2006年03月06日
サウジアラビア完敗に国民の反応は?
海島 健(バーレーン大学講師)
日本代表がボスニア・ヘルツェゴビナと引き分けた翌日の3月1日、ドイツW杯開幕前唯一の国際Aマッチデーということで世界中で多くの親善試合が組まれた。湾岸サッカーファンの注目を集めた試合の1つがポルトガル-サウジアラビアだった。
サウジにとっては同じH組のシード国であるスペイン戦を見据え、絶好のシミュレーション。ポルトガルにとってもD組で戦うイラン対策をしておく数少ないチャンスということで、両国ともベストの布陣でドイツで激突した。
立ち上がりから15分くらいまでは互角以上の戦いをしていたサウジだが、クリスティアーノ・ロナウド(マンチェスターU)、パウレタ(パリSG)、フィーゴ(インテル)といった前線の選手の個人技の前に、自慢のDF陣が混乱。GKデアイエが好セーブで失点を防いでいたが、29分、フィーゴのCKからクリスティアーノ・ロナウドに頭で合わせられ先制されてしまった。44分には右サイドからのクロスをクリスティアーノ・ロナウドがダイレクトシュート、これはGKデアイエがはじいたものの、こぼれ球をマニシュ(Dモスクワ)に決められ2-0で前半を終了した。
後半、パウレタ、フィーゴを下げ、スーパーサブのポスチガ(FCポルト)を投入してきたポルトガルに対して、サウジもカフタニ、テミヤート(ともにアルヒラル)といった選手を順次送り込むが、流れは変わらない。後半39分、スペースに飛び出したクリスティアーノ・ロナウドに決められ3-0とされ、そのまま試合終了となった。得点以上の完敗だっただけに、報道も厳しいものとなると思われたが…。
翌日(3月2日)、サウジ紙『アシュラクアルワサット』を入手してみると、1面で出場選手名と試合経過が淡々と記されているだけ。21ページには笑顔で雪と戯れるサウジ代表の選手たちの写真がデカデカと全面に掲載されているではないか。結局、試合内容に関する批判やいら立ちといったものはこの新聞からは見つけることができなかった。
「身内の恥」「国の恥」といったものをあえて紙面で評論しないといったアラブ的発想があるものと思われるが、それにしても本番をおよそ100日後に控えて、あえて悠然としているかのように見える理由は何だろうか。
サウジアラビアにとって救いなのは、代表選手のほとんどが国内リーグのアルイテハドとアルヒラル所属であることだ。何も国際Aマッチデーでなくても、国内で日程を調整すればベストメンバーを組んで親善試合をこなし、連係などの強化を図る時間はある。
実際に3~4月のスケジュールを見ても、
3月18日 ウルグアイ戦
3月29日 ポーランド戦(仮想ウクライナ)
4月19日 エジプト戦(仮想チュニジア)
以上3戦ともホームゲーム。5月にはドイツで4試合(南アフリカ、メキシコ、チェコ、ルーマニア)組まれ、開幕直前にフランス戦となっておりW杯出場国の中でも1番といっていいくらいコンスタントに、そして明確な意図の下に試合が組まれているのが見てとれる。
アルアハリという強力なクラブチームを土台にしたエジプト代表が親善試合を多くこなして急激な進化をとげ、アフリカ杯で優勝した。同じように2つの有力クラブチームで代表作りをしていくサウジアラビアの伸びしろにも、サウジ国民同様に(?)あわてず騒がず期待してみよう。
March 6, 2006 02:29 AM
