2005年11月16日
君はSkipを見たか!?
はぁ~、良かった。開幕以来、悪夢の5連敗を続けていた我がNYニックス、負け続けたままウエストコースト・ロードトリップ6連戦に出て、何とも心配していたところだったが、サクラメントにやっと1勝、そして今日のユタ戦は、なんと62得点に抑えるというディフェンスぶりで2連勝! ポン吉、今日はノーターンオーバー。昨夜の勝利では、マイ・メン・コーチ、ラリーさんも、飛び上がって喜ぶニックス・ボーラーたちに囲まれて、さすがに相好を崩していたね。このまま勝ってくれい…!
前回は、NBAをカバーする記者としての様子、心境、体験等を書いた。プロフェッショナルに徹するべき場面では客観的であるようにトライしているが、一個人に帰るとやっぱり、地元チームや地元出身ボーラーたちを応援したくなってしまう。そんな私の気持ちの中にいる1人が、NYはクイーンズ出身、ストリートボールのメッカのこの場所において、NBA入りした今もそのストリートボール界のカリスマとして君臨するSkip To My Louだ。
昨季まではラプターズでプレーしていたが、今季の開幕直前にロケッツへ電撃トレード。
本名:レイファー・オルストン。
Skip~のニックネームは、弾むように軽い身のこなし、まさにスキップしながらやすやすと演じてしまう脅威のボールハンドリングから名づけられた。
彼の一大功績は、かの<And1・ミックステープ>。そういえば、ミックステープツアー、2度目の来日が実現したばかりだよね! 見に行った人、いるかな? 今では各地のビッグアリーナをソールドアウトにするビジネスに成長したこのツアーも、最初は一ハイスクールのコーチがホームビデオ程度のロウクオリティで録画した1本のテープだったのだ。このビデオテープに映し出されたやせっぽちで小柄な、だが恐るべきクイックネスとキラー・クロスオーバーを繰り出すポイントガードの少年こそが、<Skip>だった。
このSkipのビデオにインスパイアされたAnd1が「ビジネスにできないか」と考えたのが、ミックステープ。Skipのマジックのようなボールハンドリング、足さばきは、NBAルールではダブルドリブルやトラベリングといったバイオレーションを取られてしまうかもしれないが、「とにかくエキサイティングならいい!」というストリートボール・シーンのクラウドたちを大興奮させて、ミックステープツアーの人気を盛り上げる原動力となったのだ。そしてNY、いや全米中のプレーグラウンドの聖地として知られるハーレムのラッカーパークを、熱く沸かせ続けた。
古くはマニゴールトなど、オールドスクール・ストリートボール・レジェンドも数多くいるけど、あなたがもし今、NY、いやアメリカに遊びにやってきて、ストリートで出会う人々に「ストリートボール・スターは誰?」と聞いてみたとするなら、まず90%の人々は、このSkipの名前を挙げるだろう。それぐらい、有名なんだよ、彼って。
一昨年の春、既にプレーオフ戦線から離脱していたラプターズがNYにやってきたとき、このラプターズの優しいPR、ジムに「トロントのストリートボールシーンって、どうなの?」と聞いてみたことがある。そのときの彼の言葉が、いまだに忘れられない。
「今のところは全然だね。でも、これからは分からないよ。なんたってトロントには、<Skip>がやってきたんだからね」
--ジムはそう言って、ウインクしてみせたのだ。
Skipの生い立ちも、決して楽ではなかった。彼はオーガナイズド・バスケットボールをあまり体験することなく、ミックステープに拾われた。強豪有名カレッジ出のボーラーたちと違って、強力なエージェントもつけられず、最終ゴールだったNBA入りを果たすまで、苦労と努力をし続けたのである。
98年、バックスに2巡目でドラフトされたが、その後1度、CBAに落ちた。あらためてバックスと契約し、ウォリアーズともFAでサインしたが、すぐにカットされた。ラプターズと10日間契約を結んだ後、ヒート入り。ここで何とかやっと実力を示すことができ、ラプターズと2度目の契約を果たし、ビンスがいる間についにスターターにまでのし上がったのだった。
昨季、NJにトレードされた直後のビンスが、「トロントでは必ずしも毎晩、ベストを尽くしていたとは言えないかもしれない」という発言をして大問題となったとき、ラプターズの面々の中で一番怒りをあらわにしたのが、このSkipだった。「純粋にストリートボールから出てきて、努力の末にNBAのスターターの座を手に入れたボーラー」としてリスペクトされているSkipにとっては、ずっと正統派なスター街道を歩いてきたビンスのこんな発言が、許せなかったのだろう。
このSkipが先週の土曜日、ロケッツのメンバーとしてNJにやってきた。ラプターズでは「僕はやっぱり、このリーグには向いていないのかもしれない」などとコメントして騒がれたが、ロッカールームを訪れた私が目撃したのは、いつものように明るいSkipだった。夏の間、ストリートボール取材もしている私にとって、Skipはプレーグラウンドでもいつも出会うボーラー。そんな私を覚えてくれていたのか、「Here she is! ほーら、彼女がまた、やってきたよ」と言ったり、明るくウインクしたりして、いつでも気さくにあいさつしてくれるのだ。今でも<Down To Earth>-気取らず、庶民的、という意味のイディオムだけれど、そんな言葉がぴったりの姿勢で接してくれるナイスガイ。
「Hey、Skip,新しいチームはどう?」
「What’s up、girl? もちろん、ご機嫌だよ! トロント時代とは、明らかに役割も違うけれどね。エンジョイしてる」
「夏前は、この夏はストリートボール・シーンに戻るかわかんねえ、なーんて言ってたけど、結局数個所であなたのプレーを見れたものね」
「えへへ。ストリートボールは、僕の故郷のようなものだからね…」
--そんなことを話していると、横から他の選手のチャチャが入る。「アーイ、なんたって俺たちには今、<ラッカー・(パーク)ガードがいるからねえ。ニューヨーカーにも、一目置かれるだろうね!」
それを聞いて、うれしそうなSkipに、日本のファンへのシャウトアウトをお願いした。
「みんな、元気かい? 応援ありがとう。いつの日か、ジャパンに行くからね! そして、ジャパンのプレーグラウンドで、ストリートボールもしたいな!」
Skipの武器の1つは、その脅威のクイックネス。特に1歩目のストライドの大きさと速さは、アイバーソンをもしのぐかもと思えるほどだ。目の前で見ると、まるで風を切って疾走していく音が聞こえるようだよ。今季、ロケッツでどのように活躍できるかにも注目、でも、私からみんなへのリコメンドは、
Skipのプレーの魅力をひしひしと把握するためには、やはりストリートボール・シーンでの彼のプレイも併せてチェックしてほしい、ってこと。
プレーグラウンドでは、その伝説のムーブをどんどん繰り出してくれるし、その上でまたNBAでの彼のゲームを見ると、いかに適応能力があり、底力もあるのかが、よーく分かると思う。そして、プレーグラウンドでは「Skip~!!」って叫んでみてもいいかもよ。気さくな彼は、聞こえさえすればきっと笑顔で、応えてくれるはずだから。
November 16, 2005 11:47 AM
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コメント
先日なんと無しにこのブログと出会うことができたのですが、それ以来とても興味深く読ませていただいております。
NYはユタ戦で、3Qを9分半無得点に抑えたようですね!
さすがLarry Brownの指揮するチームです。嬉しいです。
自分はGYMRATS[⇒ http://www.doblog.com/weblog/myblog/46422 ]という日米を中心として活躍・挑戦をつづけるバスケットファミリーのブログ側の管理を行っているMUЯ(まー)と申します。
彼らの姿はきっと真田さんにとってもエキサイティングだと自負できますので、ぜひ御覧いただきたいです。よろしくどーぞ★
ちなみに数日前のこちらの記事、『Dress Code』は改めて日本のバスケ好きの人達に紹介したかったので、トラックバックさせていただきました。よろしくお願いします。
それではまた寄らせていただきますね。では!
MUЯ
投稿者 MUЯ : 2005年11月20日 06:16

