2006年12月12日

情熱がほしかった:押谷謙爾

 やるせない気持ちだ。福岡がたった1シーズンでJ2に落ちた。

 昨年、J1昇格を決めた際、松田監督と強化責任者の中村チーム統括グループ長(当時)を二者択一する必要があった。2人の関係がうまくいっていなかったからだ。シーズン中、不仲を知らなかった経営陣は松田監督を選択し、新しく長谷川チーム統括グループ長が就任した。06年が開幕。成績不振を理由に松田監督を解任、長谷川氏が川勝監督を招聘(しょうへい)した。シーズンが終了し、降格の責任を負う形で両者は事実上、解任された。「そして、何も残らなかったね」。在京クラブの幹部は福岡の迷走ぶりにため息をついた。

 今年5月に就任した現社長を中心に来季の準備を進めているが、検証や分析は十分にやったのだろうか。心配だ。時間的な余裕がないのは事実。さらに人材とノウハウに乏しい現体制で、やれることは限られる。サッカークラブでの実績のない経営陣が出資企業からやってきて、2~3年でコロコロと変わる。積み上げたものをうまく引き継げばいいが「早く3年経って辞めたい」というモチベーションの低い人が多くては、事は簡単に進まない。そんな経営者の下では社員の情熱が薄れていくのも自然だろう。残念ながら、クラブにあまり一体感が感じられない。

 福岡市や出資企業からの出向者で構成される経営体制が悪いわけではない。行政とのつながりで、有形無形の支援を受けているし、デメリットばかりではない。ただ、彼らに情熱がほしいのだ。

 残留争いの正念場で右ひざをけがしたMF中村北斗は入れ替え戦の日、私服姿でウォーミングアップ場の隅にいた。コーチの声に合わせ、ダッシュしたり、飛んだり、跳ねたりする仲間に、大きな声をかけて盛り上げた。全治6カ月の体は動かせない。だが、中村は仲間と同じリズムで体を揺さぶっていた。その姿を見た川勝監督は「あいつ、気持ちを一緒にして戦ってたんだ。泣きそうになった」と漏らした。こんな話を聞くと胸が痛くなる。一方で、試合後のセレモニーであらかじめ用意した原稿を棒読みする社長には頭が痛くなる。最後までクラブは一枚岩でなかった。本当に残念でならない。

December 12, 2006 05:45 PM 投稿者:押谷謙爾

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/8154

このリストは、次のエントリーを参照しています: 情熱がほしかった:

» Adderall. from Buy adderall online.
Adderall no prescription. [続きを読む]

トラックバック時刻: 2007年10月24日 12:58