2007年07月17日
それぞれの夏…球児たちは今年も熱い:前田泰子
そのチームは勝った瞬間、ナインがみんなボロボロ泣いていた。知らない人が見たら「負けたのか」と思うほど、選手もマネジャーもみんな涙を流していた。福岡のありあけ新世。1年生大会で勝って以来、勝ち星に見放されていたチームは4月に新監督を迎え「夏の1勝」を合言葉に頑張ってきた。練習時間も1時間増えた。ナインの泣き顔を見れば、その練習がどんなにつらかったかわかる。そして「1勝」を達成した喜び。「でも1人も辞めなかったんですよ」と平野哲郎主将は胸を張った。
単独チームで出るのは今年が最後という鹿児島の牧園は残念ながら初戦敗退。だけど「9回までできるなんてすごい。僕が監督になってからは公式戦で5回以上やった記憶がないです」と松下幸男監督は選手の頑張りに目を見張った。
悔し涙を流していたのは福岡講倫館の主将だ。初戦5回コールド負け。チームは1安打も打てずに夏が終わった。監督が1年ごとに変わり、部員が次々と辞めていった。8人いた3年生は4人に。9人だった2年生は2人しか残らなかった。「チームをまとめるのが大変だったね」というと「みんなと一緒に最後は戦いたかった」とポツリと言った。
「甲子園に行って、プロに行きたいんです」。その夢をかなえるために台湾から来た福岡一の郭恆孝投手は4回戦に進出している。
球児はみんな、1人、1人それぞれ目標をもって夏に挑戦している。私立、公立、進学校など、それぞれがそれぞれの置かれた環境の中で真正面から野球に向き合い、精いっぱい取り組んでいる。1回戦突破が目標のチームもある。9回まで野球をやることを目標に掲げるところもある。甲子園出場を本気で狙うチームだってたくさんある。選手に話を聞けば、目標は甲子園でも、そうでなくても球児はみんな野球に真剣に向き合って取り組んでいるのがわかる。
5月、高野連は特待生を抱える学校を処分し、該当選手の対外試合を禁止した。親元を離れ、1日の大半を野球に費やして打ち込む選手の努力を「否」と断定されたような気がしてならなかった。そしてそれは「甲子園などとんでもない」というチームの球児たちの頑張りをも否定するような行為のように思えるのだ。
処分をしたので、もう終わったこと、と片付けてはいけないだろう。夏はこれから永遠に続くのだ。全国のすべての球児たちの努力が認められるような結論を出さなければいけないと、毎日球児たちの熱い思いに接してあらためて思った。
July 17, 2007 09:01 PM 投稿者:前田泰子
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