健康連載ブログ

2007年07月16日

この病気にこの名医Part3

【第152回】化学療法は基本的に手術後

 卵巣がん(4)

 卵巣がんの治療には「手術」「化学療法」がある。3本柱の「放射線療法」は-。「放射線療法はあまり行われていません。転移している臓器、例えば骨や脳などの転移が分かっている部分だけ、放射線療法が行われています」と、東京医科大学病院(東京都新宿区)産科・婦人科の井坂恵一教授は言う。

 基本的には手術のみ、手術と化学療法といった形で行われている。手術を行う場合でも、100%卵巣がんと診断がついてから手術に入るのではない。「卵巣がんか否かの最終診断は開腹して細胞を採取し、それを迅速診断して行われます。だから、卵巣がんを疑って手術に入っても、がんであればどのような手術を行うか、患者さんと十分に話し合って決めておきます」。

 「この後、赤ちゃんが欲しい」という強い希望がある場合には、片方の卵巣を残すことが可能な場合もある。卵巣がんと最終診断がつくと、通常は両方の卵巣、子宮、リンパ腺を切除する。「片方の卵巣を残す場合、残す卵巣の細胞を採ってがんがないかを調べます。そこにもがんがある場合は、残念ながらあきらめてもらいます。生命にかかわりますから。ただ、卵巣が残せたら化学療法は行いません」。

 卵巣がんの進行度・病期によって手術で切除する範囲が標準治療として決められている。「卵巣がんの場合は、初回の手術でできる限り切除しておくと、化学療法がより効いて治るといわれているのです」。

 卵巣がんで化学療法を行うときは、手術後が基本的に多い。「今日の化学療法の第1選択は『プラチナ系薬剤』+『タキサン系薬剤』です」。2剤併用で、静脈点滴が一般的である。投与方法はさまざま行われている。静脈点滴を1カ月に1回行う「マンスリー法」、薬の量を減らして隔週で行う「バイウイークリー法」、毎週行うのが「ウイークリー法」である。「副作用の少ないのはウイークリー法で通院治療ができます。マンスリー法は副作用が強いので入院して行われます」。

 プラチナ系薬剤の副作用は吐き気、嘔吐(おうと)、腎機能の低下。一方、タキサン系薬剤の副作用は手のしびれ、脱毛、白血球・血小板減少などがある。副作用に対してはそれを抑える薬を投与しながらできるようになり、かなりコントロールができるようになっている。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆卵巣がんの名医
 ▼藤田保健衛生大学病院(愛知県豊明市)産科・婦人科・宇田川康博教授
 ▼関西労災病院(兵庫県尼崎市)産婦人科・伊藤公彦部長
 ▼鹿児島市立病院(鹿児島市)産婦人科・波多江正紀部長、大西義孝科長

July 16, 2007 10:00 AM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/11796