2007年05月24日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

対局で自分さらけ出すから棋士は仲良し

 囲碁界は先輩後輩、男女問わず、とにかく仲がいい。きっと将棋界も同じだと思う。勝ち負けがはっきりしているこの世界。皆がライバルであるのに不思議なことだ。もちろん、負けた後は多少なりとも不機嫌になる。でも、それは自分に怒っているから。相手に怒ることは、まずない。

 対局で自分をさらけ出しているのも仲良しの秘訣(ひけつ)だろう。対局中は相手の手に反発したり、挑発して戦いに持っていき、相手も真っ向から受けて立つなど、その応酬はとにかくすごい! でも、それはあくまで対局中の話。手に自分のすべてをさらけ出すおかげで、対局後はすっきりさわやかなのである。

 棋士夫婦が多く誕生しているのも、この辺りのことが関係していると私はにらんでいる。しかし、激しすぎる棋風の私。さらけ出しすぎて引かれてしまった過去も何度か…。少し大人になった私は、多少セーブすることも覚えた(笑い)。

 1年間、囲碁のことを思うがままに書かせていただいた。読者に、少しでも囲碁が身近に感じていただけたなら幸いです♪ 本当にありがとうございました。(終わり)

May 24, 2007 11:45 AM | トラックバック (2)

2007年05月10日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

7年前ドキドキの初遠征…初心に帰るべし

 ガタンゴトンー。ただ今新幹線の中。今週は大阪で対局があるので、向かっている最中なのだ。

 あぁ、思い起こせば7年前、初めての遠征対局が大阪であった。ドキドキして眠れなかった出発前夜。まるで遠足に行くときの気分である。もっとも楽しさと言うよりも緊張のドキドキであったが…。

 そして対局当日。初めて行く場所なので、迷ってはいけないと早めに出発。しかし、開始1時間前には到着し、「早過ぎたぁ! 開始までどうする!? 私!」と頭を抱えていたあのころがほほえましい。

 昼食もどこで食べたらいいのか分からず、しばらく周りをうろうろしていた。完ぺきにお上りさんである。途中たこ焼き屋さんを発見し、遠征初昼食はたこ焼きになった(笑い)。

 てんやわんやではあったが、なんとか勝つことができ、ホッとした記憶がある。

 あのころは初々しかったなぁ。何もかも必死だったなぁ。初心に帰るべしとも言うし。よし! 明日の手合はあのころの気持ちで打とう!

 そういえばあのころは新幹線の中でも必死に詰め碁を解いていたなぁ。今手元には(お菓子の袋)…。そっとかばんから詰め碁の本を出す今日のよき日であった。

May 10, 2007 09:45 AM | トラックバック (1)

2007年04月12日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

手合日以外は休み!?いや毎日が修行だ

 棋士には決まった休みの日はない。木曜が公式手合(対局)日で、時々月曜にも早碁棋戦などを打つが、あとの曜日は仕事、研究会、自宅で勉強など個人管理である。休みが決まっていないので、祝日などの概念も少ない。

 「電車の中、親子連れが多かったけど、なんでだろう?」

 「今日は祝日だよ」

 「あっ、そうなの!?」

 そんな会話がたにたび聞かれる。

 若手棋士でいうと、木曜が手合、金・月・火曜に研究会が入ることが多い。木曜から曜日をスタートさせのは、棋士にとって手合いのある木曜がメーンだから。私はどうしても木曜からが1週間の始まりという気がしてしまうのだ。

 野球のようなオン、オフシーズンもないので、夏も冬も、もうすぐやってくるゴールデンウイークもお盆もお正月もあまり関係がない。手合日以外は休みとも言えるし、いやいや、毎日が修業! とも言える。

 ちょっと変わったこの世界。休もうと思えば、いくらでも休めるのがこの世界の怖さだ。でもその分自分に厳しくし、日々懸命に修業をした者には必ず栄光が待っている。白と黒、はっきりしているのが、この世界の魅力とも言えるのだ。

April 12, 2007 12:09 PM | トラックバック (4)

2007年03月29日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

囲碁番組見ながら…家事が進まない!!

 最近、アイロンをかけながら囲碁番組を見ている。家事をしながら勉強の妙手! と思いきや、これは考えものでもあった。「これはすごいですね!」という解説が聞こえると、思わずテレビに食い入ってしまう。そしてしばらく考慮し、アイロンかけに戻る。「困った!」などのボヤキが聞こえるとまたもやテレビにくぎ付けになり、そしてアイロンへ。こんなことが永遠と繰り返されるのである。

 あるとき無意識にアイロンがけの手を止めて、地合の計算をしていたことがあった。30秒後にハッと意識が戻ったのだが、これではちっともアイロンがけが終わらない。かえって逆効果なのだ…。

 棋士は無意識に囲碁のことを考えていることが多い。ある超一流棋士は十何年も通っていた道場の道すがらの景色をまったく覚えていなかった。記者が「この辺りも昔と変わりましたか?」という質問をしたところ、「歩きながらずっと碁のことを考えていたので分かりません」と困ったように答えられてしまい、驚いたという話を聞いた。

 周りが見えなくなるほど囲碁を考えていなければ超一流にはなれない、す、すごすぎる。でも、私も頑張らなくては! 弱腰になりながらも胸に誓った今日このごろであった。

March 29, 2007 12:03 PM | トラックバック (4)

2007年03月15日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

負けから学んだこと多かったです

 女流棋聖の防衛戦は敗れてしまった。

 第1局のときはコンタクトを忘れる失敗もした。仕方なく眼鏡で対局したのだが、忘れ物をするのは抜けている証拠。いけませんね。碁の内容もどこか抜けたものになってしまった。他にも失敗は限りなくあるのだが、書きつづると落ち込んでしまうのでここまでにしておこう(笑い)。

 しかし、学んだことも多くあった。とことん考えるのもいいものだと思ったこともその1つだ。第1局後は敗戦を引きずりとにかく辛かった。負けるイメージばかり頭に浮かび、何日間も悩み続けた。でも、いざ2局目の朝になると、ふと肩の力が抜けた。「考え尽くすと頭が真っ白になるのか。悪くないなぁ」と思うことができ、その対局はなんとか勝つことができた。

 周りのみんなの優しさ、囲碁ファンの皆さまの温かい応援が身に染みてうれしく感じるのもタイトル戦である。普段対局のことは何も言わない母がポツリポツリと語ってくれ、体調を気遣ってくれた。涙が出そうになった。

 今回負けたことは失敗でもあるし、学びでもある。どちらに転ぶかは今後の自分次第。幸いにも私のとりえは立ち直りが早いこと(笑い)。次の大舞台に向けて突っ走っていきたいと思う!

March 15, 2007 10:10 AM | トラックバック (1)

2007年03月01日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

碁縁で出会ったご夫婦が多かった!!

 先日、梅沢由香里5段が代表を務める囲碁教室「AMIGO(アミーゴ)」で女性だけを集めた「レディースAMIGO」が行われた。参加者、お手伝いの方を合わせると総勢60人。皆、20代から40代の方ばかりである。

 当日は男性厳禁。企画も運営も女性が務めた。来てくださった参加者はきれいな方ばかりで、参加できないことを心底悲しんだ男性も多かったに違いない。また女性の会らしく、講義の途中でケーキを用意したティータイムもあった。

 梅沢5段は入門教室、私は19路盤教室を担当したのだが、皆熱心に聞いてくださり、対局中の表情は真剣そのもの。かと思えば、華やかな笑い声も至る所で起こり、とてもリラックスしたムードだった。

 女性が初めてのことを学ぶ場合、男性がいると緊張してしまう方も多いと思う。まずは女性だけで囲碁に親しんでいただき、徐々にいろいろな教室に通うのも一つの手ではないだろうか。

 教室の後の懇親会ではパネルディスカッションも催された。そこで発覚したことなのだが、囲碁が縁で出会ったご夫婦が多いことに驚いた! 同じ趣味を持つ者同士打ち解けやすいのだろう。なぜか真剣に聞いてしまった瞬間だった(笑い)。

March 1, 2007 10:28 AM | トラックバック (2)

2007年02月15日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

久々の「持ち時間」を楽しめました

 ここ最近早碁棋戦しか打っていなかったのだが、先週しばらくぶりに持ち時間がある対局をした。

 囲碁界では棋戦ごとに5時間、4時間、3時間、1時間、30秒、10秒と持ち時間が異なり、1時間以下が早碁対局となる。特例として3大挑戦手合は持ち時間が8時間となるのだが、8時間という途方もない持ち時間は棋士のあこがれである。

 本当にここ最近の10局は早碁棋戦だったので、正直先週の対局は緊張した。早碁感覚であまり考えずに打ってしまわないかなぁとか、集中力が続くかなぁとか。早碁棋戦だと深く読むことができないので、どうしても感覚に頼ることになる。またその感覚を研ぎ澄ますためにどれだけ集中できるかが大事となる。こんな偉そうなことを言っているが、感覚もずれているし、集中力にもムラがある私は困ったもんである(汗)。

 ただ私は昔から持ち時間がある対局が好きだった。布石からいろんなことを考えられ、一手一手に自分の持てるすべてのヨミや感覚を込めることができる。しばらくぶりの持ち時間のある対局は打っていて楽しかった。あっという間に時間を使い切り、秒読みに入ってしまったぐらいである。来週も同じ対局をすることができるが、今から待ち切れないくらい楽しみだ。

February 15, 2007 10:58 AM | トラックバック (8)

2007年02月01日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

勉強&温泉…タイトル戦観戦は一石二鳥

 今、囲碁界では棋聖戦が行われている。タイトル戦が始まると私たちは急にそわそわしだす。なぜならば対局を見に行きたくて仕方がないからである!

 地方で行われるタイトル戦。遠いところは大変なのでもっぱら関東周辺で打たれる対局を見に行くのだが、皆の予定さえ合えば車を借りて勢い込んで出掛ける。早いときだと1日目から見に行くのだが、日常の騒々しさから離れた情緒豊かなところで最高の戦いを繰り広げている対局者。私たちがいつかたどり着きたい対局を間近で見ることができるのは身が引き締まる気がする。

 対局が行われている間は立会人、解説の先生方と検討をし、終局後には対局者の検討も聞きにいく。お2人の深い考えに驚くことができ、現地に行ったかいがあると痛感できる瞬間である。

 最高の対局を勉強し尽くしふ~満足♪となるのだが、実は楽しみはまだまだこれから。タイトル戦は温泉地で行われることが多いので、皆で温泉に入り、ご当地料理を堪能してから帰宅するのが定石となっているのだ(笑い)。

 なんだか「勉強しているのか、遊びに行っているのかどっちなの?」と怒られてしまいそうではあるが、一石二鳥の妙手として許してくださいね。

February 1, 2007 09:15 AM | トラックバック (5)

2007年01月18日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

棋士向きの性格「負けず嫌い」以外には…

 棋士に向いている性格とはなんぞや。最近の私の思案の一つである。きっかけはかわいい男の子からの質問だった。

 「先生~。プロに向いている性格ってな~に?」。

 私は少し考慮してから答えた。

 「うーん、負けず嫌いな性格かな?」。

 男の子は「そうなんだ~。ありがとう!」と笑顔を残して去っていった。とてもほほ笑ましい話なのだが、ここでふと考えた。果たして負けず嫌いが棋士に向いている性格なんだろうか?

 棋士を見渡してみると実に性格はさまざまである。さっぱりした性格の人、まめな人、マイペースな人、堅気な人、豪快な人、いくら同じ世界といっても十人十色である。しかし、みな負けず嫌いには見えた。あぁ、私の答えは間違っていなかった、よかったと胸をなで下ろしたのもつかの間、ある超一流棋士のお話は驚がくするものだった。

 「僕は負けてもすぐ切り替えちゃうからね。これは負けず嫌いというのかな?」。

 ここでまた悩んだ。そして知恵のない私の頭で考えた結論はこうだった。「棋士に向いている性格は負けず嫌いである。そしてすぐ切り替えられる人である」。

 いかがでしょうか? 皆さまの意見がありましたらぜひ教えてくださいね!

January 18, 2007 10:47 AM | トラックバック (0)

2006年12月21日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

中国で世界戦、4回目で初勝利

 囲碁界には12ほどの世界戦がある。女流のみの棋戦もあり、今年、私は2つの棋戦に出させていただいた。どちらも中国で行われたのだが、1日がかりの移動もあり、飛行機恐怖症の私は悲鳴を上げながら現地に向かった。(ホントの話です)

 また世界戦はほぼ毎日他国料理を食べることになる。とてもうれしい話だが、やはりしばらくすると和食を食べたくなる棋士も多い。しかし、今回日本代表として行った女流チームは和食大好きにもかかわらず、中華料理を堪能。付き添ってくれた団長からは「頼もしいね!」と褒めていただいたぐらい。

 移動や食事などで普段と大きく環境が異なる世界戦。しかし、一番の違いは試合へのプレッシャーだ。日本代表として行く以上、ふがいない成績は残したくない。それはきっと他国の選手も強く思っていることであろう。慣れない土地、慣れない言葉、そして降りかかるプレッシャー。これをはねのけて良い成績を残せる棋士は本当にすごいと思う。

 これまで私は世界戦で勝てたことがなかったが、今回4回目にして初めて勝つことができた。日本に貢献できたことが本当にうれしかった。まだまだ世界の壁は厚いが、必死にぶつかっていきたいと思う。

December 21, 2006 10:41 AM | トラックバック (1)

2006年12月07日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

どうしても片付かない囲碁道具

 最近片付けを意識して行っている。これまでの私は年ごろの女の子とは思えないほど部屋が散らかっていた。使ったペン、脱ぎ捨てた服、私にしか分からない走り書きをしたメモ帳、いろんなものが辺りに散らばり、目も当てられない状況だった。友人が遊びにきたときなど私の部屋を見て、「…。すごいね」。その一言がとても印象的だった。

 しかし、引っ越したのを機に、片付け上手になるべく一念発起。今日使ったものは今日中に片付け、物もなるべく増やさないように買い物も控えた。部屋の様子もだいぶマシにはなってきたのだが、しかしどうしても片付かないものがある。囲碁道具である。

 囲碁を始めたころの本など、今は読むこともないのだが、これで勉強したという思い出があ、り捨てられない。囲碁雑誌も、もしかしたら読み返すことで大変勉強になるかも…と本棚を見事に占めている。印刷したもののまだ並べていない棋譜、興味ある棋戦が載っている囲碁新聞も部屋の片隅に大量に詰まれている。

 私は囲碁をやっている間は片付かないのではないだろうか。もしかして一生? などと私の片付け下手を囲碁のせいにしつつ、片付けに精を出す今日このごろである。

December 7, 2006 09:32 AM | トラックバック (1)

2006年11月23日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

教室開き、子供たちに囲まれ囲碁!!

 先日、母校の小学校で囲碁を教える機会があった。子供たちが60人ほど集まってくれ、囲碁のルールを一緒に勉強した。元気いっぱいの子供たち、私が「どこに打つかな~?」と尋ねると「はい! はい! はい!」と小さなかわいい手をいっぱいに伸ばしてくれる。のみ込みも早くて10分程度の解説でみんな石取りを完ぺきに覚えてしまった。

 試合も行ったのだが、「先生、勝ったよ!」とうれしそうに報告してくれる子もいたし、負けて落ち込んでいる子も「白黒入れ替えてもう1回やってみる?」と尋ねると「うん、やる。お願いします!」とぐっと悔しさをこらえてまた挑戦しようとしてくれる。みんな、ものすごくかわいかった。

 実はこう見えても私は子供が大好き。道で子供を見掛けるとわけもなくほほ笑んでおり、傍らから見れば不審者である。そんな私の将来の夢は子供教室を開くことだ。かわいい子供たちに囲まれて囲碁、想像しただけで幸せである!

 子供は世界の宝、囲碁をやってくれる子供は囲碁界にとってまさに天使。大切にはぐくんでいきたいですね。

November 23, 2006 09:43 AM | トラックバック (0)

2006年11月09日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

指導碁でプロの手が止まったら…

 私もプロになって6年、たくさんの指導碁を打たせていただいた。

 1番多いときは、1日30局ぐらい。そのときはさすがに勝ち負けの数は覚えられなかった(笑い)。指導碁を打っていると皆さまが「そんなにたくさん打って疲れるでしょう」と心配してくださる。でも不思議なもので打てば打つほど、気分が高揚し、楽しくなってくる。終わった後は体がずっしり重くなってくるが(笑い)。

 打っている最中は頭はフル回転。指導碁の局数としては3面打ちがほとんどだが、「お、しめしめ、ここに打ったら取れるかな」「まずい! うまい手筋を打たれた!」「むむむ、細かいな~」など、顔には出さなくても頭の中はボヤキでいっぱいである。

 また一定のテンポで打っていても、ハタと手が止まることがある。それはうまい手を打たれたか、形勢が悪いことに気が付いた証拠であるので、皆さまはプロの手が止まったら自信を持っていただきたい。

 指導碁はアマチュアの方とプロをつなぐ架け橋。初心者の方など遠慮される方もいらっしゃるが、ぜひとも楽しんで活用していただきたいと思う♪

November 9, 2006 10:54 AM | トラックバック (0)

2006年10月26日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

カラオケで棋士の歌に聞きほれる

 前回、矢内さんがカラオケのことを書かれていて、とても面白く読ませていただいた。私もカラオケの話を一つ。

 囲碁界もカラオケで遊ぶことが多い。食事→飲み→カラオケがパターン化していたころもあったぐらいだ。皆、歌がうまい上にレパートリーも広い。最新曲から演歌まで何でもござれである。名曲は皆で大合唱もする。

 歌声も個性豊かで、顔と同じくきれいな歌声の某美人棋士がいれば、高い声がよく出る某若手棋士もいる。しっとりとした歌声や迫力ある歌声も聴けたりして、まるでさまざまな棋風を見ているようだ。ちなみに私は野太い声で歌う。普段は甲高い声なのに歌うときだけはどうしても低くなってしまうのである。皆よく歌いよく笑う。その表情を見ていると勝負師であることを忘れるくらいだ。

 あるとき忘れられない歌声を聞いた。仕事の打ち上げの席での話だが、ある若手棋士がマイクを持った途端、皆が話を忘れ聞き入った。歌い終わったころには泣いている人もいたぐらいである。本当に聞きほれる声だった。

 囲碁だけではなく、ほかでも人に感動を与える。そんな人に私もなってみたい。

October 26, 2006 10:45 AM | トラックバック (3)

2006年10月12日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

対局日は食べられない

 私はおいしい食べ物が大好きだ。朝も朝食目当てに起きるぐらいである。

 しかし、そんな私でも対局がある日は食欲が一変する。どんなにおなかがすいていようとも、どんなにごちそうを並べられても、胃があまり受け付けないのである。特に対局中の昼食はまさにそうだ。おなかが鳴りだしたころ、昼食休憩のブザーが鳴る。「おなかすいたな~」と店に入って注文、料理がきた、さぁ食べるぞ! と思っても、1口2口で「もういいや…」となってしまう。プロになりたてのころはおにぎり1個ぐらいしか食べられなかった。最近は神経がずぶとくなってきたのか、だいぶ食べられるようになってきましたが。

 手合後の夕食もあまり食べられない。疲労が胃に来ているのか少しでも脂っこい物を食べると、胃がきりきりと痛くなりダウンしてしまう。せっかくのおいしそうな料理を寝転んで眺めるしかできないのである。

 あら、そんな生活で大丈夫かしら、と思ってくださった優しい貴方。食事を受け付けないという繊細な私は手合当日のみ。それ以外の日はひたすら食べ続け、おかげでやせることには縁遠い私である。そしてこの文を書いているときでも菓子パンに手が伸びて…。

October 12, 2006 12:09 PM | トラックバック (3)

2006年09月28日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

危険な!?「ネット対局」

 囲碁界はまさに今インターネット対局の時代だ。通称「ネット対局」というものだが、ありがたいことに幾つものネット対局サイトがあり、私も日本棋院の「幽玄の間」などで対局や観戦をしている。

 しかしこのネット対局、実は相当危険な代物かもしれない。理由は、はまってしまうからである!

 たとえば観戦。いったん見始めるともう危ない。たとえ仕事をしようとも家事をこなそうとも進行具合が気になって10分おきには見てしまう。盤に向かって勉強をしていても「パチッ」と着手音が聞こえるとすぐさま振り返ってチェック。解説の棋士が作成した参考図も逐一見てしまうし、観戦者が繰り広げているチャットも興味深く眺めてしまう。もう何も手が付けられないのである。

 また対局をするのも要注意。ネット対局だと気合が先行するのか、かなり激しい碁になることが多い。そんな激しい対局に敗れてしまうと、相当熱くなる。ある女流棋士が「ネット対局は熱くなるから、夜眠れなくなるよね!」と言っていたが、まったく同感である。

 まさに危険。でもやめられないのである。囲碁中毒の皆さま、ネット対局でさらに囲碁にはまってみるのはいかがでしょうか。

September 28, 2006 01:47 PM | トラックバック (4)

2006年09月14日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

棋界のハンカチ王子!?

 世間では甲子園をにぎわせた斎藤投手の青いハンカチに人気が殺到しているが、囲碁界では昔からハンカチが浸透している。

 まずは女流棋士。日本棋院には、日本の古き良き文化である和室の対局室が多くある。私も畳に正座するのは大好きだが、女性の場合スカートをはいていると少々ひざ元が気になる。このときに登場するのがハンカチである! 皆、広げたハンカチをひざに乗せ、憂いをなくして対局に集中する。また、おしゃれな人が多いので、ハンカチも服装に合わせるなど女流棋士のひざは華やかである。ひざ用のハンカチと手ふき用のハンカチ、2つ持ってきている棋士もいる。

 趙治勲十段のハンカチも有名である。皆さま、趙十段がハンカチをくわえたまま、鬼のような形相で盤をにらんでいる写真をご覧になったことがあるだろうか。私は初めてこの写真を見たときはあまりの迫力に食い入るように見つめてしまった。きっと趙十段は対局に集中するあまり、そのほとばしる気迫を無意識のうちにかんだハンカチに込めているのだろう。

 そんな趙十段にあこがれて私もハンカチをくわえてみたことがあった。しかし実力も気迫も伴わない私ではお間抜けな姿にしかならなかった…。合掌。

September 14, 2006 01:30 PM | トラックバック (3)

2006年08月31日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

「おぉ!反応」をもっと

 この間、公開対局を打たせていただいた。

 公開対局は、お客さまが棋士の対局姿と解説を間近で見ることができる一石二鳥のイベントで人気も高い。私も普段打てない超一流の先生と対局できるので大変ありがたい勉強の場である。

 しかし、間近で解説をしているので、どれだけ早く声が聞こえないぐらい集中できるかが大切になる。一流棋士ならばすぐに碁盤に没頭できるのだろうが、私のような未熟者だとそうなるまで時間がかかる。その間お恥ずかしながら、解説の声はよく聞こえてしまう。

 観戦しているファンの方の反応もよく分かる。笑い声、解説への「なるほど~」という感嘆の声、まるで会場にいる全員が対局者のようである。とくに激しい勝負手を放ったときのファンの「おぉ!」という反応は対局者もうれしくなる。

 今回もちょっとした局面で天元に打ったのだが、ファンの方が「お~!」と盛り上がってくれたのは一番のうれしい出来事だった。しかしその後はひどい手の連発で、だんだん「あぁ…」という反応に変わってくる。あぁ、自分の弱さが悲しい。もっといい碁が打ちたい! 公開対局はそう切に思わせてくれる大切な場である。

August 31, 2006 11:57 AM | トラックバック (0)

2006年08月17日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

地味面白いのが「碁石磨き」

 先日碁石磨きをした。ここしばらく磨いていなかったので、ホコリや手あかでだいぶ汚れていた。碁石磨きはそんな汚れた石を湿らせたタオルで1個1個ふいていくのだが、地味な作業なようでこれが面白い。特に白石は磨いたところがはっきりときれいになり、元の白さに感嘆するくらいだ。

 教室や院生に通っていたころから碁石磨きはよくやっていた。教室の先生から「碁石磨きは感謝の気持ちを込めるんだよ」と言われていたが、まったくその通りだと思う。感謝の気持ちどころか磨いていくうちに愛情すらわいてくる。

 そういえばこんなこともあった。この間日本棋院に行ったら、いつも身の回りの世話をしてくれているおばちゃんたちが大量の碁石をせっせと磨いていた。「そういえば棋院の石はいつもきれいだな。おばちゃんたちがきれいにしてくれていたんだ…」。そのことに初めて気が付いた。ありがとう! おばちゃん!

 何時間かかけて全部を磨き終わり、きれいになった石で棋譜を並べてみた。なんだかツルツルしていてこそばゆい。でも気持ちがいい。また新たな気持ちで勉強ができそうである。

 皆さま、碁石磨きはお勧めですよ。

August 17, 2006 01:27 PM | トラックバック (5)

2006年08月03日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

嫌いじゃないけど…詰め碁苦手です

 私は詰め碁が嫌いではないが、苦手。よくみんなで難問に挑戦するが、いつも四苦八苦している。今回はそんな詰め碁を解いているときの話。

 難問を前に悩んでいると歩ちゃん(鈴木歩3段)が「できた!」と出題者に答え合わせを申し込む。歩ちゃんは詰め碁が得意でみんなからも一目置かれているくらいだ。張栩名人の詰め碁も有名で、あまりの読みの早さと正確さに仰天するくらいである。またこのような人たちが「できた」という[だそうだ]ときは大抵正解。今回もそれにもれず、歩ちゃんは見事正解一番乗りを果たした。

 それなのに私は1手目すら分からない。焦りから「うーん、私はこの筋だと思うんだけどな~」と意味不明のボヤキも出てくる。その間にも友人たちは次々と正解していき、楽しそうにトークを始める。私の焦りも最高潮。たいして読みも入っていないのに「できたぁ!」と勢い込んで答え合わせをし、あえなく撃沈を繰り返す。気が付いたら考えているのは私1人になり、泣く泣く宿題となってしまうのである。かっこ悪い部分をさらけ出しただけでなく、ちっとも解けないなんて…。ああ、悲しきかな、詰め碁解き。

August 3, 2006 03:22 PM | トラックバック (4)

2006年07月20日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

棋士のブームは早碁です

 棋士の間にもブームがある。棋士の性格上、皆相当熱しやすく、あることにはまるとそれを極めるまでとことん追求する。

 昔はボウリングがブームだった。皆すごい勢いでボウリング場に通い、アベレージ200にまでなった人がざらにいたという。ほかにゴルフ、テニス、カラオケなどもブームになった。

 私もひところはフットサルにはまった。週に1回は必ず棋士が集まり、チーム分けをしてボールをけり合った。しかも最下位のチームは皆のお昼ご飯をおごるという罰ゲーム付きである。あまりにも楽しく、予約を延長し延々と4時間以上走り回っていたときもある。

 そして今のブームは早碁対局である。もちろん棋士は普段から早碁をよく打つが、今の早碁の打ち方は尋常ではない。日本棋院に着いた途端、碁盤を用意してさっそく打ちだす。至る所で打っているので控室は「ピッピッ」と時計の音が鳴り響き、うるさいくらいである。ご飯を食べに行っても、食べ終わったらすぐに戻ってきて、また早碁タイム。気迫はすごいものがある。

 さぁ、早碁ブームの次はいったい何のブームが来るのか、ちょっと楽しみである。

July 20, 2006 12:39 PM | トラックバック (0)

2006年07月05日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

妹・奈穂と対局しないワケ

 「妹さんとも家で碁を打つの?」とよく聞かれる。
 私の妹(奈穂と申します。どうぞよろしくお願いいたします)も4月からプロになることができ、よく打ちそうだが、申し訳ないぐらい妹とは対局しない。
 なぜか。答えは単純。けんかになるからである。
 勝負たるものそこには必ず勝ち負けがある。たとえ見損じで必勝の碁を落としても負けは負け。しかも姉妹だから勝者に敗者をいたわる気持ちはこれっぽっちもない。勝者は高笑いである。
 年齢や碁歴からいっても姉である私の方が勝ちそうだが、実は妹にはかなりの確率でボコボコにされる。姉の私が言うのもなんだが、妹はまぁ強いと思う(この「まぁ」が精いっぱいの虚勢)。
 家では打たなくても、不思議に外ではときどき対局する。これも答えは単純。第3者の目があるからけんかにならないのである。
 もちろん負けた方は不愉快極まりない。帰宅したら負けたことでからかわれるのは目に見えているし、何より悔しい。でも友人たちが周りにいるから、ただひたすら引きつり笑いである。
 しかし一番はやはり対局をしないに限る。これが姉妹仲良しの秘訣(ひけつ)である。

July 5, 2006 04:36 PM | トラックバック (0)

2006年07月05日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

研究会、休憩中も検討会

 囲碁界にはいくつもの研究会があるが、男女、先輩後輩関係なく皆でわいわい行っている。1人でコツコツと勉強するのも大事だが、大勢の意見を聞ける研究会は棋士にとって欠かせない大切な勉強の場だ。
 研究会の間中、延々と碁盤ばかり見つめていても疲れがたまってくる。そんなときは休憩を取り、お菓子をつまんだり、たわいのない話をして楽しく過ごす。また個人のお宅で行う研究会だと休憩がテレビゲーム大会になることもあり、皆大変盛り上がる。
 でも悲しいかな、どんなに盛り上がっていても誰かが「そういえばこの間の碁どうだったの?」と碁の話を言い出すとゲームそっちのけで検討が始まる。検討が一段落しホッと一息ついても、また誰かが詰碁を並べだすと皆碁盤の前に集まってくる。「周りが集まるから仕方なく」ではなく、いつも碁のことが気になって仕方ないので体が自然と碁盤の前に行ってしまう、そんな感じである。
 おかげで休憩時間といってもさほど休めるわけではなく、研究会後はもうくたくた。でも一日中碁の勉強ができたことに幸せを感じ、また研究会がある日は意気揚々と出かけるのである。

July 5, 2006 03:55 PM | トラックバック (1)

2006年06月30日

万波佳奈 − 書いちゃおカナ −

戦いの朝はナチュラルメーク

 手合日は朝から戦いだ。
 いつもは10時くらいまで寝ている私がこの日だけは朝6時に起きる。というのも脳は起きてから3時間ぐらいたたないと働かないと聞いたからだ。冬などは起きるのも一苦労だが、「せいやっ」という掛け声の下、必死に体を起こす。
 そして朝食は甘いパンなどをほおばる。これも糖分がすぐ脳のスタミナに変わると聞いたからだ。こう考えると私は朝から脳のことしか考えていない気がする。
 顔を洗い、メイクへ。普段とは違い、ほとんどしていないぐらいに薄くする。以前はマスカラなども付けていったのだが、対局中無意識に顔をこすったらしく、終局後鏡を見たらこの世のものとは思えない顔になっていた苦い思い出がある。
 服もいつもは出かける直前に考えるのだが、手合の日だけは前日の夜に考えておく。神経質に思われそうだが、対局直前に服のことで悩むとせっかくの緊張の糸が切れてしまいそうで…。
 動きやすい、楽な格好に身を包んだら、戦闘態勢完了 !  いざ対局へ !
 そして夜まで緊張の糸が続き、終局と同時にいつものふやけた私に戻ってしまうのである。

June 30, 2006 06:34 PM | トラックバック (0)