Hangin' Around The NBA Wit Kaoru

2005年11月09日

ザ・真田記者!

寝不足の日々が続いてます!・・・って人、私だけじゃないよね、きっと。ニックス、ネッツと2つの地元チーム、ほぼすべてのホームゲームにアテンドしている私。加えて最近は、取材の必要性から、朝にネッツの練習に通い、夜はゲーム取材、帰ってきたら他チームのゲームをTV観戦、とまあ1日中NBA、NBA。さすがに、「今、何日の何曜日?」って感じになってきてる真田です。

しかし! 昨日のビンちゃん(ビンス・カーター)、そしてケロっちドウェイン(・ウェイド)のプレー、なんだありゃ~! やっぱり魅せますね、2人は。ビンスはビハインド・ドリブルでガードを交わして、彼らしいダイナミックな振りのワンハンドダンクをZo(アロンゾ・モーニング)の頭越しにたたき込んだ!! どこのどなたでしたっけな、2年前に「もうダンクはしないんだ」とぼそっとつぶやいてたお方は…そしてケロの、滞空360度スピン&バックレイアップ!! 本当に、素晴らしいボディーコントロールのお2人だ。

方やプレーヤー・オブ・ザ・ウイーク。ウエストのコービー(・ブライアント)はまあ、驚きもしないが、イーストは今うわさのT.J.フォード! ほーらね、やっぱり…とうなずいた私。開幕から強烈な印象を残し続けているもの。このままいけば、MIPかも(ってほんとにまだ、始まったばっかりだよね)。

さて、ゲームについてはホント、皆さんもそれぞれお気に入りチームや選手、在米の方は地元チームやらのゲームを日々楽しんでると思うんだけど、今回は少し、<メディアつれづれ>な話。今季もあらためて<NBAメディア現場の勝手>を再認識しているとこなので--。

私の場合は、職業柄ミュージシャンなどのアーティストをインタビューすることも多いんだけど、そんなとき、いつも実感するのが、NBAでのアスリート取材の難しさ。何がアーティストたちと違うのかというと:

1、シーズン中の82試合、追い続けないと的確な質問ができない

2、アーティスト取材の場合、事前にインタビューのリクエストを出して、それが通れば敢行するので、きちんとしたセットアップの元、ゆっくり行える場合が多いが、NBA取材の場合、特にスーパースター級選手の場合は至難の技。となると、囲み取材(TVで見た事あると思うけど、各メディアがいっせいにマイクやレコーダーを向けて、質問開始ってやつね)から何とかタイミングを見つけていくのが常道

3、「よし、今日はインタビューの準備万端!」と思って気張って行っても、お目当ての選手のチームが負けたり、個人の成績が振るわなかったりすると、やはり機嫌が悪いのでなかなかいいコメントを引き出せない

…といったようなことがある。まさに<タイミングを見計らう>ことが非常にキモになってくるわけです。

囲み取材では、まずいい場所を<陣取る>ことから開始。せっかくいい場所をキープしていたのに、後から入ってきた私の2倍くらい大きいTVカメラのおじさんに、「お前の頭や手が映るから、のけ、のけ」みたいに手で払いのけられそうになって、ケンカになったこともたくさんある。私らは彼らの目には<アジア人の小娘>に映っているので、「おとなしくて何も言えないし」とナメられていることが多いのだ。そこで「なんだようテメエ、あたしが先にここにいたんだい!」とにらむと、結構ビックリされるんである(笑い)。

この陣取りに成功した後は、今度はいかに自分が質問するタイミングをつかむか。とは言っても私の場合は、毎回毎回何か聞かなくてはいけないわけでもないのだが、ときには「今日はどーーーーしてもこれを聞かないと原稿が書けん!」と、ドキドキ、ギラギラしながら待ち構えることもある。

スター級の選手たちは大抵、いつまでも残っていると際限なくメディアにつかまってしまうので、囲み取材時に一瞬でも質問が途切れると、そこで終了! とササッと素早く場を離れてしまう。なので、何か聞きたい場合には、だれかの質問が終わったら間髪入れずに自分の質問をぶつけなければならない。

ときには他の記者と、言葉頭が重なることもある。そうなった場合、どっちが勝つのかというと、だれか1人、ときには2、3人と重なっていようがいまいが、強引に自分の質問を続けた人が勝つ。つまりこれは、<押しの強さ、図太さ勝負>

こういった状況が私に起こった場合、歴戦のアメリカ人おじさん記者たちにつたない英語で勝てるわけもなく、たいていシュルーッ…とフェードアウトで引き下がるはめになり、悔しい思いをするの。でも、アメリカ人女性記者の中には、ベテラン男性記者たちとかなり張り合える強気な人もいて、カッコいいんだ! そういえば、先日のFox Newsのお姉さんも頑張っていた。次から次へとてきぱき質問をぶつけ、ときにポン吉(ステフォン・マーブリー)に「今の質問、意味わかんねえ」などと言われてもめげず、任務をばりばり遂行していたよ。

先日も仕事仲間と話してたんだけど、「この仕事を始めたころの方が、何も分からないから<バカ>をやったね。だんだん様子が分かってくると、逆に何も言えなくなってくるよね」と。そうなんです、私の場合もまさにそうだった。このコラムの初回にも書いたけど、ホラ、<ミスタ・あいばーそん>なんて呼んでみたり、とんちんかんなところでとんちんかんな質問をしてみたり…今ではだいぶ勝手が分かってきたので、逆に恥ずかしくなったのである。

ゲーム前後のロッカールームや記者会見など、いくら質問が許されているといっても、やっぱりT.P.O.というのがあるんだよね。ゲーム後や記者会見では、やはりその日のゲーム、バスケットボール、リーグの旬のニュース事項などがふさわしい質問で、いくら自分のインタビュー記事用に、<なになに選手の好きな色>や<乗ってる車は何?>なんてことを聞きたいと思ってても、それはちと難しいし、強引に質問したら白い目にさらされることになる。なので、そういった質問をしたいときは、練習時の囲み取材などで、更に<最終的には1on1になる>という図に持っていくのがベスト。囲み取材というのは、別にみんながみんな最後まで一緒に残っていなくてもいいわけだから、だんだんに1人、2人とひけていくわけね。

ここで私の技を話しちゃうと、周囲の重鎮おじさんたちにバカにされないよう、ひいては選手にもバカにされないよう、まずはバスケ関連の質問から始めるの(やっぱり、バスケのことを知らないと--私みたいに<小娘>だと特に、「こいつ、バスケのことなんて知ってんのか?」と思われていることも多いので、「私だって分かるんだから!」というのをまずは示してみせるのだ)。たとえ、本当はその質問は自分にとってそのとき必要なものでないにしても。それで、2、3問目にはもう周囲を撃退したいわけなので、なんだか既に聞き古されているようなものを混ぜる。ここでみんなが引いていってくれたらシメた! というわけで、自分なりのオリジナルな質問、またはとてもカジュアルなオフコート関連の質問、はたまた選手の人生に迫るディープな質問等、初めて出せるわけ。だから、たとえ本当に聞き出したいことは1つでも、それを聞き出すためにいくつか他のものも用意していくんです。しかも、不自然にならないよう、質問の順番、種類などを結構吟味して、<スムーズな流れ>を考えていくの…

と偉そうなウンチクをたれましたが(笑い)、実際にこれが成功するのは、そうだなー、10回中3回くらい。あとの7回は、まず最初の質問で切り込んでいく段階で「今、質問途切れたの、今かな、今、いいかな!?」なんてちゅうちょした一瞬の間に、終わったと思って選手が去ってっちゃったり、つかんだ! と思っても、肝心の本命質問をぶつける前に「もー今日は、時間だよ~」ってなことでPRに選手を連れ去られちゃったり…。私はほんとはかなりの照れ屋さんなので、ちょっとテンションが下がっていたり、疲れてぼーっとしてたりするときなど、もじもじして言い出せなくて、結局ムダ足だった、なんてこともしょっちゅうなのだ、実は(笑い)。

…と、長々とメディア話を語ってしまったけど、そんな感じで今季も日々、重鎮おじさん記者たちと格闘している。大変なことも多いNBA取材だけれども、私にとってやってよかったと思える理由の1つは、「他人の気持ちを考えられるようになった」こと。

NBA取材を始める前の自分は、決していじわるな子ではないけれど、ずっとお山の大将だったし、単純で鈍いがゆえに、女にしてはかなり人の気持ちにうといというか、読めないほうであったように思う。それが、「今は負けた直後だから、こんな質問は嫌だろうな」とか、「今はすごくシュート練習に行きたそうだから、引き止めないほうがいいかな」とか、「こんな話題から入ってこう持っていったら、気持ちがほぐれてフランクに話してくれるんじゃ?」とか、「この人はぶす、っとしているけど、なんだか心の中はいい人みたい」なんて、いいインタビューがとれるように彼らの気持ちを一生懸命考えてみることで、だいぶ成長したように思うのだ(といっても、まだまだと思うけど…)。

決してご機嫌とりをする必要はないけれど、NBAプレーヤーも人間。人間としての彼らのいい話を聞きたかったら、記者側にもやはり、<思いやり>は必要なのだ。

そんなことを思いながら---今季もまた少しでも、記者として成長できればいいなと、思っている。

November 9, 2005 10:46 AM

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» 今週のNBA~第1週のプレイヤー・オブ・ザ・ウィークが決定! from ぐっぴぃ1978の部屋
プレイヤー・オブ・ザ・ウィーク イースタンはバックスのT.J.フォードが受賞! http://inews.sports.msn.co.jp/nba/news... [続きを読む]

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コメント

面白かったです。
僕もスポーツ記者になりたくて頑張ってます。
これからも良い記事を楽しみにしてます。

投稿者 yuuhi : 2005年11月09日 15:58

いやあ、すばらしいです、そのスタイル。 他人の気持ちをっていうのは、僕は大学生時代にバイト先の先輩に叩き込まれました。 彼とは今でも大親友です。 友人に恵まれたな、と思います。 そういえば僕も一度はスポーツ記者(ジャーナリスト)を夢見たことがあり、「そんなこともあったなあ」と懐かしんでしまいました(^^) まだ日本のNHK/BS1で青島健太さんがアメリカ4大スポーツニュースのコメンテーターをやっていた頃、15年くらい前の話です。  かおるさんの「バスケ知ってんだぜぃ」的なことや青島健太さんの質問・視点は、経験者だからこそ、と言う背景があるので武器ですよね。 逆に理論だけでは一歩間違えると「知ったかぶり」となるし、難しいところです、評論家はそれでいいかもしれませんけどね~。(評論家の皆様ゴメンナサイ) でも記事を書くとなると、頭で分かった上でプレーやシチュエーションがイメージできないと言葉(文字)にならないですもんね。 NYは寒いでしょうから、体調に気をつけて下さいっす。 これからもスルドイ切り口&オモシロイ切り口、楽しみにしていますヨ。

投稿者 オレ竜ドラきち : 2005年11月10日 01:17

かなりの頻度で記事を拝見しています。バランスを取るのは難しい事だと思いますが、らしさを失わずに頑張ってください。
偉そうに言ってすみません。ジツは憧れてます・・

投稿者 れこ : 2005年11月10日 08:02

今回も楽しく読ませていただきました。

もし私が有名人であったら、ぜひともKaoruさんにインタビューされたいです。
仕事でも何でも、結局は人との関わりですもんね。
思いやりは欠かせませんよね。

この記事でとっても共感したのが
「アジア人の小娘はおとなしくて何も言えない」の所です。
実は今、私はカリフォルニアに住んでいます。
そしてKaoruさんのコメントの通り、バカにされることが多々あります。
最近はそれにめげることなく彼らの先入観を粉々に壊してしますが、
以前は何度も悔しい思いをしました。
記事を読んで、Kaoruさんも同じ経験をして頑張っているんだなーと思うと、
私も頑張るぞ!という気持ちになれました☆

これからも記事を楽しみにしています。

投稿者 にょろにょろ : 2005年11月10日 12:31

いつも楽しく拝見しています♪

田臥君がNBDLで頑張っているようなので、何か情報入りましたらお願いします~

投稿者 やす : 2005年11月12日 12:57

いずこの世界も相手の心理を読めないとなかなかお仕事にならないというのは世界中同じなんですね。プロ同志の熱い戦い(プレスと選手のやりとり)の中で、お互いの心が通い合う様は何よりも美しい光景だと思います。これからも熱い記事を楽しみにしております。

投稿者 kyk : 2005年11月12日 20:54

今回の話もまたかなり引き込まれました!!
あたしもまたスポーツ記者を目指している一人です。この業界は女にはキツイといわれる中、まして巨大なアメリカ人のおっちゃん達にもまれながらそれに負けずにやってのけているかおるさんを尊敬します!!

でも本当に好きなことに関わった仕事ができるならいくらでもがんばれますよね…
すごくうらやましいです。
あたしもかおるさんに続けるような記者になれるように頑張りたいとおもいます!!

にしてもタイミングって言うのはほんとに難しいと何事に関しても思いますけど、ましてスター選手の機嫌を損ねないように、かついいネタをゲットするのってかなり難しいですよね…
今回のかおるさんの取材のコツを呼んでなんかすごい刺激を受けました!経験から自分なりの手段を見つけるっていうのがすごいかっこいいです。

これからも頑張ってください。でも忙しすぎて体を壊さないように気をつけて下さいね。

投稿者 funkastic : 2005年11月18日 05:56