2006年06月22日

チュニジアを甘く見てはいけない

海島 健(バーレーン大学講師)

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 H組の初戦はいきなりチュニジア-サウジアラビア(6月14日)のアラブクラシコ(アラブダービー)だったわけですが、なかなか盛り上がりました。

 TV観戦場所として、バーレーンの繁華街にある「モロッカンカフェ」というモロッコ料理の店を選んだのですが、これは大正解でした。店内はサウジ東部から橋を渡ってバーレーンに遊びに来たサウジアラビア人と、バーレーン在住のチュニジア人とモロッコ人でいっぱい。7割ほどがサウジアラビア人。ちなみに、モロッコ人はチュニジアを応援していました。

 1点を追うサウジアラビアが、後半に入ってFWアルカフタニの同点弾で追いつき、交代直後のベテランFWアルジャバーが逆転弾を決めると店内は割れんばかりの歓声がわき起こりました。このままリードを守り切れば94年大会以来のW杯勝利で、喜びに酔いしれるサウジ人が車のホーンを鳴らして、繁華街にあるエキシビジョン通りをパレードする姿が見られたのですが、ロスタイムに中田の同僚、チュニジアDFジャイディに決められ、勝ち点1を分け合うことになってしまいました。

 試合後、チュニジアサポーターが、「これがアラブダービーの難しさだ。でも、ヨーロッパ勢(スペイン、ウクライナ)とまともに戦えるのはこっちだよ」と言っていました。それまでの親善試合やアフリカ杯などの戦いぶりからして、筆者もこの意見には同感です。

 両チームの2戦目は、ご存知のようにともに敗戦でした。サウジアラビアは2002年日韓大会の「札幌の大敗(0-8、対ドイツ)」を思い出しかねない、0-4の大敗をウクライナに喫しました。チュニジアはスペイン相手に早い時間に先制しましたが、後半27分に同点に追いつかれると、さらにF・トーレスに2発決められ、1-3の逆転負けで、日本のオーストラリア戦のような展開でした。

 2戦を終えた段階で、勝ち点が(カッコ内は得失点差)スペイン6(+6)、ウクライナ3(0)、チュニジア1(-2)、サウジアラビア1(-4)となりました。3戦目の対戦カードがウクライナーチュニジア、サウジアラビアースペインです。チュニジアがこの直接対決を制すれば、2強(スペイン、ウクライナ)2弱(チュニジア、サウジアラビア)の評価を覆すことができます。その可能性は高いと筆者は考えます。

 まず、アフリカ杯でもそうでしたが、チュニジアは非常に組織的な攻撃と守備のできるチームです。アフリカ杯出場国の中ではその辺が一番といっていいほどしっかりしていました。アフリカのW杯出場国5カ国中連続出場がチュニジアだけなのも、そういったことが関係していると感じます。もしウクライナがアラブダービーの2-2引き分けという結果だけに注目して、「サウジに4-0だったから、チュニジアにも楽勝できる」などと考えていれば足をすくわれるでしょう。実際に元ソ連代表で94年米国大会得点王のサレンコ氏も「サウジアラビアやチュニジア相手なら、どんな状況でも負けてはいかん」などといった発言をしているようですし。

 また、今回のW杯でウクライナは0-4の大敗(対スペイン)、4-0の楽勝(対サウジアラビア)と大味な試合ばかりですので、重圧のかかる最終戦が1点勝負になったら、モロさを見せそうな気もいたします。また、そういったところがチュニジアの狙い目でもあり、名将ロジェ・ルメールの腕の見せ所です。そして、点取り屋エースFWサントスは3戦目復帰してくるでしょうか。

 日本-ブラジル戦の翌23日、こちらも逆転をかけて戦います。チュニジアの28年ぶりW杯白星を待ちましょう。

※写真はスペイン戦で先制して喜ぶチュニジアの選手たち

June 22, 2006 05:55 PM