2007年07月28日
この病気にこの名医Part3
【第164回】症状出てからでも対応できる
小腸疾患(4)
ここへきて、小腸の病気に対する検査・治療が大改革を起こした。まさに「21世紀の医療革命」といっても言い過ぎではない。医療革命を巻き起こしたのは「ダブルバルーン内視鏡」と「カプセル内視鏡」である。どちらも小腸の腸管から内腔(ないくう)を診ることができるし、ダブルバルーン内視鏡は治療もできる。
ダブルバルーン内視鏡を開発したのは、自治医科大学付属病院(栃木県下野市)消化器内科の山本博徳教授。最初に発想したのは1997年だった。「それまで全く小腸の内視鏡がなかったのではありません。プッシュ式小腸鏡と術中内視鏡が一般的でした。ただ、プッシュ式は小腸へ50~100センチ程度しか入れませんし、術中内視鏡は開腹して小腸の中へ内視鏡を挿入するのです。治療範囲に限界がある方法と、患者さんの身体にあまりに大きな傷をつけるものだったのです」と、山本教授。
2000年9月からはダブルバルーン内視鏡を使って治療がスタート。そして、03年11月に一般に発売となった。00年9月から06年10月末までに、山本教授グループは383症例、749件でダブルバルーン内視鏡を施行。その中で治療の内訳は「焼灼(しょうしゃく)」が69件、「ポリペクトミー(ポリープ切除)」44件、「クリップ止血」17件、「拡張術」87件、「ステント留置」7件、「異物回収」が5件行われた。
「これまでは、検査のために開腹されていたケースもあったのです。開腹検査後に『問題がなくて良かったですね』と言われても…。そういうつらいケースがなくなったのです」。
もちろん、カプセル内視鏡も患者の身体に優しい。が、これは検査のみ。今年5月から保険適用となった。「欧米では、広く使われています」。だが、狭窄(きょうさく)しているケースにカプセル内視鏡を使うと、小腸にとどまってしまうこともある。その場合にカプセル内視鏡を取り出すのに使われるのがダブルバルーン内視鏡。「実際、そのようなケースに頼まれて、カプセル内視鏡を取り出したことがあります」。
画期的な小腸の内視鏡が活躍する時代が到来した。そして、思ったより小腸疾患は多いといわれる。だが、「症状もないのに胃や大腸などのように検査を必要とするかといえば、その必要はないと思います」と。症状が出て対応できるのが小腸なのである。
【医療ジャーナリスト松井宏夫】
◆小腸疾患(ダブルバルーン内視鏡)の名医
▼広島大学病院(広島市南区)消化器内科・岡志郎医師、福本晃医師
▼愛媛大学医学部付属病院(愛媛県東温市)第3内科・松井秀隆部長
▼九州大学病院(福岡市東区)第2内科・松本主之准教授
▼福岡大学筑紫病院(福岡県筑紫野市)消化器科・平井郁仁講師
July 28, 2007 10:00 AM
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