2005年08月22日

「苦悩」が報われる日を信じて:押谷謙爾

 大分皇甫監督のカーテンがやっと解除された。8月上旬の韓国キャンプからメディアの取材を一切、拒否した。2週間ぶりに口を開いたのは8月20日の川崎F戦のキックオフ前だった。

 練習の多くが非公開、選手への取材も禁止。欧州のビッグクラブ並みの姿勢でリーグ中断期を過ごした。コメントまで拒否した点についてクラブは「監督が練習に集中したいと言ってる」と説明していたが、監督にあらためて理由を聞くとため息をついて返した。「サッカーを勉強しないで質問されることがある。もう少し勉強してきてほしいよ」。公式戦9戦未勝利。サポーターやメディアの批判を浴びながらも、新人監督はチーム再建に必死だった。ピント外れな取材に、まじめに応じる余裕なんてなかったのだろう。「プロ監督だからそれでも応じるべき」との声もあるが、今回は自分への警告だと肝に銘じた。

 選手への直接取材もだめだから、メディアは苦戦の毎日だった。対戦した川崎Fの関塚監督も「情報がほとんど得られなかった」と、大分のカーテンは「一応」の効果はあったようだ。

 ところで、非公開で実施した韓国キャンプでは、監督と選手が1対1の個人面談を行った。事前に配布された面接シートに疑問を書き込み、互いに腹を割って意見をぶつけ合った。帰国後「いいキャンプだった」と監督が言ったのは、選手との絆(きずな)を確認できたという意味が大きかったのだと思う。

 就任1年目。指導に迷いもあったが、開幕当初と大きく変わった点が1つある。敗因を振り返る際、選手名を挙げなくなったことだ。最近はミーティングで「責任は自分がとる」と選手に伝えている。勝つための手を打ち、あとは結果を積み上げるしかない。もう腹を据えているのだ。

 ただ、川崎F戦も敗れて公式戦10戦未勝利。2年ぶりのJ1残留争いが本格化した。チームとしてまだまだ勝負弱いと感じた。個人的にはまだリーグ戦15試合もあるし、監督が変わろうが、選手が変わろうが、最後にJ1に残っていればOKじゃないのと思っている。その一方で、早い段階で残留を決めないと、来季の準備は遅れがちになる。クラブ全体の動きが鈍るのだ。負のサイクルに、はまる。残留争いの顔ぶれが毎年ほぼ一緒なのは、偶然ではない。

 今が、大分の来季もかかった正念場と言える。

【サッカー担当 押谷謙爾】

August 22, 2005 02:27 PM 投稿者:押谷謙爾

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