健康連載ブログ

2007年07月23日

この病気にこの名医Part3

【第159回】徳橋スコアで9~15点なら手術

 転移性脊椎腫瘍(3)

 「転移性脊椎腫瘍(せきついしゅよう)」と診断され、さまざまな検査を行って原発がんも特定されると、治療に入る。その治療を決めるときに、治療前の予後予測が重要となっている。「手術の適応か否か、またどのような手術を行うかといった治療法を決めるのに大事なことです。そのため、私たちは『術前予後判定点数』を開発し、利用しています」と、日本大学医学部付属板橋病院(東京都板橋区)整形外科の徳橋泰明准教授は言う。

 術前予後判定点数は「徳橋スコア」といわれ、世界の第一線で使われている。徳橋スコアは「全身状態」「脊椎以外の他の骨転移数」「脊椎転移の数」「原発巣の種類」「主要臓器転移の有無」「まひの状態」の6項目について、それぞれ点数化する。合計で最も高い得点が15点。0~8点は予想予後「6カ月未満」、9~11点は予想予後「6カ月以上」、12~15点は予想予後「1年以上」となる。

 事実、298人の転移性脊椎腫瘍患者で生存期間をみると、0~8点は6カ月未満が85・6%、9~11点では6カ月以上が76・7%、12~15点では1年以上が94・1%。全体の一致率は84・2%と極めて高い。信頼度の高いスコアなのである。

 「患者さんのスコアが9~15点であれば、手術が選択されます。0~8点の場合は化学療法とか放射線療法になります」。もちろん、スパッと線引きできないケースもある。「0~8点で予想される寿命が6カ月未満と短くても、体の支えとなる柱の脊椎がなくなったケースでは手術を行います。手術以外に患者さんの痛みを取る方法がない場合もあるのです。例えば、首の骨ががんで溶けてしまったとき、頭も持ち上げられない状態でベットに寝たきりというのはつら過ぎます。できれば起こして食事ができるようにしたいじゃないですか。この場合は弱っている患者さんの身体に負担の少ない手術術式を選択します」。

 このような場合に行われる手術は、根本的にがんを治療する手術ではなく、支えを作るという「姑息(こそく)的手術」である。あくまでも、QOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)を考慮したものである。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆転移性骨腫瘍の名医
 ▼金沢大学医学部付属病院(石川県金沢市)整形外科・富田勝郎病院長
 ▼大阪府立成人病センター(大阪市東成区)整形外科・荒木信人部長

July 23, 2007 10:00 AM

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