2007年07月05日
この病気にこの名医Part3
【第141回】消化管のどこでも炎症起きる
クローン病(1)
小腸や大腸に慢性的に炎症が起こる疾患に苦しむ患者が、日本でも増加している。このような炎症性腸疾患は、基本的には欧米型の病気で、日本人には少ないとされてきた。実際少なかった。
それが、今、患者は10万人を超える時代を迎えている。「炎症性腸疾患の代表疾患には潰瘍(かいよう)性大腸炎とクローン病があります」と、炎症性腸疾患の治療・研究の第一人者、慶応義塾大学病院(東京都新宿区)消化器内科の日比紀文教授は言う。そして、潰瘍性大腸炎とクローン病の違いについて「潰瘍性大腸炎は炎症の起きるのが大腸だけに限られています。一方、クローン病は口から肛門(こうもん)までの消化管のどこにでも炎症が起きます。それも、潰瘍性大腸炎が連続性で炎症が起きるのに対し、クローン病はとびとび、いわゆるスキップ状に炎症が起きるのです」と話す。
さらに、潰瘍性大腸炎は大腸の表面、粘膜から炎症が始まって潰瘍をつくることもあるものの、基本的には壁面の浅い部分での炎症である。一方、クローン病の炎症、潰瘍は深く、全層性に起きる。
「クローン病は潰瘍性大腸炎より治療が困難なケースが多いのです」。それは、炎症が外層にまで達するため、周囲の臓器と癒着を起こしてしまう点である。例えば肛門部分では俗に「あな痔」といわれる「痔瘻(じろう)」ができる。腸と腸がつながって孔(あな)が開くと「腸瘻(ちょうろう)」。直腸と腟(ちつ)が癒着して孔が開くと「直腸腟瘻」。このほか、腸と膀胱(ぼうこう)、小腸と皮膚が癒着して孔が開くケースなどがある。
「腟から便が出る、皮膚から内容物が出るといったことも起きます。クローン病はすべてそういう症状を出すのではありませんが、一部の方で、病状がうまくコントロールできず、慢性に炎症が経過すると、そういう状態も起きることがあります」。
そして、発症年齢的には潰瘍性大腸炎は20代をピークとするものの10代から40代という広がりがある。クローン病は20歳前後の若い人々に多く、10~15歳といった子供での発症もみられる。この点も、大きな特徴といえる。
【医療ジャーナリスト松井宏夫】
◆クローン病の名医
▼旭川医科大学付属病院(北海道旭川市)第3内科・高後裕教授
▼東北大学医学部付属病院(仙台市青葉区)胃腸外科・佐々木巌教授
▼東邦大学医学部付属佐倉病院(千葉市佐倉市)内科・鈴木康夫教授
▼新潟大学医歯学総合病院(新潟市)第1外科・畠山勝義教授
July 5, 2007 10:00 AM
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/11715
