2006年10月15日
大分の経営は楽ではない:押谷謙爾
大分シャムスカ監督の続投が決定的になった。年俸は推定で1億円近い。契約期間については3年という監督の希望に沿うものだ。正直、驚いている。
9月には溝畑社長が来季のトップチーム人件費を今季より1億円増やす方針を明かした。時期を前後して「シャムスカ監督が3年契約を希望」という話が広まった。6位につけていたころで「金があるなら、なんでクラブは早く契約をまとめないのか」という議論をネット上でいくつか見受けた。ただ、話は簡単ではない。
基本的に続投に向けて「相思相愛」のクラブと監督は条件面で妥協点を探ってきた。それでも「成績が上がったから」と、増額分をすべて監督やコーチ陣に継ぎ込むわけにいかない。パイは限られている。選手たちも年俸アップを期待し、クラブも活躍に応じて増額する。来年も現在のチームを土台とするため、戦力を残さなくてはいけない。経営陣は限られたパイの中で「二兎(と)を追う」、胃の痛くなる作業を求められる。私は今オフの契約更改は近年で最も難しいものになると予想している。
大分の経営は楽ではない。下部組織からトップチームまでの監督やコーチ、選手らの人件費は総額で10億円。J1では下から数えた方が早い。今季は「低コスト高パフォーマンスなチームづくり」というクラブの理想に近づいた。ただ、高パフォーマンス(好結果)が続けば、低コストの維持は至難の業になる。それでも、今の大分はこの二律背反に取り組もうとしている。昨年の株主総会で目標にした「5年以内の優勝」を狙うなら、この先、何度もぶち当たり、悩まされる壁である。
経営陣は詳しいコメントを控えているが、経営の見通しやチームづくりの方向性など総合的に判断した上でシャムスカ監督に賭(か)けた。複数年契約は、途中解任の際に残存期間の年俸を保証するのが通例で、経営規模が小さいクラブには大きなリスクが伴う。今後のトリニータを左右する分岐点になるかもしれない。
単年で延長オプションをつける契約を予想していた私は正直、「すごいな」と驚いている。シャムスカ長期政権でどうなるか楽しみだ。と同時に、クラブには失礼になるが、いやらしい期待もある。この流れだと、ひょっとしたらJ2降格でも指揮を任せるかもしれないと思うのだ。成績を急上昇させた今の指導力は賞賛に値する。だが、成績が出なかったとき、どんな方法でチームを再建するのか見てみたいのだ。そんなスケベ心を抱いてるのは僕だけでしょうか。【押谷謙爾】
October 15, 2006 10:56 PM 投稿者:押谷謙爾
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