2007年03月12日
ファン拡大につながる移動後の調整練習:村田義治
九州唯一のJ1チーム、大分の遠征パターンがちょっぴり変わった。アウエーへの出発は試合前日移動が慣例だが、10日の磐田遠征出発は試合の2日前。その日は東京で1泊し、試合前日は静岡で調整した。1泊分の遠征費に現地グランド使用料の数十万円が負担増になったが「遠征の疲れを減らすため」とクラブ関係者。遠征が不便な新潟も、前々泊が予定されている。決して安くない出費だが、今年はチームロゴが刻まれた大型バスともリース契約を結んだ。クラブの経費を抑えるのが先なのか、チームによりいい成績を残してもらうのが優先か。長期視点に立った強化を進める方針がしっかり確立しているからこその「先行投資」といえるだろう。
地方にある大分にとって移動は大きなストレスだ。大分市内と空港の往復には、大分湾を横切るホーバークラフトを使用する。海を渡って、空を飛んで、陸路を走る。大分に遠征してくるアウエーチームは通常、大分空港からバスを使用するため、陸海空すべてを使用して移動するのはJリーグ多しといえども、大分ぐらいだろう。磐田遠征で初めてホーバークラフトに乗った記者は、強風の中、海上をサッカーのドリブル突破のように左右に滑りながら進む船内で気分が悪くなった。遠征ごとに陸海空をまたにかけて遠征する選手には、頭が下がる思いだ。
きつくて、長時間の遠征を強いられる大分だが、その遠征を逆手にとった“ファンサービス”が、地方チームの人気を支えている。磐田戦翌日の11日、午前中に東京から大分に空路移動したチームは1度、市内で解散した後、午後から大分市内の練習場で軽い練習を行った。日曜日の練習場は、平日に見学に来られないサポーターが多く駆けつける。試合の疲れも残っている中でも、練習後、サポーターへのサイン、写真撮影も快く応じる選手ばかりだ。ほかのチームはアウエーから戻った後、空港などで解散するチームが多いと聞く中で、移動後にサポーターの前で行う調整が、ファン拡大につながっているように思えてならない。
選手は、移動疲れで休みにならないスケジュールをチーム練習に充て、翌日をじっくり静養する。はっきりしたオンとオフとの切り替えが、シーズン中の緊張感の持続につながっているのではないか。J1で5シーズン目を迎えた大分。地方クラブならではの遠征の負担をも、チーム成長への力に変える頼もしさを感じた。
March 12, 2007 05:54 PM 投稿者:村田義治
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