2007年09月03日
地球の裏側へ響かせた勝利のホイッスル:村田義治
今季最多の4ゴールで、大分が鮮やかな逆転勝ちを収めた2日の甲府戦。勝利を祈ってピッチを見つめる人がいた。大分の松村アレハンドロ通訳と、弟の松村クラウジオ強化担当。シャムスカ監督らブラジル人首脳陣、選手とチームを橋渡しする日系ブラジル人兄弟だ。
甲府戦前のことだった。ブラジル・サンパウロで、がんの闘病生活を送っている2人の実母博子さんの病状が悪化。チームに帯同していた2人にも伝えられた。監督ら首脳陣と私生活でも付き合いが多いブラジル人MFエジミウソン、ホベルトには知らされたが、残留を激しく争う甲府戦を控えた日本人選手には、試合前には伝えられていなかった。
試合2日前の夜。博子さんとも面識があるエジミウソンは突然の知らせに涙を流し、2人とともに悲しんだという。甲府戦を落とせば、チームは降格圏に逆戻り。次節まで試合間隔が2週間空くとはいえ、苦しい状況のままでは、チームを離れることができない。「勝って、ブラジルに戻ることができれば」(クラウジオ強化担当)。そんな2人の気持ちが痛いほど伝わってきたのだろう。エジミウソンは前半19分には、右コーナー付近のルーズボールを目掛け、ハーフライン付近から果敢にダッシュした。いつも以上に激しく、しつこくボールを追いまわす姿があった。
エジミウソンの気迫が、チームメートにも伝わったのか。チームは怒涛(どとう)の4ゴールで逆転勝ち。松村兄弟の弟は目頭はうるませ、兄は「アリガトウ」と口を開いた。戦う気持ちを取り戻した選手が響かした残留争いから1歩抜け出すホイッスルは、きっと、地球の裏側で病と闘う2人の母の耳にも届いたはずだ。
September 3, 2007 08:04 PM 投稿者:村田義治
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