2007年02月28日

シャムスカマジック今季も:村田義治

 今年から足を運ぶようになった大分の取材で、早速「シャムスカマジック」を実感した。2月22日まで行われた宮崎キャンプ。トップチームに初帯同したユース所属の小手川宏基(17)の活躍に、毎年成績を伸ばしている大分の強さを垣間見た気がした。

 大分では今年、U-18日本選抜にも選ばれたMF清武弘嗣(17)をトップ登録する予定だったが、参加したグアムキャンプで骨折。シャムスカ監督の構想も歯車が狂ったかに見えたが、ポッカリ空いた隙間を宮崎キャンプで4戦5発を決めた小手川が見事に埋めた。

 シャムスカ監督はオフ、ほかのJチームの若手有望選手を獲得リストに挙げたが、クラブの財政上、実現することはできなかった。すると、新加入選手からキャンプでの主力組にMF宮沢とブラジル人トリオのほか、高卒ルーキーのMF金崎夢生(18)やFW松橋優(21=早大)を抜てき。年齢、実績に関係なく、若い芽にもチャンスを与え続けた。

 原強化部長は、ユース小手川のブレークに「若い選手を使って、料理してくれるので助かる」と、シャムスカ監督を評した。強化費に限界があるチームにとって、現有戦力を最大限に生かす手腕は大きな戦力だ。

 大分から期限付き移籍した梅崎司(20)も、フランス2部リーグのグルノーブルでの活躍が続く。シャムスカ監督のマジックには、若手の成長をうながす特効薬があるようだ。トップ登録を予定する小手川や金崎に、シャムスカ監督がどんなスパイスを加えて「1人前」にするのか。おなかを空かせてシャムスカ大分の07年開幕を待ちたい。

February 28, 2007 07:48 PM 投稿者:村田義治 | トラックバック (3)

2007年02月19日

宮崎キャンプ夜のキーワードは5000円:佐藤千晶

 5000円。福岡の宮崎キャンプ、夜に使う金額だ。選手と記者とが対極にあると、痛感した数字でもある。

福岡FW田中佑昌は、野菜サラダを山盛りにする  今年から宮崎での宿舎を変更した福岡。選手、スタッフは、練習会場の生目の杜運動公園から車で約10分の市街地にあるホテルに宿泊した。宿舎の食事がおいしい、という話を複数の選手に聞いたので、ある日の夕食会場に「潜入」した。

 福岡のディナータイムは午後7時開始。専用の会場に、バイキング形式で料理が並ぶ。選手は入り口のホワイトボードで自分の名前にチェックを入れ、思い思いに料理を皿に盛り付けていく。池辺友和マネジャー(29)がパスタや野菜など、必須メニューをリクエストし、ホテル側の和洋食シェフが相談して献立を練った。取材した日は以下のような内容だった。

福岡FWハファエルは、夕食のバイキングで真っ先にパスタを取った  【野菜】葉レタス3種、キャベツ、トマト、キュウリ、ブロッコリー、パンプキンサラダ、ポークサラダ
 【パスタ】ミニ帆立のレモン風味
 【肉】豚スペアリブ、子羊、牛肉
 【魚】タコぬた和え、エビのガーリック焼き
 【鍋料理】牛タン煮込みなど2種類
 【主食】パン、鯛の炊き込みご飯、白米
 【そのほか】もずく、納豆、ヨーグルト、ジュース、牛乳、低脂肪乳

 「サッカー選手向けの工夫としては、サラダのドレッシング4種類を、すべてノンオイルにしました」と調理を担当したチーフ。この内容を一般のバイキングで出した場合の想定料金は、大人5000円相当だという。「バイキングは通常、人数の8割分を用意するんです。アビスパさんの場合も最初は8割だったんですが、数日で、人数分用意しないと足りなくなりました」と話すのはホテルの総支配人。某プロ野球2軍が秋季キャンプで利用する同ホテルは、スポーツの合宿受け入れも多い。食欲旺盛なアスリートには慣れているはずの支配人が、福岡イレブンの食欲に驚くそばで、FW田中佑昌(21)が皿に野菜を山盛りにしていた。「毎日、おいしい料理ばかりでした」と田中は満足の笑顔を見せた。

 朝食は、少しメニューが減るが、目の前で焼く目玉焼きが好評。ちなみに、リトバルスキー監督(46)がいつも食べるのはヨーグルトのストロベリーソースがけ。配膳スタッフが驚くほどのソースを入れるそうだが、監督の体重は現役時からプラス4キロの68キロ。身長168センチ、均整のとれた体型を保つべく、毎朝練習前に30分のランニングを欠かさない。

 振り返って、記者は2週間で「休肝日」2日、夜な夜な宮崎の繁華街へ繰り出した。選手の食事と同じ5000円は、ホテルのマッサージ(60分)に消えた。競技場のトラックをカメラ片手に1日1、2周するだけの運動不足メタボ体型が役立ったのは、打ち上げ前日。選手が使ったバランスボールの空気抜きを、数人の記者の中で一番多くこなした。ボールに乗ってつぶすと、シューッと勢い良く空気が抜ける。背後でボールボーイの小学生が「すげー」とあきれた声を出したとき、来年の宮崎キャンプへ向けて出直しをひそかに誓ったのだった。

February 19, 2007 12:09 PM 投稿者:佐藤千晶 | トラックバック (0)

2007年02月11日

不可解な福岡ホベルトの退団劇:村田義治

 11日。福岡空港に涙の雨が降り、直筆サイン入りカードが嵐のように舞った。何とも寂しすぎる「別れの儀式」が行われた。福岡を電撃退団した前主将のMFホベルトが、サポーターに惜しまれつつ福岡を去っていった。

福岡を退団したホベルトが、福岡空港でバラ撒いたカードには、直筆サインとともに「ARIGATO」が書かれていた  ホベルトの存在感の大きさを物語る光景だった。搭乗口に詰め掛けたサポーターの数は100人。いや、200人近くの人垣ができた。福岡で3年。J1昇格に導いた助っ人が、福岡サポーターに与えた感動の大きさを表していた。「どうしてホベルトが、こんなに急に退団しなくちゃいけないのか」。誰もがそんな気持ちだっただろう。何度も博多の森球技場で響いた「ホ、ベールト!」コールが、3連休の旅行客でにぎわう空港ターミナルにこだました。

 集まったサポーター1人1人に、サインや記念写真に応えるホベルト。激しく相手ボールを奪いにいったピッチ上とは対照的に、最後まで崩さない紳士的な振る舞いに、当然のことながらサポーターからすすり泣く声がこぼれた。

 宮崎キャンプ中に降ってわいたホベルトの退団劇。サポーターに愛されたホベルトの姿を見ると、クラブの愛情のなさを嘆かずにはいられない。クラブが出したリリースのタイトルは「ホベルト選手移籍のお知らせ」。だが、そこに書かれていた文章は「(略)ホベルト選手が移籍することになりました(中略)移籍先クラブに関しましては、正式に契約が決まり次第お知らせいたします」。移籍先が決まっていない中でも、移籍リリースという不可解なものだった。例えていうなら、契約更新しない旨を伝えた戦力外通告選手について「移籍リリース」を出すようなものだろう。

 翌日、マスコミは一斉に「ホベルト解雇」と報じたが、クラブ幹部は「解雇」の2文字に激怒したという。だが、リリースのタイトルが「移籍」で出すクラブの真意が、私には分からない。多くのサポーターからも、また他のJリーグのクラブ職員からも「なんで移籍?」という、同じような声を聞かされた。すんなり「退団のお知らせ」と書けないクラブの体質に首をかしげてしまう。

 外国人選手の多くは、妊娠した夫人を母国で出産させることを希望する。だが、ホベルトの2人の子供はともに福岡で生まれた。それほど、ホベルトが福岡になじみ、愛していたということだろう。最後に、ホベルトは自分を愛してくれたサポーターに「ARIGATO!」と直筆で書いた選手カードを感謝の心を込めて、紙ふぶきのように搭乗ゲートの空に投げた。「3年間、アリガトウ」。サポーターの心にも疑問符を投げかけた今回の退団劇。福岡が、さらに愛されるチームになるための教訓にしてもらいたいと思う。【村田義治】

February 11, 2007 11:34 PM 投稿者:村田義治 | トラックバック (0)

2007年02月06日

3チームそれぞれのキャンプ:村田義治

 5日から宮崎に移動した福岡を最後に、九州のJリーグ3チームが、3月の開幕に向け、それぞれキャンプインした。先月28日始動した大分は、翌日からグアムキャンプの真っ最中。鳥栖は雪の第1次中津江キャンプを経て、6日には鹿児島で第2次キャンプに突入した。そして、地元で3週間みっちりトレーニングを積んだ福岡は、満を持して? のキャンプインだ。

 この3チーム。それぞれのスケジュールが、監督の性格が表しているようでおもしろい。大分のシャムスカ監督は現実主義というべきところか。1月28日始動は、Jリーグでも遅い部類だ。それも、ランニング中心だった始動日は、オフィシャルの写真撮影、必勝祈願などの行事続き。翌日からのグアムキャンプが実質の始動だ。

 4日の今季初の練習試合に逆転負けしても、シャムスカ監督は「フィジカルトレーニングの意味合いがある」と涼しい顔。昨シーズン終盤に息切れした反省から、シーズンを通して「安定して力を出せるのが大事」(シャムスカ監督)。開幕まで1カ月を切っても、シーズン最後に結果を勝ち取るため、ジンワリとチームを仕上げていくという姿勢が伝わってくる。

 対照的なのが、福岡のリトバルスキー監督。いきなり6時間近い練習でスタートした始動日を皮切りに、厳しいフィジカルトレーニングを敢行。救急車で運ばれる選手が出るなど、キャンプ前で、すでに10人以上の離脱者が出るほどの激しさだった。過密日程でシーズンを戦うJ2では当然、体力勝負が占める割合が増える。だが、宮崎キャンプでも落伍者を福岡に強制送還させる罰則もあるという。息を抜く暇もない選手が、開幕までモチベーションを保ち続けることができるか。選手の意識改革が目に見えてくる一方で、ちょっぴり不安を感じずにもいられない。

 同じJ2の鳥栖は、岸野監督が就任。チームは昨年過去最高の4位に入ったが、岸野監督の口癖は「鳥栖のサッカーは、自分たちがやれることを一生懸命やること」。今年こそJ1昇格を! と選手を躍らす周りの期待を取り除き、それぞれが昨年より1歩成長した結果がシーズン後に夢を実現させることになる、というスタンスを貫く。選手掌握法が何ともたくみだ。

 ともあれ。九州3チームの戦いは、3月のシーズン開幕からが本番。福岡のJ2降格で、J1での九州ダービーが今年見られないのは、九州のマスコミとしては寂しい限りだ。ラグビー界では来年、サニックス、コカ・コーラ、九州電力の九州3チームそろってのトップリーグ参戦がひと足早く実現する。福岡、鳥栖がJ1昇格すれば、08年にはJ1で九州ダービーが一気に6回開催される。そんな九州サッカー界の夢をかなえるために、悔いなきキャンプを送ってもらいたい。

February 6, 2007 02:18 PM 投稿者:村田義治 | トラックバック (1)