2007年04月24日
ぬるま湯に込めた“色”んな思い:村田義治
持ち前の明るさだけは失って欲しくない。そう思わずにはいられない惨敗だった。九州で唯一のJ1大分トリニータが、22日の横浜戦で0-5と完敗。攻守ともにいいところなく、前節までの11位から16位まで転げ落ちた。
試合前日の21日のことだった。東京への移動を控えていたが、練習を終えたばかりのピッチには笑い声が響いていた。この日、47歳の誕生日を迎えたバウミール・フィジカルコーチが標的にされ、大分恒例の祝福の儀式が行われた。クラブハウスから、ぬるま湯(水はまだ寒い)が入ったバケツを両手に持った選手が、次々とバウミールコーチ目掛けて飛び出した。それも単なる、湯でない。赤、緑、黄色…。バウミールコーチが浴びた水しぶきは、まるで打ち上げ花火のように鮮やかな色で弾け、練習場に笑顔の花も咲き乱れていた。
その時点でチームは開幕6戦1勝。すっきりしない試合が続いていた。それだけに、山本潮マネージャーの頭には、こうよぎった。「成績がよくないときこそ、暗くなってはダメ。そうすると下を向いてしまう」。そう考えて用意したのが、何種類もの家庭用入浴剤で色付けした特製だった。
山本マネージャーの作戦通り? にチームは沈滞ムードを吹き飛ばすように儀式が拡大。標的が次々と変わり、最後にDF三木主将にホースの水を直接、顔面に浴びせた選手が足早に走り去ると、サポーターから「試合のときより(走りが)速いんじゃない!」と、爆笑が起こり、選手もツキものが取れたようにすっきりした表情で、東京に向かっていた。
だが、せっかくの「儀式」の効果も、たった45分で吹き飛んだ。まだ2点差のハーフタイムに、まるで負けを覚悟したようにうつむいたまま、控え室に戻る選手がいたことが残念だった。前半だけで退いた発熱の高松に続き、松橋章、金崎も途中交代。攻撃の核となる2トップと司令塔の3選手を総入れ替えした采配は「試合放棄」と捉えられてもおかしくないと思う。
時間にして、ほんの10数分の儀式で文字通り泡と消える「ぬるま湯」ひとつにも、チームへの思いをこめるスタッフの存在もある。屈辱の敗戦をきっちり断ち切り、上昇ムードでチームに本物の笑顔と明るさを取り戻すのが、選手に課せられた使命だ。【村田義治】
April 24, 2007 07:45 PM 投稿者:村田義治
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/10813
