2007年03月27日
好調ロッソ熊本に敢えて苦言:村田義治
Jリーグ昇格再挑戦となったJFLのロッソ熊本が、開幕3連勝と快調に滑り出した。今年も元Jリーガーを中心に11人を獲得し、18日の開幕戦ではスタメンに元Jリーガーが10人も顔を並べた。今年は昇格条件がシーズン4位以内に緩められたこともあり、ロッソ熊本のJ昇格はかなり有力と見られている。そんな状況だけに、あえて言わしてもらいたい。
ホームで流通経大を迎えた開幕戦は、決していい試合内容ではなかった。立ち上がりからすばやくパスをつなぐ大学生に翻ろうされ、何度も攻め込まれた。「開幕戦はこんなもの」「大学生相手だと、どうしてもこんな試合になる」。そんな声がチーム関係者から漏れた。勝ち点3を挙げた結果だけに視線が注がれているようで残念で仕方なかった。
対戦した流通経大は、全日本大学選抜のフランス遠征に参加していたセンターバック2人とボランチ、そしてU-20(20歳以下)日本代表の守護神で、U-22とA代表と3階級同時代表を果たしたGK林の守備の要、4人を欠いていた。それでも、元Jリーガー相手に互角の試合を展開した。流通経大のスピードに乗った攻撃をロッソ熊本の守備陣が封じる。そして攻撃に転じるが、そのスピードはゆっくりモタモタ。その隙を突いて再び流通経大がボールを奪い返す。そんな図式が延々と続いた。
試合後、流通経大の中野監督は1点差の惜敗の結果よりも、ロッソ熊本のプレーを残念がった。「Jリーグ入りを狙う生徒に、Jリーガーの技術、すごさを見せて欲しかった」。守りを固め相手に攻めさせ、カウンターから得点する。ロッソ熊本の戦いぶりは、J1よりも上位と下位で大きな実力差があるJ2で下位チームがよく用いる戦法のようだった。記者にもロッソ熊本は実力差のあるはずの大学生相手に胸を貸す余裕がなく、勝利のために強引に攻め込む危険を避けたように映った。
J2の上位と下位の差が大きいのは、大きな危険を冒さずカウンター攻撃にかけるチームと、危険を冒してでもゴールを狙う積極性のあるチームとの意思の強さの違いのように感じる。今年J昇格を果たしても、今の戦いぶりにはロッソ熊本の色は見えない。文字通りJで赤っ恥をかかないためにも、JFLではきっちりとした戦術で格の違いを見せつける大人のサッカーを築いて、頂点に立って欲しい。相手に攻めさせる大人の余裕でなく、危険を冒してチャレンジして得点を狙う強い意思のこもったサッカーだ。J昇格が最終目的なのか。それとも、もっと上に照準を置いているのか。残りのシーズン。ロッソ熊本の本気の姿をもっともっと見たい。
March 27, 2007 12:27 AM 投稿者:村田義治 | トラックバック (0)
2007年03月19日
リティの日本語は九州なまり?:佐藤千晶
2月の終わりから、ある疑惑を福岡のリトバルスキー監督に抱いていた。
監督、少しずつ九州なまりになっていませんか?
戦術など複雑な話は英語だが、それ以外の会話は日本語を使うリトバルスキー監督。来日して最初に所属したチームは千葉、その後仙台にも在籍したが、生活の拠点は夫人の出身地でもある横浜が中心だった。そのためか、監督は標準語で話す。ところが、宮崎キャンプ中から、たまに「彼は頑張ってる」などと話すときの語尾が「頑張っとる」とか「頑張っとう」と聞こえるようになったのだ。
毎回ではなく、大半は「頑張ってる」と発音する。しかし、ある日はっきりと「良くなっとう」と言ったので、疑惑をぶつけてみた。「監督、○○しとう、というのは九州の言葉ですよね? 覚えようとしてるんですか?」。すると、監督は「え、そう言ってる? エジソンの影響かな」と標準語に戻った。来日して10年以上、九州で暮らしている日系ブラジル人の早川通訳を引き合いに出したが、横で早川通訳は頭を左右に振った。「私は監督には九州の言葉で話しかけないよ」。
福岡の選手は九州出身者が多いが、取材への対応や、選手同士やスタッフと話すのは標準語を使う割合が高い。私自身、方言に敬語のない北九州の出身だから分かるのだが、おそらく「丁寧に話す=標準語」という意識があるのだと思う。それでも、練習中には「蹴ろうや!」とか「ばり、きつか」とか、耳になじんだ言葉が聞こえる。選手を常に観察しているリトバルスキー監督は、そんな瞬間に九州のイントネーションを吸収したのだろうか。ドイツ・ベルリンのリトバルスキー家は監督以外は皆、楽器ができる音楽一家でサッカー選手は1人もいない一族だそうだ。監督も耳が良いのかも知れない。
今のところ、監督の九州なまりは、ごくたまにしか出ない。もしも、九州の言葉で話したら、それだけで小さな記事にはなるだろう。福岡を担当する記者仲間で、監督に覚えてほしい博多弁を考えてみた。「強か」なら簡単かな、というのは私の意見。某紙のネイティブ博多弁スピーカー記者は「やっぱ『しぇからしか』しかないやろ!」と言い放った。
「しぇからしか!」と監督が言ったら面白いとは思うが、一抹の不安が-。監督はキャンプ中、各選手にデータや観察して気づいたメモなどをまとめた通知表をつけていた。その時「あなたたちのも、つけてるよ!」と報道陣に冗談を言ったことがある。実際、通知表はつけていないが記者一人ひとりの顔と名前、行動の特徴などは言えるそうだ。監督に「しぇからしか!」と言われる記者1号になるのだけは、いやっちゃ!
March 19, 2007 04:55 PM 投稿者:佐藤千晶 | トラックバック (6)
2007年03月12日
ファン拡大につながる移動後の調整練習:村田義治
九州唯一のJ1チーム、大分の遠征パターンがちょっぴり変わった。アウエーへの出発は試合前日移動が慣例だが、10日の磐田遠征出発は試合の2日前。その日は東京で1泊し、試合前日は静岡で調整した。1泊分の遠征費に現地グランド使用料の数十万円が負担増になったが「遠征の疲れを減らすため」とクラブ関係者。遠征が不便な新潟も、前々泊が予定されている。決して安くない出費だが、今年はチームロゴが刻まれた大型バスともリース契約を結んだ。クラブの経費を抑えるのが先なのか、チームによりいい成績を残してもらうのが優先か。長期視点に立った強化を進める方針がしっかり確立しているからこその「先行投資」といえるだろう。
地方にある大分にとって移動は大きなストレスだ。大分市内と空港の往復には、大分湾を横切るホーバークラフトを使用する。海を渡って、空を飛んで、陸路を走る。大分に遠征してくるアウエーチームは通常、大分空港からバスを使用するため、陸海空すべてを使用して移動するのはJリーグ多しといえども、大分ぐらいだろう。磐田遠征で初めてホーバークラフトに乗った記者は、強風の中、海上をサッカーのドリブル突破のように左右に滑りながら進む船内で気分が悪くなった。遠征ごとに陸海空をまたにかけて遠征する選手には、頭が下がる思いだ。
きつくて、長時間の遠征を強いられる大分だが、その遠征を逆手にとった“ファンサービス”が、地方チームの人気を支えている。磐田戦翌日の11日、午前中に東京から大分に空路移動したチームは1度、市内で解散した後、午後から大分市内の練習場で軽い練習を行った。日曜日の練習場は、平日に見学に来られないサポーターが多く駆けつける。試合の疲れも残っている中でも、練習後、サポーターへのサイン、写真撮影も快く応じる選手ばかりだ。ほかのチームはアウエーから戻った後、空港などで解散するチームが多いと聞く中で、移動後にサポーターの前で行う調整が、ファン拡大につながっているように思えてならない。
選手は、移動疲れで休みにならないスケジュールをチーム練習に充て、翌日をじっくり静養する。はっきりしたオンとオフとの切り替えが、シーズン中の緊張感の持続につながっているのではないか。J1で5シーズン目を迎えた大分。地方クラブならではの遠征の負担をも、チーム成長への力に変える頼もしさを感じた。
March 12, 2007 05:54 PM 投稿者:村田義治 | トラックバック (0)
2007年03月05日
ニックネームで覚える方法も:佐藤千晶
数字と、名前と、顔。新聞記者をしていながら、この3つを覚えるのが何よりも苦手だ。福岡の選手を覚えられるかが最大の不安だったのだが、担当2日目にして的中。ある選手に2日続けて名刺を差し出してしまった。とにかく、全員の名前と顔を早く覚えなければ! 昨年の名鑑と文字通り首っ引きで練習を見続け、1週間で顔と名前が一致し、1カ月以上たった今、やっと背番号も覚えた。
名鑑と双眼鏡とともに、顔を覚えるのに役立ったのがニックネームだ。サッカー選手は年齢の上下に関係なく、プレー中はニックネームで呼び捨てが基本。呼ばれた選手を見れば、顔と名前が1度に分かるので、練習中は選手の声が最大の手がかりだった。福岡の場合、呼び名は5種類に分けられる。
【姓】内藤、リンコン、林
【姓の一部】カミ(神山)、ピント(ノグチピント)、ロク(六反)、チェコ(チェッコリ)、ナギ(柳楽)、ヤス(安田)、シバ(柴村)、アレ(アレックス)、ヒサ(久永)、ツカ(大塚)、タク(多久島)、クギ(釘崎)、ウノ(宇野沢)、ハファ(ハファエル)
【名】(宮本)トオル、(長野)サトシ、(宮崎)コウヘイ、(古賀)セイジ、(城後)ヒサシ、(山形)キョウヘイ、(中村)ホクト、(本田)シンゴ、(田中)ユウスケ
【名の一部】シン(川島真也)、ノリ(山形辰徳)、キヨ(久藤清一)
【ニックネーム】キンちゃん(金古の「金」から)、ワンちゃん(布部。顔が王貞治監督に似ているから)
実は最初、GK六反のニックネームは「タン」だと思っていた。六反も加わっていたパス回しの練習を見ていた時のことだ。パスを出す相手や、出してもらいたい相手を呼ぶのに「タン」だけが異常に多く登場する。「六反って、上手だからボールが集中するのかな。それとも人気者なのかな」と思っていた。後日、何となく変な状況に気づいた。メンバーに六反以外のGKが入っているときも「タン」という言葉が聞こえる。しかし、私は間抜けなことに「あの選手、ほかのGKを六反と間違えてる」と、自分の誤解に気づいていなかった。
“真相”が分かったのは宮崎キャンプ直前、早川エジソン通訳のインタビュー中だった。福岡の日本人選手が、ブラジル人選手と話すためにポルトガル語を覚えることがあるか尋ねた。早川通訳は「パスを出すときに『ターン』と言うでしょう。あれをポルトガル語で何と言うか、ノリ(山形辰)が聞いてきたことがあります」。えーっ、あの「タン」は六反のことじゃないの? 本来なら山形辰の勉強熱心さを突っ込んで取材すべきところ、恥をしのんで本筋と関係ない質問をするしかなかった。「ターンって、何ですか?」
パスを出す相手に「フリーだから前を向け」と指示する言葉だったとは…。勝手にニックネームを間違えてすみません、六反選手。こちらのミスなのに、呼び間違えていると思い込んですみません、某選手。早川通訳によると「ターン」はブラジルでは「タ・ソ」と言うそうだ。「エス・タ・ソ(君は1人だ)」を縮めた言葉で、逆にフリーでない相手には「ハボ(しっぽ)」と言って背後に敵がいることを知らせる。「聞くは一時の恥…」を実践する日々は、まだまだ続きそうだ。
福岡31選手中、覚えるのに最も時間がかかったのはMF城後とFW林。この2人は長身で髪型、髪質が似ているので、最近まで後ろ姿は見分けられなかった。2枚の写真、判別できますか? 正面の顔は、ぜひ「2007年Jリーグプレーヤーズ名鑑」(日刊スポーツ出版社、400円)で比較してみてください。ポケットサイズで観戦に便利な上、今年からJ2選手の顔写真も掲載しています。
March 5, 2007 03:01 PM 投稿者:佐藤千晶 | トラックバック (0)
