健康連載ブログ

2007年06月19日

この病気にこの名医Part3

【第125回】後ろにはHIV、不妊症の影

 クラミジア(1)

 性感染症(STD)が大きな社会問題となっている。「国内のみならず世界的な傾向です。WHO(世界保健機関)も『性行為の多様化』『低年齢化』を取り上げているほど大きな問題です」と、西川婦人科内科クリニック(大阪市中央区)の西川潔名誉院長は言う。

 性感染症といっても数多く、「100種類以上ある」と言う学者もいるが、基本的には10種類程度。その中で「性器クラミジア感染症」「淋菌感染症」「性器ヘルペスウイルス感染症」「尖圭コンジローマ」は5類感染症として性感染症定点からの報告が義務付けられている。

 そして、これらの性感染症の中で世界中で最もまん延し、また、国内でも最も患者数の多いのが「性器クラミジア感染症」である。931の定点医療機関からの報告数は05年は3万5057人。もちろん、実際の数はこの数十倍に上ると推測されている。「最も大きい問題は、10代という若年層に増えていることです」。20代、30代前半に次いで10代後半が第3位と多くなっている。

 ここにHIV(エイズウイルス)との感染のかかわりもある。東京都ではHIV抗体検査時に、任意に性器クラミジア感染症などの検査も行っている。多摩地区の99年4月から06年3月までの総検査数は1万6100人で、その中の26・4%が性器クラミジア感染症に感染していたのである。「クラミジアの後ろにHIVがあることを知っておくべきです」。

 また、クラミジアの咽頭(いんとう)感染も問題となっているが、これは前述の「性行為の多様化」である。「オーラルセックスによって口腔(こうくう)内や咽頭に感染している人が増えています。直腸に感染しているケースもあります」。

 性器クラミジア感染症は、医師の間でも「性器の風邪ひき」といった言葉で軽く見ている人もいる。が、実は、その後ろにHIVの影ばかりではなく、女性の場合は不妊症に結び付くし、骨盤腹膜炎、肝周囲癒着なども起こしかねない。事実、妊婦検診では正常妊婦の3~5%にクラミジア保有者がいるという現状がある。

 【医療ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆クラミジアの名医
 ▼江東病院(東京都江東区)産婦人科・松田静治医師(性の健康財団理事長)
 ▼駿河台日本大学病院(東京都千代田区)産婦人科・長田尚夫准教授
 ▼山王病院(東京都港区)産婦人科・井上正人院長
 ▼久我山病院(東京都世田谷区)産婦人科・中村幸雄院長

June 19, 2007 10:00 AM

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