Hangin' Around The NBA Wit Kaoru

プロフィル

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★真田薫(さなだ・かおる)
 埼玉県出身、NY在住。故障のため、バスケットボールを断念。R&Bシンガー「Cheyenne」として97年デビュー。アルバムリリースやライブ活動のかたわら、ラジオ番組のMCも手がける。00年からNBAを精力的に取材。

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2005年05月25日

美しきケロヨン

プレーオフも、遂にカンファレンス・ファイナルに突入したね。今回のプレーオフ、若手の大ステップ・アップが目立つと思わない? サンズのアマレ(ストウダマイヤー)、スパーズのコモエスタ・マニュ(ジノビリ)さん、そしてヒートでは、スーパー・アスレティック・ボーラー、ドウェイン・ウェイドが、なんたって<旬の男>だ。
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アメリカの大手ドラッグストア・チェーンに、<Duane Reade>というのがあるんだけど、今やこのストア名を彼の名前に変更する企画が立てられているくらい(大ウソ)、ドウェイン君は、ちょっとした旋風をリーグに巻き起こしている。

バスケット裏から彼のムーブを見ていると、何といったらいいか、本当にすごい。驚異的なスピード、そして跳躍力、バネ、体のしなやかさ、バランスがいいから、多少タフなムーブでも転ばずに決めてみせる。瞬時の判断はセンスの塊。

23歳。00-01シーズンにダンク王に輝いた当時のビンス・カーターの圧倒的な運動能力とダイナミックさをほうふつとさせ、かつ現在のコービー・ブライアントの華麗で天才的なゴージャスプレーをも既に持ち、そしてベテラン級に落ち着いていてアンセルフィッシュ--何だかほめたおしているが、彼の恐ろしさは、まだまだ伸びるポテンシャルを確実に持っていることである。そんな<末恐ろしい>ドウェイン君、しかし素顔は、ちょっとはにかみやさんの、素直で優しいナイスガイだ。

ケロヨンにちょっと似てる

と私はずっと思っていたが(ファンの方たち、ごめんね~)、このほど「People」誌で、<50人のびゅーてぃほーな人たち>というのの1人に選ばれた。確かに、アングルによっては美しく!? 見えないこともない。黒人の人たちは男女ともに肌がきれいな人が多いけど、ドウェイン君も、鍛えた腕を伝わる汗の珠など見ていると、まさに<水もしたたるきれい肌>といった感じ。

すごくおだやかで柔らかい話し方をするが、やっぱりそこはブラックの若い男の子。

好きなアーティストはラッパーのJay-Zと50cent

なんだそうだ。そんな彼がディールしているConverseのCMは、オールドスクール・ラッパーやDJたちがフィーチャーされていてかなりクール。ちなみに彼は

学生時代から結婚しててもうパパ

でもある。黒人のカップルたちは、子供はいても結婚は別、って場合が多いから、彼の歳に似合わない落ち着きぶりはこんな違いから来ているのかも。

このあと、シリーズではどんな活躍を見せてくれるんだろう。デトロイトのディフェンスは、第1戦では彼をよく抑えていたけど、そこは並外れた才能の彼、このままではいないだろうね。私はファイナルには現場取材に行くつもりだから、お願いドウェイン、私をマイアミに行かせてちょうだい、状態。頼むよ~。(デトロイトもチームのプレーは大好きなんだけど・・・ああ、マイアミの潮風には)。

写真=NBAプレーオフで、チームの快進撃の原動力となっているヒートの司令塔ドウェイン・ウェイド(AP=共同)

May 25, 2005 10:47 AM | コメント (23) | トラックバック (0)

2005年05月18日

ぶあいそのわけ

プレーオフ観てる? マイアミはぶっちぎり強いし、デトロイト-インディアナ戦とか、かなり面白いね!

さて、私が「ハッ・・・」としたことというのは。

私は、自分で言うのもなんだが、たとえネイティブ・イングリッシュ・スピーカーでないとしても、バスケのことは元プレーヤーとして平均以上に知っているつもりだったし、内容的にはそれほどくだらない質問をしてはいないだろう、という自負があった。ではなぜこうも、スタープレーヤーたちの対応が悪いのか-何に気づいたのかというと、「メディア、しかも女性であることで、更に警戒されているのかも、それが、ぶあいその理由なのかも」ということだった。

USでは、プロ・アスリートというのは、本当にスターだ。そしてこちらのスターというのは、日本の10倍くらい、人々の好奇の目にさらされている。言ってもいないことを実際に発言したように書かれたり、都合のいい解釈で事実をねじ曲げられたりすることは、日常茶飯事である。

某大手新聞の記者が、あるスター選手に、スマイルを満面に浮かべ、あたかも友達かのように質問していたのに、直後にさんざんな批判を書いていたといったようなことも、目にした。そういうことをよくよく思い合わせてみれば、彼らがメディアに対して、それも新参者の、どこの誰だか、いったいどんな種類の記事を書いているのか、よく把握していない外国人記者に慎重になるのは、自分を守る上で当然のことであったのだ。

そしてアメリカというのは、意外に保守的なところがあって、特に男女の関係については、結婚していたりステディな彼女がいたりする人が、他の女性とほがらかに話しているだけでも変に疑われたり、自分のパートナーに嫉妬されたりという風潮があるのだった。

そういうことを踏まえれば、いつでも周囲の目が光っているスター選手たちが、妙齢の女性記者に対してあえてぶあいそにする訳も納得がいくような、と、思い当たったのである。実際に、よく観察していると、どうやら私だけに対してそうなのではなく、若くてまだ何者か把握されていない新参女性記者たちは、多かれ少なかれ、皆同じような目にあっているようだった。

もちろん、スター選手たちの中にも、レイ・アレンクリス・ウェバーなど、別にこだわらずに最初から非常に対応のいい選手もいるわけで、皆が皆、これに当てはまるわけではないと思う。単に性格だったり、本当に私のことが気に食わない選手もいただろう。ただ、中でも意識の強い人たち、もしくはうまい対応の苦手なスターたちが、どうやらわざわざぶあいそにしてくることもあるらしい、ということが、なんとなく見えてきた。廊下など、他のメディアの目がないところで同じ選手に会ったとき、彼らの対応が別に普通なのは、きっとこんな訳だったのだろう。

そんなことが見えてきた私が悟ったのは、

「ではまずは、自分の目的は仕事であり、どんな記事を書いていて、どんな取材を要望しているのか」

というのを、取材対象に分かってもらわねばならないということだった。とりあえず、「こいつは自分にとってあまり害はなさそうだ」ということが分かり始めているらしいアレンちゃんをはじめ、選手にインタビューをする際に、自分の書いている媒体のことや、この取材によって書こうとしている記事の内容などについて説明することを徹底してみた。これは別に、選手のことを決して批判しないということでもないし、例えばゴシップ誌の記者たちなどはそれが仕事なのだから仕方ないんだけど、相手がどんな種類の記者なのかを分かっていると、選手たちもそれなりの対応をすることができるというための、配慮でもあるのだった。

少しずつ、状況が改善されているように見えてきたある日、もう1つのことに気づいた。それは、これもやはりお国柄かもしれないが、アメリカ人記者の中でも手腕があって、選手に信頼されているように見える人たちは、決して選手にこびたり、へつらったりしていないということであった。

「キミはキミの仕事、プレーするということを、やっている。オレはオレの仕事、キミに話を聞き、それを文章にするということを、遂行してるのさ」

といった感じで、あくまでも対等の立場を取っているのであった。もちろん、類まれな才能を持つ彼らを、リスペクトはしている。でもそれは、ただただ大スターとして崇拝する、というのとは違う。大スターとして崇拝しているだけでは、選手たちもまた、<大スターとしてのコメント>しか、提供してくれない。彼らもまた、一人の人間である。記者として、こちらも彼らのリスペクトを得てこそ、<対一人間>の、リアルな話が聞けるのであった。そのためには、こちらもある程度、威厳を持っていなければならなかった。

私の場合は、典型的なスポーツ記者には見えないだろうし、英語がネイティブでないためにきっと幼稚に聞こえたりもするのだろうが、あえてそれを気にして卑屈になったりしないよう、努めた。例え、「あにょー、今日のゲームは、どうでちたか?」というような、つたない感じに聞こえているにしても、

「私はきちんとした記者で、バスケに愛情があり、一生懸命自分の仕事をしていて、あなたたち選手をリスペクトしているのですよ」

ということが伝わるよう、ベストを尽くしてみた。

これらのことは本当に、誰から教わる類いのものではなく、実際に体験しないと見えてこないことだったろう。いろいろ失敗を重ねては、また1つの事柄に気づき、何度となくトライを重ねるうちに2、3年の月日が経って、気づいたらアレンちゃんも、ちゃんとタイミングをつかみさえすれば、「アレンて、日本食、食べるの?」みたいな質問でも笑って答えてくれるように、なっていたのだった。

さて、今回はすげえ長くなっちゃったけど、こうして<NBA記者さなだ>ができてくるまでを皆さんに知ってもらったので-次回からはプレーヤーたちのことにもっと触れていくね。お楽しみに!!

May 18, 2005 02:17 PM | コメント (33) | トラックバック (0)

2005年05月11日

ぶあいそは続く

プレーオフ・セカンドラウンド、各軍出揃ったね! みんな、楽しんでいるだろうか。

さて、前回は、<ミスタ・アイバーソン>大失敗事件までだったけれども。NBA記者さなだが知らなければならないことは、まだまだあった。前回、アイバーソン編Vol.2を待て! と書いてしまったんだけど、厳密にいうとアレンだけに関してでなく、NBA一般をかなり含むので、お許しを。

アレンちゃんで気落ちした私に、次に待っていたミッションは、

<トロント行き ビンス・カーター取材>。

今から思えば、全くの新人がよくもインタビューが難しいと言われる2大スターを希望し、1人で任されたわけで、超無謀なプランであったと思う。

最初のトライで、ビンスにはもっとぶあいそな顔と声で、

「友達が待ってるから」

と撃退された。しかしこのときは、トロントに3日間ほど滞在し、練習にも顔を出し、ラプターズの親切なPRのジムがいくつかのツボを教えてくれたために、かなりコツをつかむことができた。

それは例えば、<ほぼどこのチームでも、フランチャイズ・スターはゲーム前は取材に応じない>とか、<スター選手の場合、メディアがたくさん群がるためにきりがなくなるので、いったん質問が途切れるとそれで取材を終了してしまう。その後1on1で話したい場合は、このタイミングを逃さず、選手が「もう終わった」と思ってしまう前に間髪入れずに自分の質問をぶつけて引き止める>、<ゲームに出ていない場合は話す義務もないので、取材に応じない場合もある>などといった、いわば<不文律>なのであった。

そして練習時、ジムの教えを守り頑張ったら、今度はビンスは取材に応じてくれた。--しかしやはり依然として、ものすごくぶあいそなのであった。

その後、定期的にゲームを取材するようになったが、来る日も来る日も、アレンちゃんやビンスやケニオン・マーティンやステフォン・マーブリーやバロン・デービスやその他etcetc、ぶあいそでぶっきらぼーに対応される日々が続いた。「やっぱり、私の質問がくだらないから? 英語がネイティブでないから、バカにされてんだろーか?」などと、落ち込んだり悔しかったり、それでいて??? の日々が続いた。

しかし、何回か場数を踏むうちに、あることに気づき始めた。まず、スター選手以外のプレーヤーたちは、おおむね愛想がよいこと。そしてアレンも、何回か取材を重ねるうちに少しずつではあるが、表情が和らいできていること、ロッカールーム内でぶあいそな選手と、たまに廊下ですれ違ったりすると全く態度が違って、笑顔であいさつしてくれたりすることもある、などといったことなど-。何かが分かりかけているように思ったが、決定的に目からうろこが落ちるきっかけになったのは、ある男性記者から言われたこのフレーズだった。

「いいねえ、女性記者には、プレーヤーたちも優しいでしょう?」

今でもよく言われるフレーズだが、そのときの私は、悔し紛れにあいまいな微笑み!? を浮かべながら、

「ちょーっと。そんなこと、全然ねえよ。むしろ逆だもん。みんな、おじさん記者たちとは楽しそうに話してるのに、私にはすげーぶあいそだもん」

とまず、腹の中でつぶやいた。そして数秒後、「・・・???!!! あれ、もしかして、だからなのか???・・・!!!」と、ハッとしたんである。

つづく。

May 11, 2005 10:12 AM | コメント (15) | トラックバック (1)

2005年05月04日

「ミスタ・アイバーソン」

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今、すごーく、気が抜けている。

毎年この時期、こういった気分を味わう。われわれメディアが月の半分くらいは顔を合わせている、いわば<仕事仲間>の地元チームの連中と、しばしのお別れ。ヒートにスウィープをくらった我がご近所チーム、NJネッツはロッカールームを片付けて、バケーションに入った。何とも寂しいような、ちょっと感傷的な気持ち。

ちなみに、今季からネッツ入りした、かのビンス・カーターも、私がよく取材するプレーヤーの1人。ダイナミックなプレーとは裏腹に、超繊細な性格の彼は、終始泣きそうな顔でプレーしてたね・・・きっと、重圧に押しつぶされそうになってたのかな。そんなビンちゃんのことも、また近いうちにフィーチャーするから、Don't miss it!!

さて今回は、私のもう1つのご近所チーム、シクサーズのアレン・アイバーソン(写真)を取り上げる約束。シリーズ中には、またまたデトロイトのアホなファンが、アレンにコインを投げつけるという事件があった。しかし、往年のやんちゃバッドボーイ・アレンも、今や一国の王たる尊厳。彼はしらっと余裕をぶっこき、怒りもしなかった。偉いぞ&なんてかっこいいのだ、それでこそ、アレンちゃんだ!!

第3戦は、バスケット裏でそんなアレンのゲームを観ていたが・・・私が彼にドキドキの初インタビューを試みたのは、早いものでもう5年前。しかも今から考えると無謀なんだけど、私のNBA記者キャリアとしての最初の一歩が、アイバーソン・インタビューだったのである。思い切り気張って、

「エクスキューズ・ミー、ミスタ・アイバーソン・・・」

と話しかけた私。その瞬間、

「俺は今日はプレーしてないし、しゃべんねえよ」

と、けんもほろろに撃退された。彼のインタビューは難しい、と聞いてはいたものの、それまでの人生で、こちらが懸命にナイスに接している男性に、ニコリともされず、思い切り無愛想にされた経験などなかった私は、まず最初、ムカついた。そしてちょっとして、落ち込み始めた。

ホテルに帰ってTVをつけ、スポーツニュースを見ていたら、あることに気づいた。どの記者も、アレンちゃんのことを「ヘイ、アレン!?」とかいった気さくな感じで、ファーストネームで呼んでいる。私のように、<ミスタ・アイバーソン・・・>などとバカ丁寧に呼んでいる者は、1人もいなかった。「仕事だから、丁寧にしておけば間違いないはず」と思っていたのが、全くの<場違い>だったと分かり、顔から火が出そうであった。そして、気が強く自信家だった私もさすがに、悔しいやら悲しいやら恥ずかしいやらで、目がじわじわ、してきたのだった。

しかし、<NBA記者さなだ>が知らなければいけないことは、これだけではなかったのだ。現在アレンは、私のどんなくだらない質問にも答えてくれるようになったんだけど、ここまではどんな道のりであったか・・・<アイバーソン編:Vol.2>を待て!!

(写真撮影=Daisuke Sugiura)

May 4, 2005 10:03 AM | コメント (19) | トラックバック (0)