2006年06月09日
『ヒデになれ!』
煙山光紀(ニッポン放送サッカーパーソナリティー)
今回のW杯ドイツ大会で、民放ラジオ97社の代表として取材、レポートを担当しています。日本代表に密着して12日が経ちました。ここまでの印象はとてもいいです。
大人のチームになったなあというのが、率直な印象です。選手は取材にもしっかりと答えてくれますし、ピリピリ感もありません。W杯を前にしても、普段通り、平常心。本当に落ち着いています。
でも、サッカーのチームというのは、あまり落ち着きすぎても良くないという面もあります。そこで、穏やかな水面に、石を投げこみ、波紋を広げ、いいスパイスとなっているのが、中田英寿です。相手にとって耳の痛いことをバンバンいうのが、ヒデ。
『なにも、そんな言い方をしなくても』と気分を害している選手もいるようです。もしも、会社の同僚にヒデみたいな存在がいたら、ぼくだったら、気が休まらないだろうなあとも思います。
日本代表は、われわれ日本人の鏡でもあります。普段のぼくたちがそうであるように、意見をガンガンぶつけ合うのは大変です。それが、サッカーに勝つために不可欠と、頭で分かっていてもなかなか実行はできないというのが、今までの代表だったと思います。でも、4年にわたるヒデからの刺激に、ここにきて、周りの選手も確実に反応してきています。ドイツでのテストマッチでは、ピッチ上の様々な場面で、声を荒げ、けんか腰で要求しあう姿を見ることができました。平常心を保ちつつ、自分の考えを強く伝え続けることで、ピッチ上の11人が、1つの生き物のように戦う、理想の姿だったと思います。
しかし、残念ながら、マルタとの試合では、その姿が跡形もなく、消えてしまいました。
試合後、ヒデは『収穫? ありません! 気持ちの問題なんで、それぞれが感じないとどうしようもない』と吐き捨てるように言い放ちました。そして、ヒデは、それだけのことを言えるだけのプレーをしていました。
ジーコ監督も、『どんな状況でも同じ気持ちで、自分のすべてを注ぎ込めるのが中田英寿という選手。他の選手も見習って自分を高めて欲しい。』と奮起を促しました。W杯で勝つために、何より日本代表に必要なのは、ヒデの持つ、激しさ厳しさ、自他ともに妥協を許さぬ気持ちです。
だから、あえて言いたい。日本代表よ、ヒデになれ!
June 9, 2006 05:42 PM
