2005年09月24日

不思議なスポンサー基準:押谷謙爾

 やはり地方でのプロクラブ運営は容易でないようだ。昨年のJ2鳥栖に続いて、今夏はJ1大分の経営危機を取材している。大分県が2億円の融資を決め、資金ショートのピンチは回避したが、経営再建のため今年度中にあと4億円いるという。

 実は7月からメーンスポンサーになったパチンコなど総合レジャー企業の「マルハン」が追加支援の方針を固めていた。台所事情の苦しい大分には渡りに船だったが、Jリーグからは「NO」とつれない返事をもらった。J1、J2の実行委員会でホール企業とスポンサー契約を自粛する申し訳がされているからだ。メーンスポンサーが撤退した大分は「特例」(Jリーグ鈴木チェアマン)という形で認められたが、やはり2度目は許されなかった。

 これは実行委員会内でも賛否両論ある。青少年に夢を与えるJリーグに大人の遊び場であるパチンコホールはふさわしくないという意見と、地方クラブは財政が厳しいんだし許可してよ、という意見である。一方でJリーグ自体は今年からパチンコメーカーの「平和」とオフィシャルスポンサー契約を結んでいる。どっちも同じパチンコ業界だと思うのだが、Jリーグの基準に則さないものがあるのだろう。とっても不思議な気がする。

 経営危機を一時的に脱した大分だが、この「自粛」が2年後に深刻な事態に発展する。前述のとおり、マルハンとの契約は「特例」なのだ。契約が満了してもJリーグは更新を認めない方針で、2007年シーズン、大分は再びメーンスポンサーが不在になる可能性がある。一難去ってまた一難である。

 このご時世、広告料収入の増収はあまり期待できない。入場料収入の増収やコスト削減、魅力ある商品(チーム、試合)づくりとその売り方など、やるべきことは多々ある。J1昇格に燃えたJ2時代からの惰性はとっくに消えた。中期8カ年事業計画と題したクラブ再建策が画餅にならぬよう祈るばかりだ。【サッカー担当・押谷謙爾】

September 24, 2005 08:29 AM 投稿者:押谷謙爾 | トラックバック (1)

2005年09月20日

選手移籍をプラスに:村田義治

 シーズンも第3コーナーに近づいた9月13日。開幕から全31試合、J2鳥栖の司令塔を担ってきたMF宮原が、J1のC大阪に期限付き移籍した。まだ、鳥栖のJ1昇格の可能性もある時期での移籍だ。「なんで?」。そう思ったサポーターは少なくないはず。私も、そう思った1人だ。チーム関係者とも「チームはもうJ1昇格を諦めたと、サポーターに取られてもおかしくない」と、顔をしかめあった。その思いを松本育夫監督(63)にぶつけた。

 しかし、周りの戸惑い顔をよそに松本監督は、さも当然とばかりに口を開いた。「今のチームよりレベルが高いところから来た話は、その選手のため、クラブは断れない。もちろん、クラブとして同じレベルの選手を補強するのが条件だけど」。宮原の代わりにC大阪から移籍してきた浜田は、U-22、U-23日本代表経験を持つ。鳥栖でのデビュー戦となった17日の山形戦では得点に絡めなかったが、指揮官は「ミスが少なかった。片りんを示してくれた」と及第点を与えた。その日、宮原も5年ぶりにJ1のピッチに立った。「両選手にとってプラスになった」と、松本監督は満足そうに振り返った。

 宮原が抜けた穴は、確かに大きい。だが「より強く、より高いレベルでサッカーをやりたい」。そう思うのは、サッカー選手なら誰でも同じこと。自身のレベルアップのために選んだ宮原の選択を、誰も責めることはできない、残された選手も、次にステップアップのチャンスを手にできるのは、自分自身かもしれないのだから…。「いなくなれば(次が)育ってくるもんですよ」と松本監督は口にした。後ろ髪を引かれる思いであっただろう宮原のため。そしてチームのため。そして何より自分自身のため。今こそ選手全員が砂岩となってこのハードルを乗り越え、ラストスパートの直線を戦い抜いてほしい。

【村田義治】

September 20, 2005 07:53 AM 投稿者:村田義治 | トラックバック (1)