健康連載ブログ

2007年07月02日

この病気にこの名医Part3

【第138回】妊娠率29・4%、流産率21・3%

 体外受精(2)

 不妊症に悩む人の選択肢の1つとして、重要なものとなった体外受精。今日では年間約1万8000人の体外受精児が誕生している。

 施設によっては、体外受精をすぐに行うところもあるが、基本条件をクリアするのが、やはり的確な治療になろう。日本不妊学会がまとめたガイドラインがある。そのガイドラインを不妊治療の第1人者、西川婦人科内科クリニック(大阪市中央区)の西川潔名誉院長は次のように言う。

 「何度となく人工授精を試みているにもかかわらず、妊娠しない人。また、卵管が閉塞(へいそく)していたり、子宮内膜症(月経時に強い痛みで女性を苦しめ、悩ませる。子宮の内側ではなく、卵巣など周辺の臓器に内膜組織ができる病気)や腹膜炎の後遺症で骨盤内の癒着などが認められる人です。男性の場合は、精子に問題があって人工授精が不可能な人、あるいは、他の治療でまったく効果が認められない人などが対象となります」。

 体外受精は女性と男性から卵子と精子を採取することから始まる。通常、1回の排卵時に成熟する卵子は1個から数個。このときに排卵誘発剤を使うのは効率を考えてのことで、卵子を複数成熟させて採卵する。「卵子を採卵するとき、初期には全身麻酔をかけ、おなかに小さな孔(あな)を開けて行っていました。ところが、15年くらい前からは、軽い麻酔で腟(ちつ)を通して採るようになりましたので、実に患者さんの身体に優しいものになりました」。そのため、採卵や受精卵の移植は通院でも行われている。

 採取した卵子は特殊な培養液を満たしたシャーレ内で卵子と男性から採取した精子を混ぜて受精させる。受精卵が4~8分割したところで、女性の子宮内に胚(はい)移植。つまり、受精卵を子宮内に戻して着床させるのである。

 日本産婦人科学会のデータでは、移植1回あたりの妊娠率は29・4%、流産率は21・3%。施設によって大きく異なる。施設の数字を教えてもらい、参考にすると良いだろう。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆人工授精 人の手を介して人工的に精子を子宮内に送り込み、卵子と受精させる方法。夫の精子を使用するAIH(配偶者間人工授精)と、第3者の男性の精子を使用するAID(非配偶者間人工授精)がある。

July 2, 2007 10:00 AM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/11664