健康連載ブログ

2007年07月03日

この病気にこの名医Part3

【第139回】精子と卵子の人工的合体、顕微授精

 体外受精(3)

 不妊治療の1つの選択肢「体外受精」。その妊娠率について、不妊・更年期治療の第1人者、西川婦人科内科クリニック(大阪市中央区)の西川潔名誉院長は、次のように話す。

 「私のクリニックの体外受精での妊娠率は、移植1回あたり39歳以下で40%、40歳以上で15・9%、流産率は18%です。高成績は1人1人の症例をきめ細かく管理していること、妊娠後、必要に応じて流産を防ぐために関連病院の流産予防管理病棟に入院してもらい、安全期まで流産予防の管理を行っているからです。さらに、妊娠20週までクリニックで外来管理しています」。

 この高成績は、体外受精の1つである「顕微授精」になると、さらにアップする。体外受精では採取した卵子と精子を培養器の中で合わせて培養し、受精するのを待つ。一方、顕微授精の場合、医師または臨床検査技師、胚(はい)培養士などが採取した精子の中から、より元気な精子1個をピペットという髪の毛の先ほどの細いガラス針で吸い取る。次に、あらかじめ固定しておいた卵子1個の細胞質の中に、顕微鏡下で精子を注入し、受精させる方法である。

 これをより正確にいうと、顕微授精の中の「卵細胞質内精子注入法(ICSI)」で、このほかに「透明帯開放法(PZD)」「囲卵腔内(いらんくうない)精子注入法(SUZI)」があるものの、主に行われているのはICSIである。

 「顕微鏡下で精子を注入し、培養器の中で培養し、受精すると卵の分割が起こります。ここからは体外受精と同じで、子宮に戻して着床、妊娠成立となります」。つまり、体外受精は体外で卵子と精子の自然受精。一方、顕微授精は精子を卵子に人工的に合体させて受精を待つ方法である。「顕微授精を用いますと、無精子症でも精巣や精巣上体に精子が発見されれば、陰嚢(いんのう)を切開して精巣内の精子を取り出し、卵子と受精させられます。また、運動能力のない精子でも、遺伝子が入っている精子の頭部に異常がなければ、受精させられます」。

 元来、顕微授精は男性側に問題のある場合に用いられる不妊治療だったが、今日では、脊髄(せきずい)損傷などによる射精障害や、女性に強力な抗精子抗体のある場合、体外受精での受精率が低い場合や着床できない場合などにも応用されている。

【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆不妊症の名医
 ▼さわだウイメンズクリニック(名古屋市千種区)沢田富夫院長
 ▼醍醐渡辺クリニック(京都市伏見区)不妊センター・森崇英センター長
 ▼西川婦人科内科クリニック(大阪市中央区)西川吉伸院長、池上博雅副院長
 ▼IVF大阪クリニック(大阪府東大阪市)福田愛作院長

July 3, 2007 10:00 AM

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