健康連載ブログ

2007年08月02日

この病気にこの名医Part3

【第169回】真皮線維芽細胞を用いたRACS

 肌の再生医療(1)

 年を取ると、顔の「しわ」や「たるみ」が気になる。「ボツリヌス毒療法」や「コラーゲン注入療法」を美容形成外科で受ける人も多い。が、効果が一過性で半年もすると元に戻ってしまう。そのような方法とは全く異なり、患者自身の「真皮線維芽細胞」を用いた肌の再生医療「肌細胞補充(RACS)療法」が登場し、みずみずしい肌をよみがえらせたいと願う人々から大いに注目されている。

 「コラーゲン注入療法などとの違いをよく患者さんから質問されます。しわというのは、さまざまな原因で皮膚が薄くなったために起こるへこみなのです。コラーゲン注入療法はへこみの下にコラーゲンを注入して浮き上がらせる治療です。私どもの行っているRACS療法は薄くなった肌を、一定部分再生するものです」と、美容形成外科の行う治療との違いを話すのは、日本で最初にRACS療法を行ったRDクリニック三田(東京都港区)の北條元治院長。そして続ける。「熱傷の再生医療と同じです」と。

 再生医療は1975年、当時、マサチューセッツ工科大学のハワード・グリーン教授が「表皮培養技術」を実験的に確立したことから始まった。そして一般に認識されたのは83年。米国で全身の95%以上の皮膚が炎で失われた2人の少年に、脇の下の無傷で残っていた皮膚を採り、初めての培養皮膚による再生医療が行われた。2人は一命をとりとめた。

 この後、日本では札幌医大でソ連のコンスタンチン君も同じように救われた。そして、茨城県東海村で起こった臨界事故で熱傷を負った2人への培養皮膚の作成は、北條院長らの東海大学「再生医療チーム」が担当した。「美容形成はメスや人工物を用い、最終目的地点を修正・改造した自分とは違う人、つまり『別人』に設定します。再生医療は本人の細胞を用いるので最終目的地点は過去にそうであったであろう自分自身、つまり『本人』なのです」。

 美容形成での治療とは根本的に出発点や考え方が異なる「しわ治療」なのである。

 ◆真皮線維芽細胞 皮膚は表皮と真皮からできている。真皮が皮膚の大部分を占めており、その真皮の90%がコラーゲン線維で、それを作り出す細胞が真皮線維芽細胞である。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆肌の再生医療の名医
 ▼RDクリニック三田(東京都港区)北條元治院長
 ▼銀座リプロボーテ(東京都中央区)杉本佳香院長

August 2, 2007 10:00 AM

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