2006年05月15日

大分蔵元出身の高橋、大吟醸に化けるか:押谷謙爾

 大分の新人、FW高橋大輔(22=福岡大)は“日本酒大使”の使命も抱いてピッチに立ち続ける。福岡県八女市出身で、江戸時代、1717年(享保2)創業という蔵元「繁桝」が実家だ。8代将軍徳川吉宗のころである。約290年の歴史を誇る老舗蔵元だが、高橋は「焼酎ブームに押されて、日本酒メーカーは苦しいんですよ」という。
「僕がプレーで活躍して少しでも日本酒がアピールできればいいですね」。入団直後にはこんな思いを口にしていた。

 ここまでリーグ戦とナビスコ杯で6試合に出場。本職のFWではないものの、右MFとしてレギュラーに定着しつつある。鹿島戦ではマッチアップした日本代表MF小笠原に何度も1対1の勝負を挑むなど、プレーに思い切りがある。試合日にクラブが選手のPR用にスタジアムのビジョンに流すビデオで実家の蔵元を宣伝し、抜け目もない。5月14日の川崎F戦でフル出場し、総出場時間が450分を突破。年俸上限のないA契約(ただし1年目は700万円以内)の権利をつかんだ。着実にみずからと実家のアピールを重ねている。

 福岡大3年時には左ひざのじん帯再腱(けん)手術を受けた。つらいリハビリに、途中何度もへこたれそうになりながら、1年かけてピッチに戻った。大学4年の春に全日本学生選抜に復帰し、ユニバーシアードで3連覇を達成した。苦労してプロになった。好きな言葉を問われると、間髪入れずに「継続は力なり」と返す。努力は報われると信じ、毎日、練習場に最後まで残っている。学生時代のけがで崩れた筋肉のバランスを整えるため筋トレと、シュート練習を欠かさない。

 高橋の実家が生んだ「箱入り娘」という大吟醸酒はJALのファーストクラスで採用されるほどの評価を得ている。酒造りも当たり前のことをコツコツ積み重ねることが基本だと思う。努力を怠らない、高橋の姿勢は厳格な父の影響が大きいという。そんな蔵元出身のアスリートが「おいしい選手」になるのを楽しみにしている。【押谷謙爾】

May 15, 2006 04:16 PM 投稿者:押谷謙爾

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