2007年06月11日
王子の愛車はリヤカー?:佐藤千晶
「まだ、サッカーのことは話せません」。
この言葉に、18歳の才能と可能性を感じた。
福岡MF鈴木惇の、チーム最年少デビュー後の一言だ。2日の徳島戦で記録上は3分間、実質5分程度、終盤に出場した。会見では素直に喜ぶ一方で「出たということだけが収穫。ちゃんとプレーしてからでないと、サッカーについて話すことはできません」と冷静だった。ユース、サテライトでの経験には一定の自信を持っていたが、トップチームとの差を数分で感じたようだ。「生活をかけてプレーしているから、球際の激しさが違う」。慎重なコメントは、仕事としてのサッカーに対する自覚があるからこそ。報酬はないが、心はプロ。経験を積んだ鈴木が、どうサッカーを語るのか今から楽しみだ。
アビスパ福岡U-12からの生え抜きで各世代の日本代表、県下有数の進学校に在籍中という、マンガかドラマの主人公のようなプロフィール。Jデビューという「実績」もできたとなると、10年間、紙面の見出しを考えてきた元整理記者としては、うずうずする。地元のテレビ番組で「博多の王子」の表現を聞いたときは「やられた!」と思った。この愛称への対抗心も正直なところ、ある。
何か、良い「王子」ないかなー。
本人には「そんなこと、考えなくていいです」と迷惑そうな顔をされた。けれども、実績が話題を呼び、話題が次の実績へのステップとなるスポーツヒーローには「称号」がつきもの。宿命だと思って、我慢してください。
「本家」の早大投手、斎藤祐樹は「ハンカチ王子」で、ゴルフの石川遼は「ハニカミ王子」。どちらも「ハ」から始まる4文字プラス王子の組み合わせ。これに続くもので、なおかつ鈴木にぴったりな表現は-?
はじらい王子。言葉を選び、時にはつっかえながら取材に答える。「ハニカミ」と、イメージが重なる。
はね髪王子。少し伸びた髪が、はねているから。これも「ハニカミ」と音が似ている。
はたらく王子。Jと高校との両立を表す。少し硬いかな。
博識王子。県下有数の進学校の生徒だから。博識とまで言って良いか?
はえぬき王子。小学3年からアビスパ育ち。ただし、ライバルチームの胸スポンサーと同じ。
箱入り王子。王子って、基本的に箱入りですね。
はりきり王子。リズムは良いが、本人は自然体なのでイメージが違う。
どれも決定打に欠ける。ほかの記者が考えた候補は
半パン王子。今どきの高校生らしく、制服のズボンは腰ばき。
配球王子。パサーとしての才能に期待をこめて。
9日の記事では「ハ」から離れ、サポーター発案の「学ラン王子」を使った。デビュー戦だけは黒の詰め襟姿で会場入りしたが、衣替えや卒業で期間限定の表現になりそうだ。
あれやこれやと迷ううちに、デビューから1週間がたち「次は先発が目標」と言っていた鈴木は、10日のC大阪戦でそれも実現した。惇クンの成長スピードに、おばちゃん(さすがに倍以上、歳が離れるとお姉さんとは書けない)の頭はついていけず脱線ぎみ。練習後、用具を積んだリヤカーを引く姿を見ながらつぶやいたのは「リヤカー王子」。略してリヤ王は、ふざけ過ぎか。練習で見せる精度の高さから「クロスの王子様」も考えたが、この表現は試合で決まるまで取っておこう。
June 11, 2007 05:02 PM 投稿者:佐藤千晶
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