2007年05月20日
この病気にこの名医Part3
【第96回】化学&放射線療法併用が主流
下咽頭がん(4)
下咽頭(いんとう)がんは、舌の付け根から食道に至るまでの食物の通り道である下咽頭にできるがん。検査の結果、下咽頭がんと診断されると、そのステージ(病期)によって治療は異なってくる。ステージは早期がんの1、2期と進行がんの3、4期。
◎1期 がんが下咽頭の1つの部位にとどまるか大きさが2センチ以下。
◎2期 がんが下咽頭の1つの部位にとどまらず隣の部位に広がっているものの、喉頭(こうとう)には入っていないか、がんの大きさが4センチ以下。「さらに、1、2期は首のリンパ節に転移がない状態です」と定義を解説するのは、東京医科歯科大学医学部付属病院(東京都文京区)頭頸(とうけい)部外科の岸本誠司教授。
◎3期 がんが隣の部位に広がるとともに喉頭に入っており、声帯が動かない状態か、がんの大きさが4センチを超えるか、がんと同じ側の頸部リンパ節に3センチ以下の転移が1個ある。
◎4期 がんが周囲組織の骨、軟骨、筋肉などに広がっているか、頸部リンパ節への転移が6センチ以上になったり2個以上あったり、がんと逆側の首に出てきた状態か他の肺や骨などの臓器に転移している。
治療は「手術」「放射線療法」「化学療法」が3本柱。最近は化学療法と放射線療法を同時に併用して行う治療が主流になっている。「食べる、息をする、声を出すという重要な器官なので、手術自体も大変ですが犠牲になるところが大き過ぎます。だから、第1選択は化学・放射線療法になりつつあります。がんが残ったり、再発した場合は、そこで手術となります」。
リンパ節転移に対しては、多くは「頸部リンパ節郭清(切除)術」。リンパ節は放射線の効果が落ちるからである。がんが喉頭にも入り込んだ3期では「下咽頭・喉頭・頸部食道全摘術」となるのが一般的。「小腸の空腸部分を使って再建します。食道にも広くがんが及んでいて食道全長を切除した場合は『胃管挙上術』を行います。胃を細い管にしてつり上げて再建する方法です」。
ただし、喉頭が全摘されるので呼吸のための気管孔は一生頸部に開いたままとなり、発声障害については食道発声を習得するなどして対応する。手術は形成外科、上部消化器外科とのチーム医療で行われている。最近は声の機能を残すために、さまざまな手術の工夫がなされている。
【医療ジャーナリスト松井宏夫】
◆下咽頭がん手術の名医
▼神戸大学医学部付属病院(神戸市中央区)耳鼻咽喉・頭頸部外科・丹生健一教授
▼山口大学医学部付属病院(山口県宇部市)耳鼻咽喉科・今手祐二助教授
▼九州がんセンター(福岡市南区)頭頸科・富田吉信医長
▼久留米大学病院(福岡県久留米市)耳鼻咽喉科・中島格教
May 20, 2007 10:00 AM
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