2007年07月08日
この病気にこの名医Part3
【第144回】治療大きく変えたレミケード
クローン病(4)
「レミケードが出てくるまでは、日本では成分栄養剤を使った食事療法がクローン病の治療として中心的に行われていました。2002年に認可されて以降、レミケードを使った薬物治療が日本でも中心になりました」と、クローン病の治療の大きな変化を話すのは、クローン病など炎症性腸疾患の治療で定評のある慶応義塾大学病院(東京都新宿区)消化器内科の日比紀文教授。
薬物療法としては、まず基本的に用いられるのが炎症を抑えるステロイド薬や、免疫抑制薬など。それらの薬に対して、副作用が強いなど投与できない患者に対し、レミケードが使われる。
クローン病は、うまくコントロールができず、慢性に経過すると孔(あな)が開いてしまう。腸と腸が癒着して孔が開く「腸瘻(ちょうろう)」、直腸と腟(ちつ)が癒着して孔が開く「直腸腟瘻」、直腸と膀胱(ぼうこう)が癒着して孔が開く「直腸膀胱瘻」、小腸と皮膚が癒着して孔が開く「皮膚瘻」などいろいろできる。「皮膚瘻は内容物が外に出てきますし、直腸腟瘻では腟から便が出てきます。昔は薬がなかったので手術で対応するしかありませんでした。それらの治療の、特に皮膚瘻とか痔瘻(じろう)にレミケードは大いに効果があります」。
クローン病の治療を大きく変えたレミケードは、2時間かけて行う点滴で投与する薬。1回目の投与後、2週間後に2回目の投与が行われ、2回目投与の4週間後に3回目。それ以降は8週間おきに投与を行う。「皮膚瘻などだけではなく、クローン病で食事ができずに困っていた人が、レミケードを投与したら、その2~3日後に普通の食事ができるようになったという人もいるほど、効果は強いのです」。
そんなレミケードでもクローン病の約3分の1の人には効かないという。そして、そのほかに3点、問題がある。
●かつて結核にかかった。生活を共にしている人が結核にかかった。ツベルクリン反応が強陽性になる人。胸のエックス線で影が出る。以上の人々は抗結核薬を使いながら使用する。
●レミケードは抗腫瘍(しゅよう)作用のあるTNFαを抑えるので、リンパ腫などのがんを発生させるのでは…。
●いつまで投与し続ければいいのか…。
以上の問題も、2~3年後には認可となりそうな新薬が臨床試験中。そういった新薬がどんどん出てくると、治療の幅が広がり、問題は少しずつクリアされていくものと思われる。
【医療ジャーナリスト松井宏夫】
◆クローン病の名医
▼兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)消化器内科松本誉之教授
▼九州大学病院(福岡市東区)第2内科・飯田三雄教授
▼福岡大学筑紫病院(福岡県筑紫野市)消化器科・松井敏幸教授
July 8, 2007 10:00 AM
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