2006年02月27日
「ロナウジーニョ」の日本代表入りは近い!?
小縣裕介(朝日放送アナウンサー)
「野洲見た? ヤバイっすよね!」というフレーズがアチラコチラから聞こえてきた今年の初蹴りだった。新年最初に母校等でOB、現役と入り混じってゲームをするのをサッカー界では“初蹴り”と呼ぶのだが、実際これほど関心が高いとは思わなかった。
去年はG大阪が関西初のJリーグ優勝を手にしたが、年明け早々に高校サッカーで滋賀の野洲高校が県勢として初優勝。選手権の優勝は近畿勢としても久しく、まさに快挙の一言である。それにしてもあのサッカースタイル! サッカー好きなら間違いなく“ヤバイ”っと思ったはず。
先日、野洲の山本佳司監督とじっくり話す機会があった。想像していたよりも“ぶっとんだ”方だった。細身の黒のグッチのスーツにストライプシャツは胸元まではだけ、シルバーのアクセサリーがチラリとのぞく。スクエアトウの靴、D&Gのダークグレーのロングコートに黒の超ロングマフラーな装いは、ニキータ風にいうと「艶男(アデオス)」そのものだ!そして、かなりの石田純一テイスト! 突っ込むと、「石田純一は素足に靴やろ!」とさらり。ムムッ! 手強い…。「生徒たちにはとにかく規格外のプレーをして規格外の選手になれと言ってます。それで監督が規格内じゃあかんでしょ」。
フ~ム、なるほど。“想定外の県立高校教師”ってやつですね。まさに「チョイ悪、チョイセクシー」な42歳! ちなみに車は? と話を振ると、「今はメルセデスやけど、昔はポルシェのカレラに乗ってたよ。よく生徒にいたずらされたけどね(笑)」これまたさらり。公務員でありながら“ヒルズ族風”???
世界を目指せるスポーツを求めて高校からレスリングに取り組み、日体大レスリング部では主務として部員のパイプ役を務めた若き日々。ドイツ・ケルン体大に留学し、1FCケルンの練習をむさぼるように見て、田嶋幸三氏らと出会ったことがサッカーにのめりこむ、きっかけになったそうだ。
高校サッカーの指導者としては「俺たちが目指すのは全国大会でもなく国立でもない。ロナウジーニョみたいなプレーで観客を楽しませろ。そして世界を目指せ!」と言い続けた。「だから、ウチの選手は国立のピッチで緊張しなかったでしょ。当然です」。
そして恐らく「選手権の伝説」となるであろう、決勝戦でのファンタスティックゴールが生まれた。「トリッキーあり、ロングパスあり、ドリブルあり、野洲の真骨頂、集大成といえるゴールでしたね」と自慢気に振り返った山本監督。「でもあれは、サイドチェンジの前のワンツーが効いてるねんで。あれで鹿実が引っ張られたからパスが通るねんなー、分かる?」恐らく20年前、こんな表情でブンデスリーガを見ながら同志たちとサッカー談義に花を咲かせていたのだろう…。
野洲は試合前のミーティング後に全員で「モチベーションビデオ」を見て試合に臨む。今までの創造性豊かな自分たちのゴールシーン、雨の中応援してくれたサポーター、ロッカールームで円陣を組む背中、そして勝利して突き上げた拳。それは気持ちを試合に向けて上げていく、勝つことへのイメージを最大限にまで高める「ぐッときて、ゾクッとする」ものだそうだ。
ケツメイシの“桜”が流れる映像を胸に、野洲は日本一に昇り詰めた。
山本監督「(ユース入りした)青木には、とことんドリして来い! と言いましたよ。どこまでドリすんねん? みたいなね(笑)これからもロナウジーニョやロビーニョみたいな面白いFWを育てて生きたいですね」。
--今後の夢は?
山本監督「教え子たちがドンドン日本代表入りして、国立のピッチに帰ってくること。極端な話、高校を卒業してJリーグを飛び越して海外に飛び出す選手が出てきて欲しい。だからこの日本一はある意味僕たちのスタートなんです」。
選手権に優勝し、新チームの始動が遅れるハンディを感じさせず、今年最初の公式戦となる新人戦で当然のように滋賀県の頂点に立った野洲。決定力不足が叫ばれる日本代表に、近い将来、ファンタジスタが現れることを確信した!
February 27, 2006 04:01 AM
