健康連載ブログ

2007年07月04日

この病気にこの名医Part3

【第140回】着床アップのブラストシス

 体外受精(4)

 不妊症治療の進歩は、体外受精、顕微授精にとどまらない。胚(はい)盤胞胚移植、精子・卵子・受精卵(胚)凍結保存などの高度な生殖補助技術が実施されている。

 体外受精、顕微授精の効果をより高める方法として行われているのが「ブラストシスト胚移植」や「アシステッド・ハッチング」などである。

 ◎ブラストシスト胚移植 体外受精や顕微授精を行って受精すると、卵の分割が始まる。その受精卵が4分割胚、もしくは8分割胚になった時点で、通常は子宮内に胚移植を行っている。「それでも着床しないケースに対して、さらに着床をアップさせようとして行われているのがブラストシスト胚移植です」と、西川婦人科内科クリニック(大阪市中央区)の西川潔名誉院長は言う。

 通常、受精卵の培養は2~3日。それを4~6日の培養により、着床寸前の胚にまで成長した胚盤胞を子宮内に移植する。これがブラストシスト胚移植である。「子宮内膜の環境が最良の時期に胚盤胞を子宮内に戻しますので、着床率は確実にアップします」。

 ◎アシステッド・ハッチング(AHA) 受精卵が子宮内膜に着床するときは、分割を繰り返し、成長する。そして、胚の周りを囲んでいる透明帯を破って着床する。「ただ、このときに透明帯が厚過ぎたりして破れにくい場合には、当然、着床は妨げられてしまいます。体外受精や胚移植を何度も行っているのに妊娠しないという人の場合は、胚を囲んでいる透明帯に問題があるというケースが多いようです」。

 そこで、顕微鏡下において分割受精卵や胚盤胞の透明帯を薬剤で溶かしたり、また、一部を削って薄くして、中の胚が外に出やすくなるよう孵化(ふか=ハッチング)を補助して子宮内に戻す方法が、アシステッド・ハッチングである。さらに着床率はアップすることになる。

 「不妊治療のゴールは出産です。その道のりは長く険しいかもしれませんが、ゴールにはかわいい赤ちゃんが待っています。1日でも早くゴールをして、赤ちゃんを抱き締めてあげてほしいのです。私たちはそのご夫婦のよきサポーターであり続けたいと思っています」と、西川名誉院長は言った。

【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆不妊症の名医
 ▼広島HARTクリニック(広島市中区)高橋克彦院長
 ▼中山産婦人科(徳島県藍住町)中山孝善院長
 ▼セント・ルカ産婦人科(大分市)宇津宮隆史院長

July 4, 2007 10:16 AM

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