2008年01月29日
福岡に戻ってきた中払の決意:前田泰子
福岡はとても温かい場所でね。「東京で成功してやるぞ」って出て行く人は喜んで送り出す。だけど、帰ってくることに対しても寛容なんですよ。成功した人も成功しなかった人も帰ってきたら「よう帰ったね」って温かく受け入れてくれる。「1度出て行ったら、成功するまで絶対に帰ってくるな」っていう風土じゃないんですね。
福岡市出身の武田鉄矢がこんな話をしていたのを以前、聞いた事がある。約10年ぶりにアビスパ福岡のキャンプ取材に行って、ふと思い出した。
「岩田屋が新しくなったとか、ロフトができたとか街はいろいろ変わっているけど、人のあったかさとかは変わってないですね」と懐かしそうに言うのはMF中払だ。10年前に私が福岡の担当をしていたころは20歳を過ぎたばかりの若手で、学生の延長のような雰囲気だった。6年ぶりに福岡に戻ってきた中払は人なつこい笑顔は昔のままだが、中身はずいぶんと大人になっていた。「自分が育ったクラブに戻って来れたのは幸せだけど、結果を残さなければいけないと思っています」と責任感をにじませた顔はすっかりベテランの表情になっていた。
見回すと中払の同期のMF久永や、MF久藤も「帰ってきた組」だ。FW黒部も福岡大出身だから大枠では「帰ってきた組」に入る。
「どうしてみんな福岡に帰ってくるんでしょうね」。
中払に聞いてみた。
「うーん、やっぱり福岡の人があったかいからじゃないかなあ。忘れられない土地ですよね」という答えが返ってきた。
だが、武田鉄矢が続けなかったその先の言葉がある。福岡で生まれ育った私に言わせれば、確かに福岡の人は誰でも受け入れる温さはある。だけど、熱い愛情を抱く持つ反面、だらしないプレーをすればさっさと離れてしまう性格も持ち合わせている。最後まで見守ってやろうという辛抱強さはあまり持っていない。中払だって変なプレーを見せれば「ダメやん。何しに帰ってきたとや」と容赦ない言葉がかけられるだろう。
6年間も福岡でプレーした中払だ。そこらへんの気質も十分承知だろう。それであえて「昇格」というプレッシャーのかかる環境に帰ってきた。「自分のモチベーションを保つためには昇格とか残留とかそういうのを目指すチームが良かったんです」とあえて厳しい環境を選んだのだという。
30歳を過ぎ、ベテランの域に達した選手のチャレンジ。レベスタでの中払のプレーに注目したい。
January 29, 2008 08:21 PM 投稿者:前田泰子 | トラックバック (0)
2008年01月21日
2年目へ“レディースGO!”:村田義治
わずか1シーズン。立ち上げからチームを築き上げてきた武藤克宏監督(34)が、大分トリニータレディースの監督を去った。自らセレクションで初代メンバーを選び、昨年4月に誕生。初挑戦の県リーグで初出場初優勝を果たしただけでなく、今月行われた九州各県女子リーグ決勝大会でもチームを優勝に導いた。「1年目の最大の目標であった九州リーグ昇格ができたことをうれしく思います。今まで以上に切磋琢磨(せっさたくま)してレベルアップできるように頑張ります」。そうコメントした武藤監督だが、複雑な心境だっただろう。
この決勝大会前に、レディースの監督を退任することが決定。選手にもそのことが伝えられ、大会に臨んだ。「勝って、みんなで恩返ししよう」。合言葉を胸に戦った選手は、初戦から危なげなく勝ち上がり、武藤監督の花道を飾った。
だが、喜びに沸くチームの中で、武藤監督が浮かべた寂しそうな表情が印象的だった。優勝コメントを口にした後、静かに語った。「(準決勝で九州リーグ昇格を決めた)昨日の夜、次はこうしたい、こうしなければならない、とかを考えることが、もうできない。そのことが寂しかったですね」。自ら先頭に立って、なでしこリーグ昇格という目標にスタートを切ったばかりだったが、志半ばでチームを去らなければならない心の葛藤が、自然と口からこぼれた。
武藤監督は新しいポジションで、新たな目標に向かってすでにスタートを切った。レディースのメンバーにも、トップチームと同じように契約更新の有無が伝えられ、新チームの編成作業が進められている。「高い意志を持ってやっていってほしい」。初代監督が残した言葉を胸に、大分トリニータレディースが、2年目のシーズンを迎える。
January 21, 2008 10:49 PM 投稿者:村田義治 | トラックバック (0)
2008年01月14日
選手をつなぐ「手書き」:前田泰子
手紙を書いてみませんか。
年末年始にかけての取材でいくつか手紙にまつわる話がありました。まず、年末の全国高校駅伝での話です。女子で準優勝した千原台。江藤佑香子主将はレース当日の朝、出場メンバー1人1人に手紙を渡しました。レース前夜、宿舎でこっそりチームメートに1人ずつ思いをつづった手紙を書いたそうです。「自分が勝手に書いただけです。こういうの好きなんですよ」と江藤主将は笑っていましたが、アンカーで区間賞を取った1年生の池田絵里香は「勇気づけてもらいました。先輩の走りを無駄にしちゃいけないと思いました」と手紙が活躍の原動力になったようです。
同じ高校駅伝で、北九州市立にも手紙の話がありました。2区は主将の友枝美里主将、そして4区は友枝主将の妹の1年生の那奈美。友枝姉妹は実は3姉妹で一番上にお姉さんがいるのです。そのお姉さんも高校時代は陸上をしていたそうで、あこがれの都大路で主将としてチームを率いる妹と、1年生で初めての大舞台を踏む妹に手紙を書いてくれたそうです。残念ながら北九州市立は10位に終わりましたが、姉妹の絆(きずな)は強まったに違いありません。
そして、初の全国制覇を果たした東福岡ラグビー部も手紙でつながれていました。副主将でBKリーダーを務めていたFB竹下祥平が教えてくれました。「僕ら3年生はメンバーもそうでない人もみんなすごく仲がいいんです。決勝の前にメンバー外の選手が手紙をくれたんですよ」とうれしそうに言っていました。
携帯電話を巧みに操り、メールで愛の告白までしてしまうという今の高校生。だけど、チーム内や家族間でも大事なことを伝えるのはやっぱり手紙なんですね。現在はパソコンで送信する新聞原稿も、かつては手書きで送られていました。(私は手書きの経験はありませんけど)昔を知る先輩は言います。「原稿の字を見れば、その記者の心理状態がわかったもんだよ。急いでるとか、原稿に自信があるとかないとかね。今は活字で出るからいい原稿かそうでないか、わからなくなっちゃったけどね」。文章の上手下手よりも自分の手で書いた文字こそが、何よりその人の本当の心を伝えるのかもしれません。
あなたも、手紙を書いてみませんか。うれしい気持ち、悲しい気持ち、感謝の気持ち、怒りの気持ち。普段は簡単にメールですませていることも文字で書くと案外、新しいことに気づくかもしれませんよ。
January 14, 2008 09:03 PM 投稿者:前田泰子 | トラックバック (0)
2008年01月09日
国立のピッチが訴えたもの:村田義治
多々良学園の伝統が、高川学園にバトンタッチされる“瞬間”に遭遇した。全国高校サッカー選手権準決勝。2大会ぶりに国立に進出した山口・高川学園のベンチに、校長も務める学校法人の高川晶理事長夫妻の姿があった。試合前に白井三津雄監督らスタッフ、選手とともにベンチ入りした夫妻は、選手らが控え室に戻ったハーフタイムもベンチを立たず、試合終了後まで座り続けていた。
旧多々良学園から経営を引き継いだタカガワグループは、四国で進学塾などを経営している。多々良学園から06年9月に高川学園に校名変更し、07年4月には中等部を新設。学園を中高一貫教育の進学校に育て上げるのが目的だ。現在、中等部の1期生は30人強だが、授業は7時限。「部活動禁止という規則は特にない」(学校関係者)というが、中等部の生徒が部活動に取り組むのは物理的に厳しい環境になっている。
中等部から高等部に生徒が進学するようになれば、高等部で部活動に取り組む生徒の減少は避けられない。そうなれば高校のサッカー部の存続問題にも発展しかねない。白井監督も危機感があったのだろう。「(経営破綻でサッカー部が)バラバラになりかけてくれたのを救ってくれた恩人への感謝の気持ち」。理事長のベンチ入りの理由をそう説明した指揮官だが、国立のピッチをひたむきに走り回る選手の姿で、部活動を通しての教育の大切さ、あり方を訴えたかったのではないだろうか。
試合後、高川理事長はこう口を開いた。「選手は最後までボールに食らいついて、闘争心を見せてくれた。大会中に力をつけた。それがすばらしかった。感謝している。これからもサッカー部を学校の特色にしていきたい」。進学校のみならず、サッカー部の活動の支援を約束した。高校生のサッカー選手があこがれる国立のピッチは、わずか80分で理事長の心を大きく揺れ動かしたようだ。
January 9, 2008 11:23 PM 投稿者:村田義治 | トラックバック (0)
2008年01月04日
「引きが強い」運をばらまいてます:前田泰子
明けましておめでとうございます。
アマチュアスポーツ担当は今年も東京と大阪で年を越しました。村田、佐藤両記者は高校サッカーの取材で東京へ、私は大阪で高校ラグビーの取材中です。
花園では「強いですね~、九州」と他地区の担当記者によく声をかけられます。そういえば、昨年もよくこの言葉、耳にしました。昨年も花園取材で年を越し、東福岡は準優勝を果たしました。そして、春のセンバツでは熊本工が49年ぶりの準決勝進出。さらにさらに、夏の甲子園では九州代表がベスト8に3校、ベスト4に2校入りました。佐賀北が初優勝するなんて、大会開幕前に誰が予想したでしょうか?
そうそう、年末の全国高校駅伝では熊本代表の女子の千原台が準優勝しましたね。
そして、今年の花園です。東福岡は昨年同様に強く、準々決勝まで「爆勝」を重ねています。東福岡ばかりを気にしていたら、ノーシードの長崎北陽台もあれよあれよと勝ち上がり、4強まで来たではありませんか。九州の代表がダブルで4強入りするのは55大会ぶりのことだそうで。歴史的瞬間を見届けられるのは非常に光栄?です。
昨年の花園以降、取材している高校生の全国大会で私はもれなく準決勝以上まで取材をしていることになります。担当チームが強いことを記者仲間では「引きが強い」なんてことを言いますが、今の私は確かに引きが強いんです。宝くじで3000円以上の当たりくじを引き当てたことのない私はどうやら、運は人のために使ってしまっているようです。今年もバラバラと自分の運をばらまいて取材したいと思っています。
実は九州の高校スポーツが強いのは、ひとえに熱心な指導者の方々がいるからです。野球や駅伝、サッカーなど、自分の県や学校だけではなく九州全体のレベルを上げようと、結束して合宿や試合を積極的に行っているスポーツが多いんです。
今年もセンバツや夏の甲子園と九州勢がどんなに頑張ることでしょうか。ン十年ぶりという歴史的な瞬間を何度見届けることになるんでしょうか。ちょっと楽しみです。
けれど、高校生ばかりじゃなくて、大学生や九州のプロスポーツの方も頑張ってほしいですよね。今年は北京五輪の年。九州に縁のある選手がたくさん活躍してくれることを願っています。
January 4, 2008 06:34 PM 投稿者:前田泰子 | トラックバック (0)
