健康連載ブログ

2007年07月07日

この病気にこの名医Part3

【第143回】日本は成分栄養剤療法

 クローン病(3)

 20代前後の若い人の身体、生活を苦しめるクローン病。原因が分かっていないので、根本的治療のないのが現状である。

 慢性の腹痛や下痢などの症状に対し、消化管の炎症を抑える治療が行われている。炎症を抑え、寛解期(炎症が沈静化した状態)を長く維持させようとするもので、日本では成分栄養剤を使う方法が行われてきた。「急性期における食事療法です。タンパクと脂肪のない成分栄養剤を取る治療です。アミノ酸と糖質が主体で、それを食事といえるのかどうか…」と、慶応義塾大学病院(東京都新宿区)消化器内科の日比紀文教授は言う。

 急性期には鼻から管を使って成分栄養剤を十二指腸に流し込む。これで1日2000~2400キロカロリーを摂取する。1~2カ月たって炎症が治まると、成分栄養剤を半分くらいに減らし、残りは普通の食事にする。成分栄養剤を使った治療は、食事によってクローン病を引き起こす何かが入るかもしれない、と考えられるからである。

 「この食事療法を1~2カ月間行うのは、患者さんにとって大変つらいことだと思います。肉体的のみならず、メンタルな面でもつらい。日本の患者さんは我慢強いし、素直なんですね。『副作用のない治療薬はこれしかありません』と医師が説明すると、しっかりそれを受けて下さいます」。ということは、欧米では-。「欧米ではそういった栄養・食事制限はまったくしません」。

 欧米の人々は、食事制限の治療には耐えられず、それならば副作用がいろいろあっても薬の方がいい、と考えるのである。そういう人々ばかりなので、主治医も食事療法を勧めることはない。もし行うにしても指導できないのが現状である。

 「日本では、治療をしっかり行えば、学校、会社でもほかの人々と同じようにできます。食事療法を行っている人であれば、食事以外は同じに生活ができます」。その食事も、同じになるような時代を迎えている。それは治療方法が激変し始めているからである。クローン病の治療薬が1つ、また1つ発売されてきているからである。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆クローン病の名医
 ▼横浜市立市民病院(横浜市保土ケ谷区)外科・杉田昭部長
 ▼北里大学病院(神奈川県相模原市)外科・渡辺昌彦教授
 ▼北野病院(大阪市北区)下部消化管・炎症性腸疾患・伊藤裕章部長
 ▼関西医科大学付属滝井病院(大阪府守口市)消化器肝臓内科・岡崎和一教授

July 7, 2007 10:00 AM

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