健康連載ブログ

2007年07月24日

この病気にこの名医Part3

【第160回】骨転移の進行防ぐ「ゾメタ」

 転移性脊椎腫瘍(4)

 背骨にがんが転移した転移性脊椎腫瘍(せきついしゅよう)。治療法を決める際、「徳橋スコア」といわれる術前予後判定点数が参考になる。世界的に評価の高いスコアである。「全身状態」「脊椎転移の数」など重要な6項目で点数化し、15点満点で0~8点は予想予後6カ月未満、9~11点は予想予後6カ月以上、12~15点は予想予後1年以上。基本的には9~15点で手術、0~8点では化学療法や放射線療法となる。

 「その中で、最も有効な手術適応は『脊椎不安定性に起因する疼痛(とうつう)・麻痺(まひ)』の場合です。つまり、がんによって背骨が部分的に溶けてしまい、背骨が柱として体を支えられないような状態です。手術では溶けた背骨の柱を金属で再建します。この場合、他の治療ではなかなか痛みを取ることが困難ですが、手術では術後すぐに痛みを取ることができるのです」と話すのは、徳橋スコアで世界的に評価されている日本大学医学部付属板橋病院(東京都板橋区)整形外科の徳橋泰明准教授。

 この場合、インストゥルメンテーションという金属製の柱と、やはり金属製の人工の椎体(背骨のブロック)の組み合わせによって支えをつくる手術が行われる。「通常の場合、根本的にがんを治療する手術ではなく、背骨の支えを補強する『姑息(こそく)的』な手術です。ただ、がんが椎体の1つにしか転移していないケースがまれにあります。そのような場合は『全脊椎切除術』という転移の病巣をひとかたまりに取り切る手術が行われます」。

 背中側から切開する。脊髄(せきずい)を保護しながら、特殊なワイヤなどを用いて病巣のがんの骨をばらまかないようにひとかたまりにゴソッと取り出す。取り切った後は前述のインストゥルメンテーションと人工椎体で背骨の柱をつくる。「術後、7年、10年と元気に生活されている方もいらっしゃいます」。

 化学療法にも明るい光が差そうとしている。それは、骨粗鬆(そしょう)症の治療薬であるビスホスホネート(商品名ゾメタ)。乳がんや前立腺がんの骨転移に標準的治療として組み込まれている。「骨転移の進行を防ぐのみならず、がん細胞の活動性を抑えるというデータが出ているのです」。現在は乳がんや前立腺がん以外のがんの転移にも用いられている。

 このほか、放射線療法、インターフェロンを使った免疫療法が行われている。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆転移性骨腫瘍の名医
 ▼日本大学医学部付属板橋病院(東京都板橋区)整形外科・徳橋泰明准教授
 ▼金沢大学医学部付属病院(石川県金沢市)整形外科・富田勝郎病院長

July 24, 2007 10:00 AM

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