健康連載ブログ

2007年07月25日

この病気にこの名医Part3

【第161回】直接見られない暗黒大陸の臓器

 小腸疾患(1)

 人間の臓器は、さまざまな別称で呼ばれている。「沈黙の臓器」とは肝臓、「暗黒の臓器」とは膵臓(すいぞう)、そして、「暗黒大陸」と呼ばれているのが小腸である。

 「消化管の病気は、その壁の最も内腔(ないくう)側の粘膜から生じることが多いのです。その場合、検査に最も威力を発揮するのが、内腔に直接入って見ることができる内視鏡です。ところが、小腸には内視鏡が届かず、ほとんど直接見られない臓器とあって、“暗黒大陸”といわれてきたのです」。

 というのは、自治医科大学付属病院(栃木県下野市)消化器内科の山本博徳教授。

 山本教授は『ダブルバルーン内視鏡』の開発者。それは、暗黒大陸といわれる小腸に入り込み、治療まで行って来るという画期的な内視鏡である。

 薬を飲むような感覚でカプセルを飲むと、小腸内を写し出してくる『カプセル内視鏡』と、治療もできるダブルバルーン内視鏡の登場でそれまで「病気が少ない」といわれてきた小腸にも、意外に病気のあるのが分かってきた。

 「小腸の疾患が疑われる症状としては、『出血』『膨満感』『腹痛』などがあります。このような症状があって小腸の疾患が疑われる人を集めて調べますと、その約70%に小腸疾患が見つかったのです」。

 出血症状から発見される小腸の疾患は、大きく以下の三つになる。『かいよう・びらん』『血管異常』『腫瘍(しゅよう)』―。

 かいよう・びらんは小腸の粘膜の炎症によって起き、そこから出血する。胃炎や胃かいようと同じである。

 血管異常は『血管の異形成』。「毛細血管が拡張したような状態とか、静脈と動脈が直接つながっていたりなど、血管自体の異常によって出血するのです」。

 腫瘍による出血は、小腸のがん、ポリープがある。

 膨満感とか腹痛の症状からは、小腸の狭窄(きょうさく)が考えられる。「がん、ポリープ、そのほかにクローン病などでかいようができ、狭窄することもあります」。もちろん、腹痛でも狭窄を伴わないケースの疾患もある。

 ◆クローン病 クローン病は炎症性腸疾患の1つ。口から肛(こう)門までの消化管のどこにでも炎症・かいようができる。それも全層性に起こり、激しい腹痛、下痢が続く。
 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆小腸疾患(ダブルバルーン内視鏡)の名医
 ▼札幌厚生病院(札幌市中央区)消化器内科・黒河聖医師
 ▼小樽掖済会病院(北海道小樽市)消化器科・勝木伸一部長
 ▼旭川医科大学病院(北海道旭川市)第3内科・渡二郎講師
 ▼岩手医科大学付属病院(岩手県盛岡市)第1内科・遠藤龍人講師
 ▼仙台厚生病院(仙台市青葉区)消化器内科・松田知己部長

July 25, 2007 10:00 AM

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