2007年07月27日
この病気にこの名医Part3
【第163回】出血にはダブルバルーン内視鏡
小腸疾患(3)
小腸の疾患を疑って検査し、小腸の病気が特定されると、内科的に治療を行うものは消化器内科で、外科を紹介する場合は消化器外科が紹介される。
小腸の疾患の状態としては「出血」「狭窄(きょうさく)」「腫瘍(しゅよう)」があるが、内科的に治療ができる範囲も広がってきている。それは、ダブルバルーン内視鏡の登場によるところが大きい。「実際、ダブルバルーン内視鏡を使って治療することが多いですね。その1つが出血を止める止血です」と、自治医科大学付属病院(栃木県下野市)消化器内科の山本博徳教授は言う。ダブルバルーン内視鏡の開発者である。
小腸での出血は小さな部分から出血していることが多い。「出血症状のある患者さんに対しては、出血しているときにダブルバルーン内視鏡で診るのがベストタイミングです」。小腸の出血部に止血剤入りの生理食塩水を注射。出血部を浮き上がらせて電気焼却する。「焼いて止血するのです。出血部を浮き上がらせるのは通電することで小腸に孔(あな)があくリスクを減らすためです」。出血が噴水のような場合には、出血部をクリップで留める方法が選択される。
出血とともに、ダブルバルーン内視鏡の有用性が高いのが「小腸ポリープ」。「これまでは、小腸にたまたまポリープがあるだけで、開腹手術が行われていました。それが、大腸や胃のポリープなどと同じ『ポリペクトミー』で治療できます」。ポリペクトミーは、キノコのように飛び出しているポリープの茎に輪になったスネアといわれるワイヤをかけ、ギュッと締めて高周波電流を流して焼き切る方法である。
この小腸ポリープが頭になって、腸が腸の中に入り込む「腸重積(ちょうじゅうせき)」の治療もダブルバルーン内視鏡で行われ始めた。この場合は、外科医と一緒に行い、外科手術への変更にも対応できるようにしている。
また、狭窄部を広げるには、ダブルバルーン内視鏡を使った「バルーン拡張」が行われている。ソーセージのような棒状に膨らむバルーンが使用される。
このように“暗黒大陸”の小腸も、どんどん治療が行われる時代を迎えたのである。
◆ダブルバルーン内視鏡 内視鏡が届かなかった深部小腸の病気を検査、治療する内視鏡。2つのバルーンを膨らませたり、閉じたりして小腸の腸管の伸展を防ぎ、先に進むことができる。
【医療ジャーナリスト松井宏夫】
◆小腸疾患(ダブルバルーン内視鏡)の名医
▼昭和大学藤が丘病院(横浜市青葉区)消化器内科・遠藤豊准教授
▼新潟中央病院(新潟市中央区)消化器内科・中島孝司医師
▼佐久総合病院(長野県佐久市)胃腸科・堀田欣一医長
▼名古屋大学医学部付属病院(名古屋市昭和区)消化器内科・大宮直木講師
▼川崎医科大学付属病院(岡山県倉敷市)内視鏡・超音波センター・真部紀明講師
July 27, 2007 10:00 AM
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/12004
