2006年08月07日

シャムスカマジックと辛い過去:押谷謙爾

 選手の健康管理に気を使うシャムスカ監督らしかった。大分は8月6日、韓国チームとのプレシーズンマッチに快勝した。ただ、FW高松、MF根本ら主力は故障もあって休ませた。理由は「今、無理をさせると長期的にだめになるから」。振り返ると、選手を強行出場させることは少ない。シャムスカ監督が昔、口にした1つの辛い過去の話を思い出した。

 ブラジルのサンカエターノで指揮を執った04年のこと。就任時14位のチームを当時から評判だった敏腕で4位まで浮上させた。優勝争いに食い込み、サポーターも大興奮だった。しかし、その年の10月に惨劇が起きる。サンパウロとの試合中にDFセルジーニョが心臓発作を起こして倒れ、そのまま帰らぬ人となった。ピッチ脇で医師団が心肺蘇生を試みるという、ショッキングなものだった。躍進を支えてきた守備の要が愛するサッカーで死亡するという惨劇…。もちろん試合は中止となった。

 「前から悪かったみたいで…」。シャムスカ監督は多くを語らなかったが、同選手は以前から心臓に問題を抱えていたという。その後、チームが混乱したのは想像に難くない。選手は落ち着きを失い、失点が増え、順位はズルズルと落ちた。ブラジルサッカー連盟からは「クラブの選手管理に問題があった」として、勝ち点24の減点処分を受け、4位から最終的に18位まで転落した。明るい表情と性格、華やかな経歴を持つ指揮官にはこんな過去が存在する。

 今季の大分は「休養も大切なトレーニングの1つ」という監督の考えのもと、休みをしっかり取る。ハートレートモニター(心拍計)を使って選手のコンディション変化に細かく目を光らせる。愛する選手の力を引き出すため、体調管理を徹底している。選手たちも安心してピッチで力を発揮できている。シャムスカマジックと呼ばれる采配の中にはこんな気配りがある。7位と好位につけているのは偶然ではない。

August 7, 2006 10:26 PM 投稿者:押谷謙爾

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