2008年01月09日
国立のピッチが訴えたもの:村田義治
多々良学園の伝統が、高川学園にバトンタッチされる“瞬間”に遭遇した。全国高校サッカー選手権準決勝。2大会ぶりに国立に進出した山口・高川学園のベンチに、校長も務める学校法人の高川晶理事長夫妻の姿があった。試合前に白井三津雄監督らスタッフ、選手とともにベンチ入りした夫妻は、選手らが控え室に戻ったハーフタイムもベンチを立たず、試合終了後まで座り続けていた。
旧多々良学園から経営を引き継いだタカガワグループは、四国で進学塾などを経営している。多々良学園から06年9月に高川学園に校名変更し、07年4月には中等部を新設。学園を中高一貫教育の進学校に育て上げるのが目的だ。現在、中等部の1期生は30人強だが、授業は7時限。「部活動禁止という規則は特にない」(学校関係者)というが、中等部の生徒が部活動に取り組むのは物理的に厳しい環境になっている。
中等部から高等部に生徒が進学するようになれば、高等部で部活動に取り組む生徒の減少は避けられない。そうなれば高校のサッカー部の存続問題にも発展しかねない。白井監督も危機感があったのだろう。「(経営破綻でサッカー部が)バラバラになりかけてくれたのを救ってくれた恩人への感謝の気持ち」。理事長のベンチ入りの理由をそう説明した指揮官だが、国立のピッチをひたむきに走り回る選手の姿で、部活動を通しての教育の大切さ、あり方を訴えたかったのではないだろうか。
試合後、高川理事長はこう口を開いた。「選手は最後までボールに食らいついて、闘争心を見せてくれた。大会中に力をつけた。それがすばらしかった。感謝している。これからもサッカー部を学校の特色にしていきたい」。進学校のみならず、サッカー部の活動の支援を約束した。高校生のサッカー選手があこがれる国立のピッチは、わずか80分で理事長の心を大きく揺れ動かしたようだ。
January 9, 2008 11:23 PM 投稿者:村田義治
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