Hangin' Around The NBA Wit Kaoru

2005年07月27日

Sugar Ray

アメリカという国は、住んでみると分かるが、やはりとても<若い>国だと思う。どういうことかというと、人間と同じで、若いがゆえの元気さ、自由さ、パワー、そういった要素にはあふれている。いわば食べ物でいったって<ハンバーガーとフライド・チキン>、力強く単純なお国柄。伝統の重みがあって、さまざまなしがらみに縛られることの多い国々の人々は、こういう<若さ>にあこがれてアメリカにやってくるわけだが、歴史と伝統からにじみ出てくる<優雅さ>は、やはりこの国には感じられない。

現在のNBAで、そんな<優雅さ>を、頭の先からつま先まで、そしてプレーの隅々にまであふれさせているプレーヤーといったら、この人1人しかいない。

レイ・アレン。<Sugar Ray>の異名を持つ、貴公子。

アレンちゃんやらベンさんやら、プレーヤーの名前をそれぞれのキャラにあったエクストラを添えて勝手に呼んでいる私だが、

もうこの人だけは、誰がなんといったって、<レイさま>なのである。

こう書くと、まるで昔の少女漫画に出てくる二枚目役を、周りの女の子たちがキャーキャー言いながら呼んでいる、といった風情かもしれないが、私は決してそういう少女ではなく、かなりマッチョなガキであった。しかし、そんな私でも、<レイさま>は、やっぱりぴったりだと思う。

だってほんとに彼は、少女漫画の王子様役のように、いつでも背景に<お花>が見え、フリルのお洋服がハマるであろう、唯一のNBAプレーヤーなんだもの。

そんなレイさまの優雅さは、やはりアメリカで培われたものではない。

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両親ともにミリタリーという家に生まれた彼は、ベースからベースへの転勤が多い両親のもと、幼少期をイギリスで過ごす。レイさまは、いつでも微笑んでいる、ハッピー・エンジェルだったらしい。クラスメートと仲良くなる社交術も天下一品だったそうだ。このイギリスで、彼はフットボール、サッカー、野球など、あらゆるスポーツを経験。なんでもできた。彼の<優美>な体のバランス感は、いわば天性のものであった。レイさまの母はしっかり者で、「スポーツでうまくいくには、頭を鍛えることも重要よ」とレイさまに諭したので、彼は勉強や読書も苦ではない子供に育った。

10歳のころにカリフォルニアに帰ってきて、そこからはバスケ・エリートの道をまっしぐら。名門UConn(コネティカット大)に進み、NBA入り。ちなみにレイさまがNBA入りした96年は、新人豊作の年。アイバーソンがNo.1ピック、そして当時話題をさらっていたセンターのキャンビー、NYが誇るマーブリー、コービーもこの年のピックだった。レイさまはバックスから指名。そしてご存知のように、長いことミルウォーキーに住んでいた。

私が初めてレイさまを取材したのは、もう随分前の話。バックスのロッカールームで、我がサム(キャセール)兄貴が、「よぉ、おめえはよぉ、そんでよぉ、がはははは!!!」とぎゃーぎゃー騒いで、<キャセール色>にあたりを染めている中、「おや、あそこの1コーナーは、キラキラしている・・・」と思ったら、そこに<Sugar>はいらっしゃった。

英語の<Sugar>は、<砂糖>だけれども、それを受けて<甘い>フィーリングのものに形容詞的にも使われる。レイさまの場合は、まさに<甘いマスク、甘い語り口の二枚目>という意味なのであるが、確かにそこだけ、甘ーい匂いまで漂ってくるかのような、別世界であった。レイさまを囲む数人のメディアもつられるかのように、静かに優雅に<談笑>していて、スポーツの取材光景ではないかのようだった。

レイさまはメディアから、<最もメディアにナイスで賞>といったようなアワード!?を受けられるくらい、<メディアあたり>が良いと聞いていたので、初めて質問する私もあまり緊張することなく、話しかけることができた。彼の口調はとても柔らかく、甘い声であった。<Kaoru>という名前は、アメリカ人には発音が難しく覚えられにくいので、私のステージネーム「Cheyenne」の方で自己紹介し、2、3質問し、ありがとうといって終了しようとすると、レイさまは私に片手を差し出し、

「Thank you、シャイエン・・・」と微笑んだ。「うっ、こりゃー、やばい!」

 その瞬間、悟った。初対面で、1度しか耳にしていない1メディアの名前を、彼は即座に記憶しているのだ。レイさまほどのスター級選手ならば、それこそ1日に相手するメディアの数だけでも相当なもの。いちいち記者の名前など覚えていない選手が多いのに、彼は男性メディアにも女性メディアにも分け隔てなく、相手の名前をはさみながら、丁寧に優しく、会話する。男も女も老いも若いもみんな、レイさまの<砂糖>にやられてしまうのだった。そしてそこだけ、アメリカのファスト・フード店ではなく、優雅なイギリスのハイ・ティー・タイムが流れているのである。

その次にレイさまにインタビューする機会があったとき、その<優雅なイメージ>を悪く解釈され、「レイはソフト(軟弱)だ、プレーも含め」と見当違いされやすいことについて、質問した。彼は私をじっと見つめながら、こう答えた。

「僕の顔って、イノセント(無垢)らしいね。優等生で、クリーンで、タフでない柔らかいイメージ。キミも、そう思っているんでしょう? でもね、僕はこれでも、結構ワイルドな人間なんだよ、ほんとは…仕事でも、遊びでも、恋愛でも、ね」。

含めるような目で語られたそれはまさに、あの日本の二枚目セリフ・クラシック、「俺に触れたら、ヤケドするぜ」の英語<Sugar>版。レイさまはそのときも、背後に<バラ>をしょっていた。

確かにレイさまは、結構ワイルドな人に違いない。16歳のときには既に子供がいたし、<ソフト>なことを嫌うスパイク・リーにほれ込まれ、彼の映画<He Got Game>に出演もした。レイさまが<ソフト>だというのは、本当に勘違いである。

バランス感が天才的なので、そのムーブは恐ろしく<シルキー>。ルックスだけでなくプレーすらも優雅なことから、勘違いが起こるのかもしれないが、彼のメンタル・タフネス、負けん気、アグレッシブさは、超一流だ。かのジョーダンにもそれをきちんと評価されて、ジョーダン・ブランド傘下にも入ったのだから。1つ1つのムーブがスムーズにつながり、ムダがないのでケガも少ない。冷静に考えてみると、むしろかなりタフなプレーヤーの1人である。

そして、あの脅威のクイック・リリース。どんな体勢からも自分のシュート・ポジションに持っていくあのセンスは、現在でもリーグNo.1だと私は評価している。今季のシアトルは絶好調だったけれども、レイさまはそのドライブも思う存分使ってみせていた。ペネトレイトですらも、流れるかのような優美な動き。一時期は彼のゲームももう終わり、減給でトレードか、とささやかれたが、なんのなんの。<Sugar Ray>健在を見せつけ、シアトルにステイすることにもなったしね。

そんな<Sugar>に対しても年月は残酷なのか、最近、頭頂部のM字型が進行していらっしゃるのが少し切ない(ごめん、レイさま&レイさまファン)が、優美なお顔は変わらない。今オフもきっと、趣味の絵画集めのため、フィアンセと一緒にギャラリーに通っているのだろうか。ああ<Sugar Ray>よ、永遠に。頼みます。

※写真は2000年9月、埼玉スーパーアリーナで行われた「スーパードリームゲーム」で米国代表として日本代表と対戦したレイ・アレン

July 27, 2005 10:44 AM


コメント

 いつも楽しみにしています。今回のコラムは爆笑でした。いつもながら、いいところを付いてます。レイさまは、何と言ったってレイさまですね。サイコーです。

投稿者 サバ : 2005年07月28日 10:08

薫さん、書中お見舞い申しあげます。
レイアランの記事どうもありがとう、シアトルにいても誰も貴方のような記事書かないから、選手のことはわからないですが、毎度のよう貴方の記事を楽しくまた興味深く拝読しています。ところでラリーブラウンのことどう思います??
感覚的にはラリーがピストンを見限った。。としか映らないのは小生だけでしょうか?

以上

投稿者 奈 : 2005年07月29日 07:39

みなさーん!!!元気にしてますか?
ほんとーーーーに、ご無沙汰してしまってごめんなさい。忙しいのは相変わらずなんだけれど、もーーーーう、NYの蒸し暑さに加え、我がオンボロエアコンのセットアップが上手くできず、汗だくな毎日。さすがの真田も、夏バテ、ってます。ああ、日本のおいしいザルそばとか、冷麦とか、ちゅるるる~っ!っと、「おじさん、そばの前に、大根おろしとヒヤも一丁!」・・・なーんてできる、日本の夏が私にもあれば(泣)。いっきに回復するのに。
さて、皆さんからいただいたコメント、なかなかレスできなくてすいませんが、でもほんとに全部!楽しく読ませてもらってます。ほんとうに、ありがとう。
その中で、疑問点のいくつかに、遅ればせながらお答えすると:Wogさん、確かにステフには、ザックという弟がおるのは私も知っていました・・・しかし、ブラックの方々にはよくある話ですが、このザック君が果たしてステフ直系の弟さんに当たるのかどうか、イマイチ不明瞭なのですね。ママかパパが違う可能性もありまして、いったいいつごろからステフの周りに出現したのか、未だ謎なんです、私には。かといって、デリケートな問題ゆえ、なかなか本人に面と向かって質問するのも勇気が要り・・・というわけで、あえて触れなかったのですが、Wogさんのご指摘どおり、ひとまずザック君が存在するのは確かです、皆さん!というとことで。
あと、アレンちゃんマニアさん。コーンロウの件ですが、そうでしょう、私もね、実は以前は、アレンちゃんが最初だと思っていたのですよ!でも、よくよく調べてみると、実はスプリ親分の方が、コーンロウNBAデビューは先なんです・・・ちょっと驚くよね。でもまあ、なんといっても、コーンロウ自体を爆発的に印象付けたのはアレンちゃんしかいないですから。彼が立役者なのは、間違いないですよね。
アレンちゃんといえば、真田は今日、<マイ・メン・ギャングスタ・コーチ>、ラリーさんの記者会見に、行って来ましたよ!いやー、ほんとに、NYが楽しみになりました。ラリーさんは、相変わらずゆったりした、アレンちゃんと同じ周波数の語り口でした。また後ほど、レポートしますね!しかしほんとに、ここ最近のNY・メトロポリタンエリアに我がマイ・メンが続々と集結してくる事態には、偶然なのは分かっていますが、怖いくらい。遂にコーチ・ブラウンまで来てしまうなんて。彼の若い奥さんが好きだというおスシ、NYの良い店を教えてあげたいなぁ~、なんて思っていますが、どうでしょう?

投稿者 kaoru : 2005年07月29日 15:34

kaoruさんこんにちは。

レイさまは私がバスケをプレイしてた頃にショットのお手本にしてた人なのですよ。結局何一つ似てるトコのないフォームになってしまいましたけどね!!彼のシュートフォームを見れば見るほど彼が遠くなっていきました!!
そういえば私、映画 He Got Game を見てないんですよ。や、サウンドトラック(Public Enemyのやつ)は聞いたのですよ。元々このサントラでこの映画の存在を知ったのですけどね。で、映画みてないんですよ。いつかみたいなぁ。

ラリー・ブラウンがデトロイトを出て行ってしまいましたが、早速ニックス入団会見でも粋なことを言ってくれてますね。
ラリーが出て行ってしまったものは仕方のないものとして、デトロイトは来シーズンどうなりますかねえ?来シーズンもあの「凶悪な」ディフェンスが続くといいなあと思います。

投稿者 ゆで豆腐 : 2005年07月30日 02:15

kaoruさんこんにちは。
いつも楽しく読ませて頂いています。
今回のコラムも面白かったです。
わたしはレイさまがバックスに入るころからのファンで、96年組が騒がれる中、地味?に応援し続けていました。
昨シーズンはいちばん輝きを放っていて、ファンとしてはうれしい一年でした。
おかげでソニックスも快進撃。オフ、レイさまは残留のようですが、他のメンバーがだいぶ出ていくようなので気になるところです。
最近某店でHe Got GameのDVDを買いました。DVD/ビデオを扱っている店があるとちょこちょこ探していたのですがなかなか見つからず、かなりの月日が…。ようやく手に入れ、うれしい限りです。
ただ、我が家にはDVDプレーヤーがない…!! あちゃー。


投稿者 tare : 2005年07月30日 17:40

薫サン、初めまして。

ダンクシュート誌のBBSで書き込みしてる『ケンプ』です。

AIとレイ・アレンの記事、楽しく読ませてもらいました。
薫サンのインタビュー、面白いです☆。
これからも、ドンドン面白い記事をお願いします。

ガンバッテ下さいね~。 (^▽^)ノ

Cheers!!

投稿者 kemp : 2005年08月03日 22:38

初めて3Pのクイックリリース見た時には、「あんなのアリ?!」って思いました。本当に速いっ!!!

プレーぶりは本当に優雅だなぁと。Silky Smooth ってやつですか。。とても真似できる代物じゃないです(苦笑
でも優雅であると同時にものすごく強気だし、天才肌であるが故、敵からしたら本当に「ヤなやつ」かも知れないですね。。

今間違いなく、キャリアの中で絶頂期を迎えつつある彼には、これからも自分含め多くの人を魅了していって欲しいなと思います。

投稿者 urota : 2005年08月04日 13:15