうは治ったか」と思われた矢先の、デトロイトとの乱闘事件だった。
この事件については、それこそ賛否両論激論が飛んだので、今さらあまり言うことはないが、それまでのさまざまな彼の愚行とは違い、あの事件に関しては私は彼に同情的であった。若い男なら、というかきっと私でも、おんなじ行為に出たかもしれないと思えるほど、客も悪質だったからだ。
さて、その昨年いっぱいプレーできなかった欲求不満を一気に晴らすかのように、今季は毎試合毎試合、非常にモチベーションにあふれた、緊張感みなぎるプレーぶりを見せている。オフェンスでも素晴らしい存在感を見せていて、ジャーメインに変わってリーディング・スコアラーになることもたびたび。アグレッシブにドライブもこなし、3Pもスムーズに沈め、そういえば先月のネッツ戦でも堂々30得点してくれましたっけ…。彼がスコアリングのファースト・オプションになっているセットも多々見られ、<ディフェンシブ・プレーヤー>という肩書きだけでは足りず、レジーなき後のペーサーズにおいて、フランチャイズ・プレーヤーに昇格か!?という勢いなのである。
どのゲームも、見かけるたびにすがすがしい<やる気><負けん気>。今、見ていて気持ちのいいプレイをするプレーヤーの1人だ。
そんな彼について、みなきっと、「とてもテンションの張った人」というイメージを持っているのではないだろうか。私もそう思っていたし、実際に今でも、きっとそういう面を多々持っている男であると思う。しかし、彼に数度インタビューしてみて私が抱いた感想は、「~も~う、ロンロンPたら~、はぁ~」みたいな、おとぼけロンちゃんばっかり(笑)。
ちなみに、この<ロンロンP>という命名は私ではないのだが、このキャピキャピ系呼称もぴったりハマるくらい、憎めないおとぼけをかますロンちゃんなのである。
昨年サスペンドをくらった後はちょっとの間大人しくしていたが、さすがにヒマになったのだろう。しばらくしてちょこちょこ、音楽系などのTVやラジオで彼を見かけるようになった。ロンちゃんは、自身が経営するレコード・レーベル:Tru Wariarsを持っているのだけど、乱闘事件の少し前にも、カーライル・コーチに「音楽のほうが忙しいから少し休みをくれ」などと爆笑もののボケをかまし、2試合ベンチに座らされていたのだった。そのレーベルでプロモートしていたガールズ・グループを宣伝するため、BETの106Parkという番組に出演したとき。司会のAJに、「1年間給料をもらえないだろ? 生活は大丈夫かい?」なんてジョークをかまされ、「ゲットー出身だからね~。金のないのは、慣れてるさぁ~」なんて言い放って、私をも含めクラウドを大爆笑の渦に巻き込んだ。
今季、待望のNBAゲームということで、プレシーズン中に私が彼に日本のファンへのシャウトアウトを頼んだときも、「Yo,ジャパンのみんな、ロンだぜ! 近いうちに俺はジャパンへ行って、すげえいいショウを見せるからね!」って…。普通こういうとき、バスケのシャウトアウトだろうが、ロンちゃんよう(笑)、ってことで、私はまたもや笑いをこらえるので必死だった。そんなロンちゃんは、自分でラップもするんだけど、最近の作品名は、<Oh,Yeah>。ちょっとサビを説明すると「彼女が言う/Oh,/そして俺が言う/Yeah・・・」・・・・・・ロンロンロンPったら・・・。
てなわけで、普通に話しているときの彼は、非常にナイスなただのおとぼけクン!?なのだが、NYはクイーンズの、厳しい環境で育った彼にはやはり、根の深い、大きな問題があったのだった-以下、次回を待て!
December 7, 2005 11:21 AM
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コメント
Kaoruさん
精力的にアップしてくださり感謝です。おっしゃるとおり、ネッツは思いっきり当てが外れましたね。アブデュルラヒムをとっておけばよかったのに。VCもいまいちだけどあのフロントラインじゃあね。でもアトランティック地区は.500でも優勝できちゃう(爆)感じだから(トロント以外は)みんなチャンスありそうだけど。
アーテストのお話の続き楽しみにしてます。僕はそんなによく彼のプレーやインタビューを見たことがあるわけじゃないんだけど、なんというか「どっかネジが外れてんなぁ」という、すっとぼけた兄ちゃん、という印象ですね。暴力沙汰で(彼のしたこと自体の罪の度合いはともかく)出場停止中のインタビューで自分のレーベルで出たCDの宣伝するか、普通?!良くも悪くもマイペースというか一匹狼というか(でも「反逆するぜ!」みたいな意図のまるでない)、突き抜けちゃってる人よね。落ちついていて真面目で論理的なジャーメインとはいいコントラスト。カーライルコーチも大変だなぁ。
ところでKaoruさんにリクエスト。ネッツのクリスティッチとかのインターナショナルプレーヤーの話が聞けたらぜひ披露してください。米国内のメディアでもマヌとかノヴィツキーとかの話って、みんな通り一遍のストーリーばっかりで(「子供の頃からNBAでのプレーを夢見て、ユーロリーグを這い上がってきた...」的なやつ)、実際のところは彼らはNBAというものをどう見ているのかなぁといつも思ってました。ストリートボーラーやハイスクールのエリート選手がNBAを目指すというのは、まぁ「わかる」んだけど、外国で生まれ育ってバスケットを覚えた連中がどうやって具体的にNBAを目指すようになったのか興味あります。
では今週の東海岸の寒さはかなりBRUTAL!ですが、Kaoruさんも体をこわさぬよう。Happy Holidays!
Tac - Go Wolves!
投稿者 Tac : 2005年12月08日 00:36
ユーロリーグや外国からきた選手も、NBAに憧れてるんですよ。
かれらも、NBAでプレーできることを夢見て、大西洋の向こうでがんばってるんですよ。
投稿者 S : 2005年12月08日 12:22
ロンロンPなんですね!kaoruさん!了解です!!
私はレジー引退後、一体誰のゲームシャツを着てコンセコに行くべきか・・・と悩んでいたのですが(笑)
試合前の練習中の集中力!とファールの少ないディフェンス。読みに読んだスティール。
3Pシュート。何と言ってもタフなメンタル(クラッチは彼に・・。)ということでロンロンPのゲームシャツ、
170ドルお買い上げとなりました!!
次のブログお待ちしております!!!kaoruさんのブログpriceless!!!
投稿者 Sawa : 2005年12月10日 14:19
はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいてます。
今夜のビンス爆発でしたね!!
やっぱり彼のああいったアグレッシブな超人プレイは最高ですよ。
レブロンもそうとう凄かったですけどビンスファンとしては最高の試合でした!
この調子を保ってネッツを引っ張ってくれるのを期待します。
ヒート、ピストンズを倒してくれー!
投稿者 まこ : 2005年12月10日 22:30
僕も今期のロンには気迫や執念を感じていたのですが、、どうやらトレード志願発言をしたようですね。
インディアナファンなので毎度の彼の発言や行動には呆れてはいたものの勝利に必要な選手だと信じて応援してきました。ですが今回の発言には・・・。その辺のこともできれば記事にして下さいまし。
投稿者 こーちん : 2005年12月12日 09:09

