セルジオ越後 ちゃんとサッカーしなさい

プロフィル

 1945年(昭和20年)7月28日、ブラジル・サンパウロ市生まれ、日系2世。18歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。右ウイングとして活躍し、ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和サッカー部(現:湘南ベルマーレ)ではゲームメーカーとして貢献。辛辣で辛口な内容とユニークな話しぶりにファンも多く、各地の講演活動も好評。

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2005年06月24日

準決勝進出を逃したのは負け

<コンフェデレーションズ杯:日本2-2ブラジル>

 日本が「W杯前哨戦」で王国ブラジル相手に大健闘した。引き分けに、称賛と驚きの声が起こる中、日刊スポーツ評論家のセルジオ越後氏(59)は「準決勝進出を逃したのは負け」と評価した。01年大会では、優勝したフランスが翌年のW杯で惨敗、屈辱の4位に終わったブラジルはW杯で優勝を果たした。プレ大会は、あくまでもプレ大会でしかない。1次リーグ突破を実現するため、越後氏はあえて厳しいゲキを飛ばした。

 なんとも中途半端な終わり方だ。これなら惨敗した方が今後のためになった。ブラジル相手に2-2。結果だけを見ると「よく頑張った」「惜しかった」「勝てた試合だった」という評価が出てくるだろうが、それが一番怖い。引き分けたのは事実だが、ノルマだった準決勝進出は逃した。厳しいことを言うようだが、1次リーグで敗退したことを忘れてはいけない。

 「引き分けで良かった」などと勘違いしてもらっては困る。「勝利しかない」日本と「引き分けでOK」のブラジル。日本にとって引き分けは負けだ。「このままでも十分戦える」などと錯覚してほしくはない。準決勝進出を逃した悔しさ持ち続けなければ駄目だ。

 選手たちは今の力では勝ち抜けないことを知ったはずだ。勝ち抜くために何が必要なのかを理解したはずだ。帰国しなければならないのは、何が不足していたからか? きちんとした分析、反省がなければ、このまま1歩も前に進まない。来年のW杯も「惜しかった」「よく頑張った」で終わってしまう気がする。

 ブラジル相手に2点取ったといっても、1度もリードは奪えなかった。ブラジルは引き分けで良かったのだから、楽な展開だっただろう。終了間際の同点も、痛くもかゆくもなかったに違いない。脅かすのならもっと早い段階で勝負していかなければ勝てないよ。

 ブラジルがゴールを狙う時は、常に正確なパスと速さで日本の守りを崩していた。いつでも得点できるという余裕さえあった。日本はとどめを刺されなかったために同点にできたが、力の差は大きい。逆に、中村の美しいシュートも100回やって1回入るぐらいのもの。結局、大会前と何が変わった? 先発テストされなかった大黒は、これからもサブの切り札。この大会で何も変わってない。

 W杯に出場するだけでいいなら仕方ないが、もっと上を目指すのなら、ブラジルと引き分けたという中途半端な自信? ぐらいで満足してもらいたくない。日本の置かれた立場は、もはやW杯に出場を果たして満足していることではなく、世界のトップクラスと対等に戦い、結果を出す段階にきているはずだ。

 W杯では、今回勝てなかったブラジルやメキシコとも再び戦う可能性もある。ギリシャより強い欧州のチームとも戦わなければならない。勝てなかったチームにどうすれば勝てるようになるのか? 答えがなければ、来年も3試合だけで帰ってこなければならない。

 W杯への期待感はある。が、期待に応えてくれる保証はない。1年間で決定力不足が改善されるかどうかも疑問だ。これまでの3年間も同じ宿題を抱えながら結果を出せなかった。今後プラスアルファがあるとも思えない。まず、厳しい現状を認識すること。精神的な面を含め、1対1で負けないこと、パスの精度を上げることなど地道に、基本的なコンビネーションを築き上げるしかないだろう。(日刊スポーツ評論家)

June 24, 2005 11:58 AM