健康連載ブログ

2007年07月14日

この病気にこの名医Part3

【第150回】「腫瘍」イコール「がん」ではない

 卵巣がん(2)

 「早期発見というのは、難しいですね」と話すのは、東京医科大学病院(東京都新宿区)産科婦人科の井坂恵一教授。それは卵巣がんである。卵巣にはさまざまな腫瘍(しゅよう)ができるものの、85%は良性腫瘍。卵巣がんは15%なので「卵巣に腫瘍がある」といわれても、「がん」と早合点してはいけない。

 「卵巣がんの多く、およそ90%は『上皮性がん』です」。卵巣はまずは表層上皮に覆れている。そして、卵胞があり、中心に胎児のときの細胞で大人になっても残っている胚(はい)細胞がある。その周囲を性ホルモンを分泌する細胞が取り囲み、組織間を埋めているのが間質細胞。どの細胞にもがんはできるが、最も多いのが表層上皮にできる上皮性がんで、次いで多いのが胚細胞にできる「卵巣胚細胞腫瘍」。上皮性がんとしては、漿液性腺がん、粘膜性腺がん、類内膜腺がん、明細胞腺がんなどがある。

 「卵巣の表層上皮にがんができて卵巣が大きくなり、外にがんが顔を出すと進行がんで2期です。おなかの中の腹膜に転移するケースが多く、そうなると3期です」。卵巣がんの進行度・病期は1期から4期に分けられ、1~3期についてはa~cにより詳細に分けられている。が、ここでは基本的な1~4期を紹介する。

 1期 がんが片側の卵巣、もしくは両側の卵巣にとどまっている。

 2期 がんが片側の卵巣、もしくは両側の卵巣にあり、さらに子宮、卵管のほか、骨盤内の他の臓器に転移している。

 3期 卵巣がんが腹膜に転移し、それが2センチ未満、もしくは2センチ以上。また、腹部リンパ節や肝臓の表面にもがんが広がっている。

 4期 がんが腹膜内にとどまらず、遠隔転移している。

 「卵巣がんは普通は卵巣が腫れてくるのですが、卵巣の表面にできる表在性乳頭状腺がん(SSPC)もあります。このがんは卵巣表面から外側に向かって大きくなるので、すぐに腹膜に転移します。だから、SSPCの場合は、それがあると分かった時点ですでに3期です。原因不明の腹水がたまっていると、SSPCが見つかることがあります」。

 卵巣がんの場合、実際に治療を受ける人は、1期と3期の人が多く、2期は少ない。2期の状態が極めて短いのが特徴である。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆卵巣がんの名医
 ▼埼玉医科大学国際医療センター(埼玉県日高市)婦人科腫瘍科・藤原恵一教授
 ▼東京慈恵会医科大学付属病院(東京都港区)産婦人科・落合和徳教授、岡本愛光講師
 ▼東京慈恵会医科大学付属第三病院(東京都狛江市)産婦人科・安田允教授

July 14, 2007 10:00 AM

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